ハバネロやコチュジャンなどを使った旨辛ソースがクセになる焼肉に…
たっぷりのトウガラシと山椒が食欲をそそる汁なし担々麺。
【女性客】
「このヒリヒリがいいです。山椒のシビレとか大好きです」
いま激辛グルメが花盛りなんです!
【薄田ジュリアキャスター】
「スーパーのこちらのコーナーには麻辣醤であったり豆鼓醤など本格的な辛味調味料がたくさん並んでいます」
【コープ箕面中央 白方涼子マネージャー】
「一味や七味、山椒など自分で辛さを足すような商品が去年と比べ120%ほど大きく伸長しています」
スーパーやコンビニなどでは、トウガラシなどの香辛料が売り上げを伸ばしていて、辛さを突き詰めた激辛商品も増えています。
厳しい残暑が続く中、連日行列ができる中国料理店。
お客さんのお目当ては、一番人気の辛口麻婆豆腐です。
【女性客】
「大好き。すごいおいしい」
【男性客】
「体中の悪いモノが汗と一緒に出て行ってくれる気がする」
【中国料理ファンファン・石津ちぐさ店長】
「昼と夜を含めて大体200食くらいは注文を受けています。ここ2、3年は激辛がブームなのか(麻婆豆腐の)“激辛”がめちゃくちゃ出るようになって」
その“激辛”は、生の青唐辛子やハバネロの粉などを加え、辛口の約10倍に仕上げたというシロモノ。試してみると…
【薄田キャスター】
「いただきます…ゲホッ(むせる)辛い!…辛いのを分かっているのにまたスプーンを進めてしまう」
激辛グルメでストレス発散!? “刺激強め”が人気です!
1986年、ユーキャン新語・流行語大賞に「激辛」が選ばれてから30年あまり。
90年代タイ料理がブームとなった第2次、00年代ハバネロの登場で辛さのレベルが上がった第3次に続き、今は第4次激辛ブーム。
山椒や花椒など“シビレ系”に注目が集まったり、スパイスカレーが人気になるなど辛さの楽しみ方も多様化。
またより強烈な辛さを求め、“絶辛”や“獄激辛”などを謳った商品も登場しています。
超激辛メニューがウリの店でも、最近新規のお客さんが増えているそうです。
【初めて来た客】
「うん、あー辛っ。汗が止まんないっす」
ちなみに人が激辛グルメにハマってしまうのにはちゃんと理由があるそうで…
【日本味覚協会 水野考貴代表】
「そもそも激辛、辛みは味覚ではなく痛覚、痛みの一種と言われています。その痛みを和らげるために激辛のモノを食べた後にエンドルフィンやドーパミンと呼ばれる脳内物質が放出されます」
水野さんによると、鎮痛作用があるエンドルフィンと幸せホルモンとも呼ばれるドーパミンの分泌によって人によっては、辛い物を食べて感じた痛みが快感に変わり高い幸福感につながるんだそうです。
【女性】
「ヒーってなる。もっと食べたくなるみたいな感じ 」
【女性】
「辛いのは刺激やからね。人生に刺激が欲しい人は辛いのを食べた方がいい」
そんな中、唐辛子の辛さが今とんでもないことになっているそうで、唐辛子に関する著書も出している信州大学の松島准教授によると…
【信州大学農学部 松島憲一准教授】
「みなさんもよくご存じのハバネロとか、そういう激辛品種ありますよね。さらにもっと辛いものができないかというので、ワールドカップとでも言うような世界選手権的な辛味の競争が始まっているところですね」
目指せ!辛さ世界一 激辛トウガラシで一攫千金!?
激辛トウガラシ競争のきっかけとなったのは1994年、メキシコで発見され、世界一辛いとギネス世界記録にも認定されたハバネロ。辛さを表す単位、スコビル値はおよそ57万でした。
その後、ブート・ジョロキアなどより辛いトウガラシが次々と記録を塗り替え、スコビル値もどんどん上昇。
2013年には、アメリカで新たにカロライナ・リーパーというトウガラシが開発され、ギネス世界記録をさらに更新。
なんとそのスコビル値は150万以上に到達しました。
松島准教授によれば、近年さらに上をいく超激辛のトウガラシが開発されたそうで…
【信州大学農学部 松島憲一准教授】
「2017年にドラゴンズブレスという唐辛子が開発されたんです。それが248万スコビルというか…もうちょっと分からなくなってきちゃってね」
辛さのインフレ状態に専門家も困惑気味。
そんな世界の激辛トウガラシを栽培している農家が奈良県にありました。
トウガラシの栽培から加工品の製造までを手掛けている芥川雅之さんです。
【薄田キャスター】
「実ってますね。たくさん唐辛子がなってますね」
ソースや香辛料の材料として知られるお馴染みのトウガラシから、普段見ることのないような珍しい品種まで約250品種を栽培しているそうで、中には凶悪な辛さを持つトウガラシも…
【薄田キャスター】
「ギネスに載っているトウガラシ。いかにもって感じですよね…。興味本位でかじってみたいんですけど…」
【とんがらし芥川 芥川雅之さん】
「いやいやいや、絶対やめられた方がいいです。おそらく30分くらい話ができなくなると思います」
【薄田キャスター】
「(ニオイを嗅いでみて)くぅ~!危険ですね。食べてないのに食べた後の感じが喉に来ますね」
【芥川さん】
「それだけ辛い成分を持ってるんですよ」
それにしても一体なぜ、ここまでの辛さを追い求めるのでしょうか?
【芥川さん】
「やはりトウガラシの世界というはものすごく儲かるんです。いまギネス世界記録の品種を作ったら一瞬で億万長者になることは間違いない」
世界中で需要が増し、その辛さが競われている激辛トウガラシ。
最も辛い新種を生み出すことができれば巨大な利益が生まれるんです。
ただ、その開発は想像以上に難しいそうで…
【芥川さん】
「単純に辛いのと辛いのを掛け合わせてもどちらかの特徴に寄ってしまう。トウガラシの品種改良って偶然の産物なんですよ。そう甘くはない世界ですね」
普段は母親の恵子さんとともに栽培や加工作業を行っている芥川さん。
激辛とうがらしを扱うことは常に危険と隣り合わせです。
【芥川さんの母親・恵子さん】
「辛いの嫌いなんです。うっかり(つぶれた実が)手に付いたらね、もうヒリヒリして顔も触れない。お風呂も熱いお湯はとても入れない。息子もあんまり辛いの好きでないのに…なんでこんなんやってんねやろと思います」
辛み成分が部屋に充満する粉末加工の作業はさらに過酷。
完全防備で挑んでも…
【芥川さん】
「振っている時に飛び散って目に直接入ってしまうこともあるし…針を目にガッと刺したような痛み。この仕事というのはどこまでいっても我慢するしかないです」
それでもトウガラシ栽培には、一攫千金の夢だけではない魅力があると芥川さんはいいます。
【芥川さん】
「激辛とうがらしだけが好きなんじゃない。トウガラシ全般が好きなんです。トウガラシって形も色も本当に様々で、新しいトウガラシに出会うのが本当に楽しい」
過酷な作業に耐えられるのもトウガラシへの誰よりもホットな愛情があるからこそのようです。
【薄田キャスター】
「Tシャツもそうですよね 背中にチリ・ラブと書いてある」
【芥川さん】
「そうなんです、オリジナルの」
【薄田キャスター】
「自分で作ったんですか!?すごいな~愛が溢れ出ていますよ」