「想い」や「夢」の実現を目指す女性起業家たちがその内容や熱意を競う
「LED関西」というイベントで、140人の中から10人に選ばれました。
彼女の想いは、ひと味違う「子供料理教室」を全国に広げること。
どんな料理教室なのでしょうか?
【新実キャスター】
「茨木市にやって参りました。子供料理教室をやってらっしゃる方ということで。
どういう目的でどんな事を教えてらっしゃるのか…あ、ここ。普通のおうちみたいな…、
1階でやってはるんだ。すみません」
【大坪さやかさん】
「おはようございます」
【新実キャスター】
「よろしくお願いします」
【大坪さん】
「大坪さやかといいます」
【新実キャスター】
「ここでやってらっしゃるんですか?」
【大坪さん】
「そうなんです、ここで土日“こども料理教室”やってるんです」
【新実キャスター】
「ここはおうちですか?」
【大坪さん】
「いや、1階だけお店として借りてるんですよ」
【新実キャスター】
「なんでしたっけ、LED関西?表彰状とかあるんですか?」
【大坪さん】
「そうなんです、この間ファイナリストに選んで頂いて」
【新実キャスター】
「おしゃれトロフィー!ご自身はちなみにお子さん、いらっしゃるんですか?」
【大坪さん】
「そうですね、今1歳9か月の息子がいます…と、ここと…。4月に出産予定です」
子供だけを対象にした料理教室、「ゆめつぼ」を主宰している、大坪さやかさん。
4年前から始め、今では定員8名が常に埋まるほど大人気!
地元だけでなく、電車に乗って通ってくる生徒もいるそうです。
以前は別の場所で行っていましたが生徒が増えて手狭になり、今年移転。
3人のスタッフも加わりました。
【大坪さん】
「よろしくお願いします。メニューはサバの煮込みとのっぺい汁とご飯と
豆乳ブラウニーです」
でも、普通の料理教室と一体何が違うのか??
その秘密を、わたくし早速ハッケンしました。
【大坪さん】
「作り方は動画でやっていきます」
【新実キャスター】
「動画で?」
【大坪さん】
「まずは豆乳ブラウニーです、まず粉ものを合わせる。別のボールで砂糖と豆乳を。
先生あれこれ言わないからちゃんと動画見て作り方覚えてな」
お手本は先生が手順をひとつひとつ説明していくのではなく、
なんと、動画を一度見せるだけなんです。
【新実キャスター】
「もうこれだけでスタート?」
【大坪さん】
「そうなんですよ、動画を見てレシピがあれば」
【新実キャスター】
「あえてそうしてるんですか?お手本見せない?」
【大坪さん】
「お手本見せて次こうやるんだよって丁寧に教えると、逆にそれに頼って
頭に入っていかないので。家で作ってもらうのが目的なので」
【新実キャスター】
「そっか…」
大坪さんの料理教室は、体験で終わらせるのではなく、家で実際に作ってもらう事が目標。
お手本通りに作ることよりも、自ら考えて作ることを大切にしているのです。
【子供】
「薄力粉100g…」
【大坪さん】
「薄力粉、それ足りるかな?うん、それとこれと…」
【子供】
「もう無い…」
【大坪さん】
「あ、使い方わかる?」
【新実キャスター】
「量りの使い方わかるの?それ載せた状態で…すげぇ」
【子供】
「ココア…15g…」
料理の基本、分量を量ること。
これも子供だけで行うことに意味があると、大坪さんは考えています。
【大坪さん】
「美味しい料理が作れる事が目的じゃなくって、量る過程も大事だし、量る作業って
誰かが持って、誰かが入れてっていう協力したりするので、コミュニケーションが
生まれるので。チームワークが出てくるのでいいなと思ってやってます」
【新実キャスター】
「砂糖ね…何g?」
【子供】
「140g」
【新実キャスター】
「140…や、料理あるあるっすよね、砂糖こんな入れんねやってなるっていう…
あっ…ごめんなさい、ごめんなさい…」
【大坪さん】
「大人はねこうなるじゃないですか。子供はもうキッチリやるんですよ、すごいですよ」
【新実キャスター】
「145入りました…いいですか?ちょっとだけ甘くなりましたけど…」
【大坪さん】
「全然、全然」
ちょっと邪魔しちゃいましたが、多少の誤差はOKなんだそうです。
さぁ続いて具材を切っていきます。
子供が包丁を持つと、大人はドキッとしちゃいますが…。
【子供】
「いちょう切り」
【子供】
「はしっこ切る…」
【大坪さん】
「何してるの?危ないな…」
【新実キャスター】
「危ない、危ない、冷めるの待ちぃや」
【子供】
「あっつ、あっつー!」
【大坪さん】
「待とう、ほんならネギから行こうか」
【新実キャスター】
「置いとったら冷めるで」
【大坪さん】
「切る作業ね、好きなんですよ、子供たち。危ないってのは分かっていて、
それをうまく切れたっていうので達成感を味わうことが出来るので、上手に切る事とか
重要視してなくて、もし違う切り方になってもそれはそれでいいんですよ」
【新実キャスター】
「出来ひんのちゃうかとか、危ないんちゃうかとかって大人が勝手に思うだけで」
【大坪さん】
「そうですね、その通りですね。子供の可能性をやっぱり止めてしまうことになるんで」
