野球で町おこしをしようと、兵庫県淡路島に移住した元女子プロ野球の選手がいます。彼女たちが目指すものとは…。奮闘する姿を新実彰平キャスターが取材しました。
【新実キャスター】
「おはようございます。元女子プロ野球選手と伺っていますが…今は練習をしているんですか?」
【田中朋子さん】
「選手が1人しかいなくて、私たちも一緒に…」
【新実キャスター】
「お2人はもう引退している?」
【田中さん】
「はい。女子野球のクラブチームを作りたいというのがあって」
【田中さん】
「ただ11人揃わないと(全日本女子野球)連盟に登録できないので選手の募集をしているところです」
10年間、女子プロ野球選手として活躍していた田中朋子さん。
かつて3シーズン、淡路市をホームタウンとした「兵庫ディオーネ」で内野手としてプレーし、2年前に現役を引退しました。
そして、「兵庫ディオーネ」時代のチームメイトで、去年、現役を退いた泉由有樹さん。女子野球チーム創設の話は、2人が淡路市で引退の挨拶回りをしている時に持ち上がったそうです。
【新実キャスター】
「淡路市に挨拶に来て、クラブチームやらへんかと?」
【田中さん】
「(淡路市から)クラブチームを作りたいという話になって、私たちも3年間お世話になってたので」
【泉さん】
「野球で恩返しをしようという事で、もう1回淡路島に戻ってきた」
【新実キャスター】
「川野さんは?」
【泉さん】
「口説きました。ここ(淡路市)に来て欲しいと」
【田中さん】
「憧れてるんですよ。泉さんのことを」
【川野秀美さん】
「中学の時に野球教室で憧れて、そこから野球を続けてるのもずっと泉さんに憧れて」
「野球で淡路島に貢献したい」と考えた田中さんは、地域おこし協力隊として、今年2月に京都から移住。泉さんと、女子プロ野球の育成選手だった川野さんも田中さんのあとを追って、淡路島に移住してきました。
【新実キャスター】
「田中さんの野球歴はどれくらいなんですか?」
【田中さん】
「私、野球歴短いんですよ。高校でソフトボールやってて、中学は吹奏楽部だったんですよ」
【田中さん】
「大きいバスクラリネットを吹いてました。元々野球をしたかったんですが、やる環境がなかった」
ここ10年で全国の女子野球の競技人口は30倍以上に増加。しかし、その環境は恵まれているとは言えません。野球に打ち込む女性を淡路島に呼び込むためには、まずは、野球ができる環境作りが必要となります。
【田中さん】
「社会人としてやらないとダメなので(選手の)就職先を決めていかなくてはいけない。淡路島という場所に来るのに仕事先がないと不安だと思うので、そういうところを環境的に作ってあげないと、女子選手は来ないと思う」
【新実キャスター】
「支援企業とかスポンサー企業ですね。一方で、プレーヤーはどこから来てもらうイメージですか?」
【田中さん】
「今、女子野球の環境も整ってきているので、高校とか大学のチームに挨拶に行かせて頂いて、クラブチームを作りますとか伝えていかないといけない」
【田中さん】
「少しずつ増えてきてはいますが、(野球チームの)受け皿がないので、(野球を続けることを)諦める子を減らしていくというのをやっていきたい。」
【蒼開高校女子硬式野球部・井手麻由佳監督】
「私の時も高校の女子硬式野球部が全国に6校しかなかったので、この先も(野球を)ずっと続けていって欲しくて。お母さんになった時に女の子が生まれたらキャッチボールもして欲しいので、(プロを)1人でも目指してもらって、もし無理でも大学とか社会人になっても続けていってくれたら嬉しい」
来年春のチーム創設を目指す田中さん。公募していたチームの名前を市長に報告するということで、同席させてもらいました。
【新実キャスター】
「(公募で)例えばどんなチーム名が・・・」
【田中さん】
「ブルーオニオンズとか、オニオンズとか」
【新実キャスター】
「タマネギはやっぱり入ってきますか?多かったですか、オニオンは?」
【田中さん】
「多かったです(笑)」
【田中さん】
「1カ月間公募して、チーム名が決まりましたので、淡路ブレイブオーシャンズ(淡路BRAVE OCEANS)で行かせて頂こうと思います」
【門康彦・淡路市長】
「いいですね。いいけど何や…意味不明やな(笑)」
市長はピンと来ていないようですが、集まった81のチーム名の中から「淡路ブレイブオーシャンズ」に決まりました。
【田中さん】
「ブレイブが何事にも恐れず勇敢、勇ましいという意味で、オーシャンが海。女性が何事にも恐れずチャレンジをし続け、海のように広くたくさんの方と繋がりたい」
【門市長】
「いい名前なんですけど、通称はどうするのかな?」
【田中さん】
「オーシャンズ」
【門市長】
「はぁ~。簡単な方が…。かかってこんかいとか…」
【田中さん】
「考えてみます…」
【新実キャスター】
「おもしろい市長ですね(笑)」
【新実キャスター】
「淡路ブレイブオーシャンズには、地域においてどういう存在を期待していますか?」
【門市長】
「子供たちが憧れるような存在であってほしい。(兵庫)ディオーネの時もそうやった。初めは大人だけだったが子供も一緒になってくる。家族で応援する。だから夢を託してるんですよね」
少子高齢化が進む淡路市を野球で盛り上げてほしい。田中さんたちには熱い期待が込められているんです。
そして、やってきたのは淡路市にある野球場。
田中さんたちが女子プロ野球の選手時代にプレーした思い出の地です。
【泉さん】
「野球したくなりますね。ここ満員のお客さんがいて」
【田中さん】
「(お客さんとの)距離が近いので、声も聞こえますし、顔も見えるので」
【泉さん】
「頑張れー!という応援が力になった」
【田中さん】
「試合したいよな、ここで」
チームができれば、田中さんは監督として戦うことになります。
【新実キャスター】
「改めて、どういうチームを作りたいのか?また、作ったチームで何を目指していきたいですか?」
【田中さん】
「おじいちゃんおばあちゃんが多いので、そういった意味で女性が活躍している姿というのは活気づくと思いますし、女の人が元気な姿を見せられるようにしていきたい」