『刑事司法の壁に挑んだ一連の検証報道』が
第62回ギャラクシー賞報道活動部門で入賞!

2025年4月28日(月)

NPO法人放送批評懇談会が、日本の放送文化の質的な向上を願い、優秀番組・個人・団体を顕彰するギャラクシー賞の第62回(2024年度)の選考が行われ、『刑事司法の壁に挑んだ一連の検証報道』(報道情報局報道センター)が、報道活動部門で入賞しました。
今後、本作を含む6作品を対象に最終選考が行われ、6月2日の贈賞式で「大賞」、「優秀賞」、「選奨」が発表されます。
受賞コメント(報道情報局報道センター 上田大輔/赤穂雄大/菊谷雅美)
赤穂、上田、菊谷
左から赤穂・上田・菊谷
日本の刑事司法が抱える課題は極めて深刻ですが、テレビでの裁判報道は『絵がない』、『難解だ』といった理由で敬遠されがちです。私たちは、独自の取材と映像表現の工夫でこの壁を乗り越えようと思いました。暗中模索の取り組みでしたが、今回こうして光を当てていただき大変嬉しく感謝を申し上げます。受賞を励みに今後も取材を続けていきたいと思います。

『刑事司法の壁に挑んだ一連の検証報道』

逮捕報道に比して裁判を大きく取り扱うことは少ない。現状に疑問を抱いた記者が、裁判報道の新たな可能性を模索。冤罪を生む構造、刑事裁判官の実態、特捜検察の取り調べの闇など刑事司法が抱える問題に独自取材と新たな映像表現で迫った。
放送
2021年11月2日~2024年12月20日 「newsランナー」、「ザ・ドキュメント」等
取材
上田大輔/赤穂雄大/菊谷雅美
対象となった放送
❶『乳児窒息死冤罪事件』(報道ランナー 2022年12月26日放送)
無罪確定からわずか10日後に冤罪を生む構造を検証。逮捕報道について当事者の声を紹介しつつ、マスメディアの責任として検証取材を行っていく重要性を訴えた。
『乳児窒息死冤罪事件』
❷『ザ・ドキュメント 引き裂かれる家族 検証・揺さぶられっ子症候群』(2023年7月7日放送)
虐待冤罪で起訴された父親が長期勾留された背景に「人質司法」の問題があると指摘。保釈決定を取り消し続けた裁判官を実名表記した。放送から8ヶ月後、国は「子ども虐待対応の手引き」からSBS診断基準などに関する記載を削除した。
❸『ザ・ドキュメント 逆転裁判官の真意』(2023年11月24日放送)
“有罪推定”と言える日本の刑事裁判の実態を炙り出す。ロス疑惑銃撃事件二審の裁判長が、初めてメディア取材で内幕を語るなど独自取材。記者の取材過程を示す構成と独自の映像表現で、刑事司法に関心がない層も引き込んだ。
ザ・ドキュメント 逆転裁判官の真意』
「ザ・ドキュメント 逆転裁判官の真意」より
❹『プレサンス元社長冤罪事件』(報道ランナー2021年11月2日、2022年6月10日、同年10月4日、newsランナー2024年6月11日、同年8月9日、同年12月20日放送)
史上初めて世に出た検察特捜部の取り調べ録音録画を独自入手し、スクープ。また、他のテレビ局が検事を匿名で報道する中、当初から取り調べ検事と主任検事を実名報道。最高検からの指示で捜査方針を転換した”特捜部の暴走”を独自取材した。
『プレサンス元社長冤罪事件』
❺『白浜保険金殺人事件』(newsランナー 2024年2月29日放送)
逮捕時に注目を集めた事件で一審が科学的証拠を十分吟味できていたか検証取材。「疑わしきは罰せず」に従うか注視すべきと考え、判決前に特集した。
❻『今西事件』(newsランナー 2024年7月26日、同年11月26日、同年11月28日放送)
5年半勾留された男性の保釈当日、独自取材を基に「逆転無罪の可能性が高い」と踏み込んだ記者解説。判決前に刑事弁護人の葛藤に触れつつ裁判の詳細を伝える特集を放送した。判決当日、当事者への偏見を強める要因について自己検証の必要性に言及した。
視聴はこちらから
❶『乳児窒息死冤罪事件』の特集
❷『ザ・ドキュメント 引き裂かれる家族 検証・揺さぶられっ子症候群』
❸『ザ・ドキュメント 逆転裁判官の真意』
❹『プレサンス元社長冤罪事件』の特集(2024年12月20日放送分)
❺『白浜保険金殺人事件』の特集
❻『今西事件』の特集(2024年7月26日放送分)