大阪市北区の東梅田周辺、多くの飲食店が軒を連ねる阪急東通商店街のエリアを調べたところ、コロナ禍前にはそれほど多くなかった『韓国料理店』が今、急増しています。
若者を中心にブームが続いているということもある一方、理由はそれだけではないようです。
増える韓国料理店の謎を取材しました。
■客の多くは“10代から20代”
大阪を代表する繁華街のひとつ、梅田で近頃急増しているという韓国料理店。
薄田ジュリアキャスター:
「派手な看板が見えてきました。ネオン輝く韓国料理屋さん、2軒連なってます。…ここもだ!韓国料理の居酒屋賑わってますね」
調べてみると、飲食店が多く並ぶ東梅田では、ここ1~2年の間に20軒以上も新たに出店しているんです。
阪急東中通商店街振興組合 小牟礼隆之理事:
「僕もよく道聞かれるけど、韓国料理屋の名前があがる。一気に増えて地位を確立している」
阪急東通第一商店会 加納利彦会長:
「昔はおっちゃんの飲み屋街もありましたけど、時代の流れでしょうね」
通りで聞いてみると、どうやら利用者の多くは10代から20代の若者たち。
彼ら彼女たちを虜にする韓国料理店が急増している裏側には、どんな秘密があるんでしょうか。
■K-POPや韓流ドラマの影響で“食への接触”も増
阪急東中通商店街に2021年4月に誕生したのは、ビル丸ごと1棟に韓国グルメを集めた飲食専門のビル。
その中の『ソウルラブ』は、韓国のポップカルチャーが集まる弘大の街をイメージしたというお店です。
ミートアート 岡本一応代表:
「このギラギラした雰囲気、ネオンの雰囲気もあるんですけど、実際にシャッターとかドラム缶テーブルとか、現地の雰囲気を総合的にまとめたのがこの店になります。今の時代は見た目とかおもしろさも大事なので、そういうことも意識して流行に乗れるように」
トレンドにこだわるのは当然、料理も…。
店員:
「こちらロゼトッポギ鍋でございます。真っ赤なチゲベースのトッポギ鍋の上に生クリームを添えた商品となっています」
今、韓国で流行中というピリ辛アツアツのトッポギ鍋に、甘さのない生クリームを混ぜて食べるお鍋。
どんな味なのか食べてみると…。
薄田キャスター:
「最初に生クリームのコクが来て、その後ガツンとピリ辛のコクも。クセになる味ですね」
気軽に海外へ旅行することができない中、写真映えする本場韓国を再現した内装やトレンド料理が、若者たちをひきつけているようです。
中にはこんな理由で食べにくる若者も…。
客:
「韓国のアイドルが(ライブ配信などで)めっちゃ食べてるんです。それ見て食べたくなるよ。韓国ドラマとかも」
コロナ禍のステイホームがきっかけと言われる、K-POPや韓国ドラマなどの、今の第4次韓流ブーム。
丸大食品の調査では、約8割の人が韓流コンテンツを見て韓国料理を食べる機会が増えたと答えていて、食への影響も大きいようです。
岡本代表:
「お客さんが飲食店に求めるものが変わってきたというのは感じているんですけど、SNS映えから始まって、体験型、特に旅行に行けない中で食事のシーンくらいは楽しもうというのはお客さん自身から見えます」
■複数店経営する会社が次々業態転換か
一方、店側にはこんなメリットが…。
岡本代表:
「私たちの会社でいうと、もともとは国産牛、黒毛和牛のお店をたくさんやっていたんですけど、そういった業態に比べて仕入れ値も圧倒的に安く済んでいますし、野菜をたくさん使う業態というのもありまして、非常に原価的にも優秀です」
新型コロナの影響で、もとの飲食店から業態の転換をはかったお店は多く、大阪市北区の兎我野町にある派手なネオンの外観が目を引く『キミニスパイス』もその一つです。
キミニスパイス 内藤智之店長:
「オープンは2021年の7月です。前は多国籍のスパイス料理店をやってました。韓国料理を求めている人が多かったので(他店も)増えてましたけど、まだまだ参入していけると」
写真映えを狙って内装にもこだわり、若者にも手の届きやすい価格設定の料理を提供。
豚バラ肉のサムギョプサルのほか、ヤンニョムチキンなど90種類のメニューがついた食べ放題は、2時間2500円で楽しむことができます。
内藤店長:
「韓国料理が嫌いという人の方が少ないと思うので、徐々に来てくれるお客様も増えてきて、やってて良かったと思います」
辛いもの好きから韓流ファンまで一定数いる固定客をつかみやすいという点も、お店が増えた理由の一つと言えそうです。
飲食店をサポートする大手グルメサイトは…。
ぐるなび西日本営業部 横井博行さん:
「特に梅田エリアっていうところにおいて言うと、チェーン店やある程度規模感のある企業さんが出店しているのが多いんですね。そういったところが、このコロナ禍の中で、居酒屋業態から業態変更するっていう形を多くとられたっていうのが背景にあります」
梅田は複数の店舗を経営する会社が多く、こうした会社が韓国料理店に次々とシフトすることで、多くの店が短期間で生まれる一つの要因になっていると言います。
■落ち着いた雰囲気の店内…差別化で狙う客層拡大
勢いを増す韓国料理店ですが、最近は新たな動きも出てきています。
薄田キャスター:
「こちらが入り口ですね 雰囲気が全く違いますね。華美な感じはなくライティングも落ち着いていて、これまでの韓国料理店とは一風違った雰囲気です」
2021年10月に東梅田にオープンした『サム』は、若い女性が好む派手でポップな内装ではなく落ち着いた雰囲気を演出し、幅広い客層を取り込もうとしています。
ANF 八尋貴司専務:
「(周りの店が)似たり寄ったりになってきているんで、内装を可愛い感じやカラフルにすると、どうしても、僕も男性ですけど行きづらかったりする雰囲気だったりするので」
また料理にも差別化を…。
八尋専務:
「こちらが当店のイチオシとなります。牛サムギョプサルという料理になっていまして、牛肉をせいろで蒸した料理になっています」
韓国でも最近話題となっているヘルシーメニューを、いち早く取り入れたのだそうです。
一方、韓国料理では定番のチーズを使った創作メニューも提供していて、若者受けする映え要素もしっかり押さえています。
八尋専務:
「韓国料理はすごく勢いがありますね。まだ止まらないと思います。20代前半の方にK-POPブームが入ってきて、30-40代の方に徐々に浸透してきているんで、一つのジャンルとして韓国料理が定着していくと思っています」
(関西テレビ2022年4月26日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)