新実アナ「滋賀県の膳所(大津市)でございます。今の気温は5度。お風呂日和ですよね、本当に。」
湊三次郎さん(28)「銭湯活動家の湊です。(何をされている?)銭湯を活性化させる活動ですね。」
新実アナ「日本にいらっしゃるんですか?他に?」
湊さん「多分、僕だけですね。自分で名乗りました。
湊さんの目的は、日本中で減少傾向にある銭湯を、次の時代へ残すこと!2015年に廃業寸前だった京都の銭湯『梅湯』を引き継ぎ、見事に再生。今では海外からの旅行者も詰めかける人気銭湯になっています。
新実アナ「駅(JR膳所)から近い!2~3分くらい?『都湯』さん?割と、こじんまりとしてますね。」
湊さん「こじんまりした、小さい銭湯です。昭和40年代くらいからあると聞いています。」
『都湯』は、先代の経営者が亡くなり、2年もの間休業していました。それを湊さんが去年の11月に復活させたんです。
新実アナ「出た、体重計!本当に正確ですか?この体重計は?」
湊さん「一応、正確です。」
時代を感じさせるレトロなアイテムは銭湯の魅力。残せるものは極力残しているそうです。
湊さん「これは”おしどり錠”です。いろいろ鍵のブランドがありまして、ちょっと銭湯ファンからすると美味しいポイントですね。」
新実アナ「そうなんですか?急に活動家の顔になりましたね。」
そんな湊さんが銭湯にハマったのは、進学を機に地元静岡を出て京都で一人暮らしを始めた時。
湊さん「京都に来て初めて、こういう昔ながらの地域コミュニティみたいな銭湯に行って、そこで結構感動して。近所のおじいさんおばあさんが毎日来て、”こんばんはと”とか”久しぶり”とか、アウェイなんだけど快く迎え入れてくれるような空間だったんです。こういうのって日本ならでは、銭湯ならではだと思って、そこから色んな銭湯に行ってみようと日本全国を…」
新実アナ「全国を回られた?」
湊さん「全国に行きました!今まででトータル700軒くらい。(全国に何軒?)3000軒くらいと言われていますね。」
新実アナ「その4分の1も!?」
全国の銭湯を回る中で、それらが抱える深刻な問題と同時にある課題に気づいたといいます。
湊さん「今までちょっと銭湯が経営努力不足だったというのがあって、色々、僕がポスティングをやったりだとかSNSで情報発信したりだとか、他の業種の方がやっているような努力っていうのをちょっと銭湯でやってみました。」
例えばこちら!『都湯』では、紹介用のパンフレットを配布しているのですが…
湊さん「銭湯の中ってどうなっているんだろうとか、不安な方とかいらっしゃると思うんで、予めこうやって中が見えると『あ、こんな銭湯なんだ』と、安心して来て頂けるかなと思い、中の見取り図を書きました。」
新実アナ「昔のお客様だけでなく、新しいお客さんをとにかく集めたいんですね。」
湊さん「そうですね。昔のお客さんだけだと正直かなり厳しいと思うんで…」
古いモノの中には、今の時代にそぐわないモノも!
