投開票が迫る衆議院選挙、京都市内の中心に位置する京都1区。
これまでは衆議院議員で最高齢だった自民党の伊吹文明さんが長年議席を守ってきましたが今回、引退を表明。
その議席を誰が獲得するのか、注目が集まっています。
■伊吹氏が引退
永田町に解散風が吹き始めていた、今年6月。
京都には、大きな嵐が迫っていました。
【自民党・伊吹文明元衆議院議員】
「いや、突然ですみませんね」
緊急で記者会見を開いたのは、京都1区選出、自民党の重鎮・伊吹文明元衆議院議員です。
【自民党・伊吹文明元衆議院議員】
「絶対に大丈夫だと、自信がない限り、国会議員は続けるべきではないと」
12期連続当選で、大臣や衆議院の議長も務めた伊吹さんの“引退”宣言で、京都1区は、風向きの読めない選挙区となりました。
伊吹さんが守ってきた議席を目指して、共産・維新・自民、3人が立候補を届け出ました。
■勝目康候補
【自民党・勝目康候補】
「伊吹文明さんが築かれた37年間の積み重ね、今ここで、終えてしまっていいのでしょうか。京都がコロナ禍から立ち直り、その次の未来へ発展していかなくて、いいのでしょうか」
伊吹さんの後継指名を受けた、自民党公認で新人の勝目康さん(47)。
京都市出身、総務省の元官僚で、京都府に出向して、コロナ対策の予算を作成する責任者も務めました。
【自民党・伊吹文明元衆議院議員】
「私を超える日本政治に発言権を持てる、京都と東京のパイプ役を果たせる、そういう政治家に育ててやっていただくのは、皆さまです」
後継者に指名されて以降、地道に伊吹さんの支援者を引き継ぐ活動に専念してきました。
9月、初めて、街頭に立った時は…
【自民党・伊吹文明元衆議院議員】
「まずは、地元の先生、ちょっとずつ喋ってもらって、あなたは司会で。2人に一言ずつ」
【司会者】
「次バトンを渡されたのが、勝目康さんでございます」
【自民党・勝目康候補】
「伊吹先生は、大変大きな足跡を残してこられたわけでございます。その後を継ぐ、志を継ぐ、それが、わたくしの今の政治活動でございます」
選挙のキーワードは、「伊吹さんの志を引き継ぐ」。
演説が終わっても、気を抜けません。
【自民党・勝目康候補】
――Q:今日初めての演説ですよね
「緊張しました」
【自民党・伊吹文明元衆議院議員】
「話を半分にね」
【自民党・勝目康候補】
「半分…すみません」
【自民党・伊吹文明元衆議院議員】
「言いたいことは周りの人に言ってもらって、出来るだけ話を短く」
【自民党・勝目康候補】
「ということでございまして、経験の浅さが…」
選挙でどう立ち回るべきか、伊吹さんが何度も指示を出します。
【自民党・勝目康候補】
「京都の声、京都の実情、東京へ、国へしっかり届けて、国の力を京都の再生発展に活かす。この間を繋ぐ役割がなくなってもいいのでしょうか。そのようなことは絶対あってはいけない。勝目康、そのために全力で戦ってまいります」
■穀田恵二候補
【共産党・穀田恵二候補】
「いよいよ、決戦の時が来たということですね。京都1区でなんとしても勝ち抜くという決意を固めています」
共産党公認の穀田恵二さん(74)。
国会対策委員長を務めた党の重鎮です。
穀田さんと伊吹さんは、同じ選挙区で9回も議席を争いました。
水と油のような関係かと思いきや…
【自民党・伊吹文明元衆議院議員】
「皆様、今日は、穀田先生の在職25年というお祝いに、こうしてお集りいただきました」
伊吹さんが発起人となり、穀田さんの議員在職25年を祝って、西陣織の肖像をプレゼントしたのです。
【共産党・穀田恵二候補】
「伊吹先生がご勇退とお聞きし、ある種の寂寥感を覚えました。大先輩に大変失礼ですが、永遠の好敵手、究極のライバルと言えます。実は、私はもう一度挑戦したかったのが本音です」
選挙区を回ると、支援者から声をかけられることも…
【支援者】
「男前だね」
【共産党・穀田恵二候補】
「そうなのです、男前というのはね、元々、あの合戦の時代に、背中に傷があるのではなくて、前に傷があるのを、男ぶりがええと、男前傷、前に傷がある、ええ男や」
