関西テレビが“ある資料”を独自入手。
補助金不正の新たな疑惑が浮上しました。
これは一連の事件で大阪地方検察庁特捜部が押収したものと同じ資料です。
森友学園の系列の保育園が大阪市に提出したものとみられます。
書類の申請者は、保育園の総裁・籠池泰典(本名・康博)容疑者(64)。
2012年から数年間にわたり、森友学園の系列保育園で複数の保育士が『派遣職員として働いていた』と書かれています。
月給は、基本給にあたる本俸15万円と諸手当4万円を合わせた19万円。
ところが…
【系列保育園の保育士として申請されていた女性】
Q.保育園の先生として大阪市に申請されている資料に名前があるが心当たりは?
「ないです」
Q.実際はどこで働いていた?
「(系列の)幼稚園で働いていました。保育園に入ったこともない」
派遣職員として名前が書かれていたうちの数人は関西テレビの取材に対して「実際は系列の幼稚園に勤務している。
保育園では働いていない」と話したのです。
さらに資料を読み解いていくと、保育園の派遣職員として名前のあった保育士たちにある共通点が見つかりました。
“籠池商事の雇用証明書”
籠池泰典容疑者自らが役員を務める『籠池商事』という企業が発行した雇用証明書。
2011年から去年までの6年間で、のべ36人に発行されていました。
系列幼稚園の保育士は、知らない間に籠池商事と雇用の契約を結ばれ、保育園に派遣されたように偽装されていたのです。
【系列保育園の保育士として申請されていた女性】
Q.派遣元が籠池商事になっているが籠池商事の名前を聞いたことは?
「ないです。初めて聞きます」
Q.この資料に、幼稚園で働いていて保育園で働いていない方はいらっしゃいますか?
「います。すごく不愉快です」
大阪市によると、派遣された保育士の名前は保育園の給与台帳に記入されません。
そのため監査の時に実態を見抜きにくくなると考えられます。
ここでもう一つの疑問が浮かびました。
“なぜ働いていない保育士を申請する必要が?”
大阪市によると、保育園は保育士の人数が増えると、受け入れ可能な園児の数が増えます。
園児の数が増えると、市の補助金をより多く受けることができるのです。
大阪市はこれらの手口で学園側が約5500万円の補助金を不正に得たとみています。
さらに不正を示す動かぬ証拠が…
登記を調べると、籠池商事は雇用証明書が作られる前の2010年に閉鎖していたのです。
この疑惑について、逮捕前の籠池夫妻に取材を試みましたが・・・
【逮捕前の籠池容疑者】
Q,籠池商事についてなんですけど・・・
「しつこいねん」
「籠池商事」の言葉を聞くなり激しく興奮し、質問には一切答えませんでした。
さらに、入手した資料から、諄子容疑者の給与にも疑惑が浮上しています。
<大阪市の調査・ことし4月>
【市職員】「もう一点ございます」
【諄子容疑者】
「まだあるんですか。あなたは鬼ですか。きょう聞きました。補助金を一応出すけど、返還してもらうことがあるって。60万円ですよ、(保育園での)私の給料20万円ですよ、手取り。私が何をしたんですか。私の給料多いんですか」
大阪市に対して、このように詰め寄っていた諄子容疑者。
資料には籠池真美、つまり諄子容疑者に対し、保育園の基本給とボーナス合わせて、2011年に800万円、2012年に1050万円が支払われていたと記されています。
しかし…
【系列保育園の保育士として申請されていた女性】
Q.幼稚園には、泰典容疑者や諄子容疑者は常駐していた?
「ほぼいらっしゃったと思います。保育園に常駐は絶対していない、二人とも」
常駐していないはずの保育園から多額の給与が支払われていたことになります。
なぜこんなことがまかり通っていたのか?
そして、実際には働いていない保育士に対して毎年支払っていたとする給与は一体どこへ消えたのか?
大阪地検特捜部は押収したこれらの資料などを分析し、一連の補助金不正受給に関して全容の解明を進めています。