湊さん「ここに昔ながらの番台があって…」
新実アナ「番台がないですよね?そういえば…」
湊さん「そうなんですよ。番台があると、女性の人が来にくいとか、一応カーテンは付いていたんで見えないんですけど…」
新実アナ「見ないとは思うけれど、女性はちょっと抵抗感ありますよね。」
湊さん「抵抗感、特に若い女性とかはありますよね、番台取っ払って、もうちょっとお客さんとコミュニケーション取りやすいように、ロビーとか作りました。」
さらに、かつては住居スペースだったという2階には…
新実アナ「お?これは何ですか?」
湊さん「スタジオなんですよ。照明とカメラもあって、ここでユーチューブの撮影をしているんですよ。」
新実アナ「ユーチューバーなんですか?」
湊さん「銭湯のことをテーマにユーチューブで動画を配信していまして、例えば”ケロリン桶60個買ってみた”動画とか、”水質検査の開封動画”とかを配信しています。ターゲットは銭湯好きな人。このユーチューブを通じて色んな人に銭湯のことを知っていただけたらいいなと。あとユーチューブのコンテンツで銭湯についてやっている人が誰もいなかったので…」
映像を制作しているのは、スタッフの原俊樹さん(34)。『都湯』の運営も彼が行なっています。
原さん「『動画見たよ』と言って来てくれる方もいるんで、『今回の動画どうだったな』とか思いながら…」
新実アナ「いいですね。テレビは何十万人の視聴者に見ていただいても、直接感想いただくことはなかなか無いですから。」
開店時間が近づいてきたので、私もお手伝いしてみました。40分おきに薪をくべるという昔ながらのスタイルですが、なかなかの重労働です。ちなみに、このボイラーは新しく購入したそうなんですが…
新実アナ「ちょっと検討もつかないんですけど、かなり高いんじゃないですか?」
湊さん「いい車が買えるくらい…380万円ですね。」
新実アナ「380万円!初期投資だけじゃないですよね?リフォームしていますもんね?」
湊さん「結局まあ、準備金と合わせて700万円くらいかかりました。」
新実アナ「本当ですか?京都の『梅湯』の経営で貯めて貯めて?」
湊さん「で、銭湯に使います。それが喜びなんで、高級車を買うよりも窯(ボイラー)を買う方が嬉しいです。」
新実アナ「さすが活動家です。」
午後3時、いよいよ『都湯』がオープン。早速、私も浸かってみました。
新実アナ「最高です!」
お湯は、天然の地下水をくみ上げて沸かしたもの!温泉にも負けていないと評判がいいんです。利用者に伺いました。
常連の男性「(復活を聞いて)1番に来ました。しかも28歳の若者がやってくれるのがいい。風呂というのは、体を洗うというより心を洗う場所。気持ちとか心が洗われる。コレが一番いい!家湯では感じられない。」
こちらの若い男性は、再開してからの新しい常連さん。
男性「小さい時に、ウチの母方の祖母の家がお風呂がなくて、いつも遊びに行くと銭湯へ通っていたら、銭湯行く習慣が染み付いてしまって。銭湯はずっと沸いていて湯冷めとかしにくい。また、浴槽が広くて奥行きがあるんのですごくリラックスできます。」
新実アナ「ものすごい勢いで語られますね。熱いですね。」
湊さん「なかなかの長風呂ですよね?」
新実アナ「お風呂が熱い?話が熱いではなく?」
今後の夢を伺いました。
湊さん「各都道府県に1軒ずつ銭湯を残したいので、できれば街に1つずつ残したいくらいなんです。(地域によって)豊かさが全然違うと思うんでね。」
新実アナ「成功のモデルという意味では京都『梅湯』で一度は成功されている訳じゃないですか?」
湊さん「やはり京都という土地なんで人口が多い、観光客の人が来るというアドバンテージがあるんで、どこでも通用するモデルになるのか?と自問した時に、『それは違うだろうな』と思いました。」
新実アナ「多くの地方の本当に今厳しい状況の銭湯は、むしろこの『都湯』に状況が近いと?」
湊さん「ほとんどがそうだと思います。やっぱり観光客もなかなか取り入れられない中で、お客さんを呼ぶことができ、そして利益も出せることを証明できれば、大概のところで通用するんじゃないのかなと思います。」
湊さんにとって、『都湯』こそが本当のスタートラインなんです。ところで「お風呂上がり」と言えば…
新実アナ「コーヒー牛乳はありますか?」
湊さん「コーヒー牛乳がですね、実は乳製品販売の免許が必要なんですが取ってなくて、まだ…。」
新実アナ「(全国制覇の前に)まずは、そっちですね。」
湊さん「まずは牛乳からっすね。」