再注目の「あんこ」 各社でヒット中の「あんこペースト」 何にでも合わせられる無限大の可能性 【ヒットにワケあり! オカネのヒミツ】 2022年01月11日
昨年11月に阪急うめだ本店で開催された「あんこ」の催事、「時をかけるあん」。全国各地の老舗やニューウェーブのお店から、あんこ菓子が大集合しました。
今回で7回目の開催となりますが、売り上げは右肩上がりで、去年は過去最高を記録したそうです。
今再注目されている、あんこ。そのヒットのヒミツを取材しました。
世代を問わず人気の「あんこ」。まずは、全国初出店の話題のあんこ専門店があるという大丸心斎橋店へ。
【薄田ジュリアキャスター】
「見てください!店名が『あんこの勝ち』…。結構強気な名前ですね」
売場をよく見てみると、この店独特の取り組みを発見しました。
【薄田キャスター】
「ショーケースの中のスイーツどれもおいしそうですが、数字があります。52、45、60…糖度の違いも選べるようになっているんですね」
糖度を変えるため、つぶあんやこしあん、皮むきあんの3種類を用意。食感の違いも楽しめることから人気に火が付き、想定の3倍を売り上げているそうです。
【あんこの勝ち 森大社長】
「チョコレートだとカカオ何%とか色々種類もあるじゃないですか。ふと考えた時にあんこも同じように遊べるんじゃないかと。あんこは皆さんが知っているどんなスイーツにも合うしメインになると思います」
日本人になじみ深いあんこ。なぜ今、再び注目されているのでしょうか。
■各社でヒット中の「あんこペースト」
菓子メーカーもあんこに注目していて、日清シスコの『ココナッツサブレ』は、あんバター味を去年11月から期間限定で販売。通常の限定商品と比べて2倍以上を売り上げ、異例の増産となりました。
【日清シスコ ブランドマネージャー 石田晃三さん】
「シニアや昔からのお客様等からすると、多分懐かしくて手に取りやすいと買われると思うんですけども、おそらく若い方々にとっては、鮮度がある捉え方をしていただけるのでは」
その「あんバター」が自宅でも気軽に楽しめるとして人気を博しているのが、パンに塗るペースト状のあん。成城石井や老舗和菓子店・虎屋なども、こぞってあんこのペーストを販売し、ヒットしているんです。
そんな中、高級食パンでおなじみの「乃が美」でも…。
【乃が美 阪上雄司社長】
「去年は最初の1週間で1万本以上売れまして。今年もお客様の要望が非常に多かったので再販させていただくことになりました」
要望が多く、高級食パンにも合うブランド小豆を使い、去年誕生した「あんジャム」は…。
【薄田キャスター】
「あんを塗ったというよりかは、のっけた感じですね」
【乃が美 阪上社長】
「そうですね、もうこれぐらい食べていただくと本当に引き立っておいしいと思います」
【薄田キャスター】
「(食べて…)これはダメだ!美味しすぎる。食パンのくちどけも邪魔せず、あんが一緒に消えていきます」
また、あんこを使った商品でおなじみの井村屋は去年、創業以来初めてとなる電子レンジで温める冷凍ぜんざいを発売。
これまでは餅と小豆を同じようにおいしく解凍するのが難しく、なかなか商品化ができなかったそうですが、研究開発に3年をかけ、冷凍技術を向上。さらに、ムラなく熱が通るよう容器を改良した結果、手軽にぜんざいが食べられるようになりました。
■何にでも合わせられる無限大の可能性
さらに調査を進めると「あんこ夜会」なるイベントも。主催は、全国のあんこ好きが集まった「日本あんこ協会」。定期的にあんこへの愛を語る会が開催されているそうです。
日本あんこ協会では2020年、一気に5000人以上が入会。会員が急増した背景に、コロナ禍でストレスが多い今こそ、あんこの持つ魅力が注目されていると会長は分析します。
【日本あんこ協会 にしいあんこ会長】
「何か懐かしい、ぬくもりがある中で自分もほっこりしたい。安心感を得たいってことですね。ちなみに安心感の安はあんこの“あん”ですから。かつ小豆はポリフェノールがあるので、非常にアンチエイジング的な働きが期待できたり、スポーツされる方とかが、エネルギーチャージにようかんを食べるので流行っていたりもします」
そんな中、進化系のあんこを作っているのが、神戸の会社・松原製餡所。
【松原製餡所 松原宏社長】
「最終的な工程ということでね、あんこを炊いている場所なんですよ。これはラムレーズンあん。もう何百種類とこの工場で作らせてもらっています」
進化するあんことは、味のバリエーション。ラムネからフルーツポンチまで500種類以上あります。
【松原製餡所 松原社長】
「実はこれは我々の技術が詰まった味なんです」
【松原製餡所 研究開発室 澤美由紀さん】
「弊社の特許技術で高温でも溶けないゼリーを作っていて、液体の香りを飛ばさずにあんこの中に閉じ込めることができます」
実は500種類以上のあんこは、ほとんどが客からのオーダーをもとに開発したもの。全国各地から寄せられる要望に応える形で、毎月新作のあんこが誕生しているそうです。
【松原製餡所 研究開発室 前田奈緒子さん】
「兵庫県小野市の名産アスパラガスであんこ作ってほしいということで、今回作るんです」
今は、兵庫県でカフェを開く人からあんパンの中に入れたいと要望があり、アスパラガスを使ったあんこを試作中です。
【薄田キャスター】
「(食べて…)アスパラガスを感じます。ほんのり青臭さも感じられるし、こうやってあんになるんですね。知らずに食べて、アスパラガスと感じてもらえるかということも考えないといけない要素なんですね」
また、これまで企業向けの販売だけでしたが、種類の豊富さを活かし、3年前から個人向けにネット販売を開始。
さらに、あんこの知識を広めるサイトなども展開したところ、認知度が上がり、ネット販売の売り上げは、前年比で4倍以上になりました。
【松原製餡所 松原社長】
「我々は『あんこにできないものはない』というのがポリシーですし、あんこというのは無限大なんです。いわゆる“あん”リミテッド。そこでお客様に驚いていただきたい、希望を持っていただきたいというね、“あん”ビリーバブルなあんこを作りたいです」
(2022年1月11日放送関西テレビ『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)