【共産党・穀田恵二候補】
「衆議院京都1区の候補者として、勝ち抜くために頑張りたい。共産党の票を6万票出し、今度こそ、なんとしても、今度こそ京都1区で勝たせていただきますように、よろしくお願いいたします」
京都1区には、立憲民主党や、社民党、れいわ新選組が候補者を擁立しませんでした。
共産党は、穀田さんを実質の「野党共闘候補」だとしていて、反自民党支持者の票を集めたい考えです。
【共産党・小池晃書記局長】
「この人なくして、国会共闘なし、この人なくして、日本の議会制民主主義なし。京都だけではありません、我が国、国会の宝の議席です」
今回の選挙戦、穀田さんが訴えるキーワードは、政権交代です。
【共産党・穀田恵二候補】
「今なぜ政権交代か、それはコロナ対策の大失政を、根本から変える必要があるからです。強権政治、うそをつく政治、これを改めるためにも、政権交代が必要です」
■堀場幸子候補
激戦区での出馬となった、日本維新の会公認の新人・堀場幸子さん(42)。
堀場さんが、選挙に出馬するのは初めてです。
解散が早まり、選挙の日程も想定より1週間前倒しになったため、事務所スタッフ総出で、準備を急ぎます。
【維新・堀場幸子候補】
「一気に雰囲気がでましたね」
【地元議員】
「これで臨戦態勢ね」
【維新・堀場幸子候補】
「納品まで、ぎりぎりでね」
堀場さんは、元は学校の教員で、2人の娘を育てる母親でもあります。
地元が京都1区ということもあり、伊吹さんが引退を表明する前から、この選挙区で戦うことを決めていました。
【維新・堀場幸子候補】
「京都はしがらみだらけの政治です。雲の上の偉い先生に政治を託せば、うまいことやってくれるかなと思っておりました。でもなんか、うまいことやってくれなかった。上から目線の政治をやめようと、そういう政治家を目指して、がんばっていきたいと思います」
堀場さんが訴える政策の一つが、地方分権です。
国から地方へ、権限と財源を移し、京都のことを京都で決められるような仕組みづくりを実現するために、国政の場を目指します。
【維新・堀場幸子候補】
「京都では、日本維新の会、まだまだ小さな政党でございます。それでも実行力あります。志あります、女だから政治なんて無理だって言わせません」
松井一郎代表も、京都に入り、これまでの維新の実績をアピールしました。
【維新 松井一郎代表】
「今までお金の使い方を見直していこうと、そのことで、財源を確保して、次の世代に、つけを回すことなく、大阪でやってきたこと、これを全国に広げていけば、やりくりができるわけですよ」
【維新・堀場幸子候補】
「権限と財源と、そして、人を京都にもってきて、地方分権を実現したい。今こそ、改革の時。だからこそ、この京都1区から日本を、変えよう、京都を再生しよう、ご支持をいただきたい」
■コロナと経済の課題解決は
京都は、コロナの感染拡大で、一時、医療体制が厳しくなりました。
観光や飲食業者には疲弊感も広がっています。
3候補者は、コロナと経済の課題をどう解決するのでしょうか。
【共産党・穀田恵二候補】
「持続化給付金をもう一度行う、生活困窮者に対する支援を行う、そして、学生に対する支援金を行う。削るのは、辺野古の基地建設の費用や、イージスシステム搭載艦の費用を削り、博打のカジノの費用は削る」
【維新・堀場幸子候補】
「持続化給付金の第二弾も、結構早くから言わせてもらっているし、30兆円規模の生活支援も。自民党は政治を与党でやっているのに、やってないわけです。だから、そういうところでは、やはり違いが出てくるのかなと思っています」
【自民党・勝目康候補】
「足元のコロナと、疲弊した経済と、あと社会ですよね。お祭りとかお神輿とか、今年も2年連続できなかったところもすごく多い。地域社会と経済の再生、これは足元の課題として、絶対必要なので、間違いなく訴えていかないといけない」
(カンテレ「報道ランナー」10月20日放送)