新実アナ「京都にやってまいりました。グローバルティーチャー賞!? って何ですか?という感じなんですが…私、京都出身なんですけども、憧れの立命館小学校。綺麗な校舎ですね…」
『立命館小学校』正頭英和教諭(36)「正頭と申します。(Q.先生が「グローバルティーチャーですか?)まぁ、一応…」
『立命館小学校』で英語を教えている正頭英和教諭。今年3月、教育分野で優れた功績のあった教員を表彰する『グローバルティーチャー賞』で、世界150カ国、3万人のエントリーの中からトップ10に選出されました。日本人としては3人目、小学校の先生としては初めての選出です。
新実アナ「どういう基準で選ばれるんですか?」
正頭先生「学校の先生の地位は今、低くなっていて、日本だけの現象だけでなく世界的な現象なんです。(Q.忙しい仕事に見合う給料が出ているのか?といった色々な報道がありますが…)そういう先生たちを元気付ける実践というか、教育を大きく変えていくだろうと言われている者に対して贈られる賞です、”Change maker”と言われたりします。」
新実アナ「先生は、どんな”change”を”make”する教育をされているのですか?」
正頭先生「英語の授業の中にゲームを取り入れました。『マインクラフト』という子どもたちには有名なゲームなんですけども…」
先生の受賞の最大の要因となったのが、全世界で1億7500万本以上の販売数を誇る人気ゲーム『マインクラフト』の教育版を2016年から授業に取り入れたこと。授業では、1人ずつにノートパソコンが配布され、グループごとに同じ仮想空間の中で協力し、1つの建物を作りあげていきます。画面の中で、児童ひとりひとりがそれぞれのロボット(自分の分身)を動かせて共同作業します。
作業する空間は同じでも、各々が見えている景色は異なります。1つ1つのブロックを積みあげて、建物を完成させます。いったい子供たちはこの授業で何を学ぶのでしょうか?。」
正頭先生「We have a guest teacher,Mr.NIIMI!」
新実アナ「Nice to meet you everyone! My job is newscaster.”KANSAI TV”channel 8 program”報道ランナー”」
いきなり…、英語での自己紹介で戸惑いましたが、この授業では、先生は英語しか使わないんです。そして実際に、グループに入れていただき、授業を体験しました。
児童たちは、与えられた図面の通りに家を完成させていきます。各グループごとにリーダーを決め、リーダーの指示に沿って役割分担し協力をしながら作業をしていきます。的確に指示する力や計画をする力、コミュニケーション能力が自然と育まれるんです。どんどん家作りが進んでいくのですが、初心者の私は、操作方法も分からず、全く力になれませんでした。
新実アナ「何をしているのか分からない…」
しかし、この課題はまだ授業の序の口にすぎません。約1か月かけてこれを完成させると、2学期からは、京都ならではの世界遺産の寺社仏閣などをグループで作成し、世界の小学生たちとの交流を目指すんです。事前に現地へも足を運び、そこで得た情報を観光ガイドをしてくれるロボットに”英語”でプログラミングします。完成した映像を見た海外の子供たちから直接フィードバックがあり、意見交換を行うのです。
新実アナ「凝り固まった考え方だと、英語の授業、歴史の授業、総合学習と分けて考えがちですが、すべてが含まれているんですね?」
正頭先生「”課題解決型”授業といってPBL(Problem Based Learning)と言われている学習なんですけども、この授業をパッと見た時にこれ何の教科?となりますよね?でも、これからの学習はそういったことが増えてくると思います。私たちが社会に出て直面する問題というのは、国語の知識、社会だけの知識だけではなく、色んな知識を断片的に活用していきながら解決していくことが多くて、そういう機会を小学校から作っていこうと思いました。」
児童「めっちゃ楽しい。未来にコンピューターが発達してくると思ので、その練習になると思います。」
正頭先生は、立命館の中学・高校の教諭を経て8年前に小学校に着任。今回の「グローバルティーチャー賞」にも自らエントリーを出すなど、常に行動力を発揮されています。他の先生たちの目には、どう映っているのでしょうか?
『立命館小学校』後藤文男・学校長「生意気な先生でした。正頭先生は高校教諭からスタートしているんですね。たまたま私が先生の指導役でしたが、とにかくどんなことでも必ず質問する、うるさいというくらいに。何かに向かってエネルギーを持っている人はやっぱり大きく物事を変えていくんだなと、今になって分かります。」
『立命館小学校』六車陽一・入試部長「視点が広いのだと思います。世界を見ている。常にアンテナも高く張っていますし、ICT(情報通信技術)のことに対しても敏感です。」
そんな先生自身のターニングポイントは、大学時代にあったそうで…
新実アナ「先生自身は、英語をどうやって習得されたんですか?」
正頭先生「留学の経験は無いんです。大学で海外旅行に行く機会があり、向こうで出会った人日本人が『お医者さんになりたい』と。
僕は英語を”勉強する”為に行ったのに、その子は英語を使ってすでに次の目標に進んでいたんです。このままではまずい!と。英語がゴールの人間と英語が手段の人間とは全然違うじゃないですか…」
その悔しさをバネに、独学で英語を身に着けたという正頭先生。習得の極意とは?
正頭先生「とにかく僕の場合は恥をかく。”自分は英語ができない”と受け入れて、たくさん(英語を)使って、たくさん失敗して、たくさん恥をかくと決めました。」
これから未来を担う今のこどもたちに”一番伝えたいこと”を伺いました。
正頭先生「どんなことにも挑戦をして欲しい。小学校1年生の頃は何も怖がらずに挑戦するけれども、6年生になったり大人になるとリスクばかりを考えて色んなことに挑戦しなくなる。このゲーム(マインクラフト)だと、失敗してもすぐやり直しができる。何度も失敗して続けて行ったら、やがて完成するものがあるんだ!という世界を子どもたちには届けたいです。根本の部分としては、”失敗を恐れない”子を育てたいです。」