見た目や、味は二の次。料理を作る楽しさや、達成感を感じてもらうため、
全ての工程を子供だけで行う大坪さんの教室。
その原点は、大学で栄養学を学び、京都にある少年院で管理栄養士として働いたという
大坪さんの経験でした。
【大坪さん】
「一番驚いたのが、少年院では毎日誰かが死にたいっていう風に言っていて、
自分に自信が無い子、自分のことが嫌いっていう子供たちが多くって。どうしたら
心が強くなるかなって私なりに考えて、何かできるんじゃないかなと思って。
料理って身近にあって毎日繰り返し行われるじゃないですか。それで誰でも簡単に
達成感を味わうことが出来るんですよ」
【新実キャスター】
「そっか…」
【大坪さん】
「美味しいって言ってくれたらやっぱり自分の存在意義も感じられて、
自然と心と体が強くなっていくと考えています」
【新実キャスター】
「ああ、そうかもしれないですね」
【大坪さん】
「生きる力を強くしたい」
料理を作る事を通して自己肯定感を高め子どもの心を育みたい。
そんな思いがこの料理教室には込められています。
【新実キャスター】
「ちゃんとしてるな、お姉さんはやっぱり」
【大坪さん】
「ちゃんと洗い物もきっちり出来てますよね」
【新実キャスター】
「えらいな」
【大坪さん】
「いつも家ではやらないと思うんですよ、親がやってくれるので。
実際やってみることによって、親への感謝。こんな大変なんだとか、
やってくれてるんだっていうのを感じてもらえるので」
【新実キャスター】
「終わってからチェックはするんですか?全部」
【大坪さん】
「洗い直します」
【新実キャスター】
「洗い直すんですか?」
【大坪さん】
「はい、せっかく頑張ってやってるのに、途中でダメ出しされたらシュンって
なっちゃうんで。やっぱり達成感、なんでも」
開始から2時間、子供だけで作った料理が完成しました。
【大坪さん】
「手を合わせてください。いただきます」
【新実キャスター】
「あぁ、美味しい」
【子供】
「美味しい」
【大坪さん】
「うん、美味しい」
【新実キャスター】
「ここに来始めてからなんか変わった?」
【子供】
「メイン作ってとか、これだけ作ってって任されるようになった」
【新実キャスター】
「そっか。料理はどう?好きですか?」
【子供】
「好き」
【新実キャスター】
「そうなんや!」
【子供】
「妹とか自分のお弁当とか、早起きして」
【新実キャスター】
「お弁当!何の時に?」
【子供】
「妹の遠足とか」
【新実キャスター】
「へぇ!すごいね!」
【子供】
「美味しいごはん作れるし、いつでも食べれるからうれしい」
【新実キャスター】
「自立するんですね」
【大坪さん】「ねぇ!」
料理で自己肯定感を高め、心を健康に。
子供たちの変化を、保護者の方も感じていらっしゃいました。
【新実キャスター】「好き嫌いとかは変わらないですか?」
【保護者】
「変わりました、変わりました。煮魚とか嫌いなものが、次のメニューで
載ってたりするんですけど、自分で作ったら美味しいみたいな。自分で作る事によって
食べるようになったというのはあります」
【保護者】
「ラベルを見たりとかどういうものが入ってるとか。原材料とかもちょっと
興味持ったりはしてるかもしれないですね」
食に対する意識も向上。この教室が、子供の体づくりにも一役買っているようです。
こんな教室をさらに広めようと、講師の育成にも力を入れている大坪さん。
また、妊婦さんに向けた食育交流会も開催するなど、子供の心と体の健康のために
奔走しています。
そんな大坪さんの熱い思いが、女性起業家を応援するプロジェクト、
「LED関西」に認められたのです。
実は大坪さん、できるだけ多くの子供たちが来てくれる場所で
教室を始めたいと、わざわざ京都から茨木市に引っ越して来たんだそうで…。
【大坪さん】
「ベッドタウンで、子供も多いので子ども料理教室やったらいいんじゃないかなと思って」
【新実キャスター】
「いきなり知らないところで?」
【大坪さん】
「そうですね、やっぱり知らない人ばっかりだったんで、一人でチラシ配りから始まって。
何も知識とかなくって あの、そういう起業とか。経営の知識は全くなくって」
【新実キャスター】
「今回起業家賞で表彰されましたけど、もうスタートは、気持ち?」
【大坪さん】
「そうですね、気持ちで…後付けですね」
そんな走り続ける大坪さんを 支えているのは、夫の敦司さんの存在です。
【新実キャスター】
「土日はご主人に助けてもらわないと?」
【大坪さん】
「育児と家事と両方やってもらっててすごく助かってます」
【新実キャスター】
「影響受けはった部分っていうのは?」
【敦司さん】
「すごい影響受けてます」
敦司さんも台所に立ち、夫婦で積極的に食育に取り組んでいるんだそうです。
【新実キャスター】「今後の夢は?」
【大坪さん】
「20年後の子供たちの心と体が強くなる料理教室を自分も続けて行って、
それが全国に広まるようにしたいなと思っています。さらに、私しかできない
少年院での料理教室っていうのは、こだわって目標として、
これから頑張っていきたいなと思ってます」