きょう9月21日から「秋の全国交通安全運動」がはじまる。 日没が早くなるこの時期から、子供の交通事故が増える傾向があるという。
内閣府によると、小学生の交通事故による死者・重傷者の状態別で最も多いのは「歩行中」、次いで「自転車乗用中」で、学年が上がるにつれ「自転車乗用中」が多くなる。
小学4年生で「歩行中」と「自転車乗用中」がほぼ同数、5年生で逆転し、6年生では「自転車乗用中」の事故が「歩行中」の1.7倍になる。
「今、子供の自転車事情は二極化しています。3歳で補助輪なしで乗れる子もいれば、小学校高学年で乗れない子もいます。実践的な経験が少ないまま中学生になり自転車通学がはじまると事故の心配も大きくなります」 と話すのは「自転車の安全利用促進委員会」の遠藤まさ子さん。 詳しく聞いた。
■地方の方が乗れない子が多い
【自転車の安全利用促進委員会 遠藤まさ子さん】
「子供のレベル感をどこに合わせればよいでしょうか-」
この数年、小学生の自転車安全教室などで指導員の方から寄せられる相談です。
今、小学生で補助輪が外れていない子は少なくありません、高学年で自転車に乗れない子もいます。一方で、早い子は3歳、4歳ぐらいから補助輪なしで乗っています。
自転車に乗れる、乗れないは二極化していると感じています。
意外に思われるかもしれませんが、実は地方の方が自転車に乗れない子供が多いように思います。公共交通機関の少ない地方は、親が車で送り迎えをしてしまうので、自転車に乗る機会が少なくなるのが要因の一つではないかと考えられます。
■補助輪を外すことが最終目標ではない!
では「子供に自転車の乗り方を教える」ときに重要なのはどんなことでしょうか。
多くの親御さんは「補助輪を外す」ことに目が行きがちです。
もちろんそれは前提ではあるのですが、「事故を防ぎ、命を守ること」を理解させることが最も重要です。
例えば「交通ルールを知る」とか「ヒヤリハットを体験する」といった実践的な経験です。
都市部では、公園に信号機や横断歩道が設置された「交通公園」も多く、子供が遊びながら交通ルールを学ぶことができます。
地方の場合、中学、高校でドア・ツー・ドアの自転車通学をするケースが多いと思いますが、実践的な経験が少ないまま自転車通学になると、事故を招きかねません。
子供の頃からぜひしっかりと交通ルールを学び、実践的経験を積んで頂きたいと思います。
■「なぜ危険なのか」を伝えることが大事
「交通ルールを学ぶ」という点では、自転車は被害者になるだけではなく、加害者にもなりうるということを理解させるべきです。
小学校高学年の交通事故で最も多いのは自転車乗車中の事故ですが、その中には加害者となり、相手に大きな被害をもたらす事故も少なくないのです。
小学生の子供(自転車側)の過失が認められ、高額な損害賠償が命じられた判例はたくさんあります。
お子さんに交通ルールを教える際は、単に「無灯火はダメ」「二人乗りはダメ」と話すのではなく、「なぜその行為が危険なのか」「どういうリスクが起こりうるのか」といったことを丁寧に教えてください。
子供自身に「周りに危害を与えない乗り方はどういうことか」を考えさせることがとても大切なのです。
■3人に2人は「自転車保険の義務化」を知らない…
ではもし、お子さんが事故を起こした場合、保護者の責任はどうなるのでしょうか。
子供の場合、保護者が監督責任とそれに伴う賠償責任を法的に問われることになります。
※一部例外的な事例あり
そこで重要になってくるのが、自転車で事故を起こしたときに備える「自転車保険」です。
国土交通省の調査によると、2025年12月時点で自転車保険への加入を義務付けているのは34都府県、また10道県は努力義務を条例で定めています。
一方で、保険会社の調査では義務化の認知率は36%。つまり3人に1人しか知らないという結果もあります。
現状は、義務化されている地域で未加入でも罰則はありません。
ですが、自転車保険は、他人にケガなどをさせた場合の損害補償(個人賠償責任)と、自分の損害の補償がセットになった保険…つまり自分と家族を守るためのものです。
自転車は生活用品ではなく乗り物です。乗り物を運転している以上、「子供だから」では済まないのです。
■「自転車屋さんで買う意義」は大きい
こうした安全面への対応という点では、「街の自転車屋さん」で自転車を購入する意義も大きいです。
今、自転車は、雑貨店や通販などでも購入できます。家から近い、価格が安い、自宅まで届けてもらえるなど多くの利点があると思います。
しかし、店によっては“七分組み”や“九分組み”で販売されていることもあるので注意が必要です。
これはパーツが仮止めの状態「パーツ類が7~9割程度の完成度でついている」ということです。
一見、完成品に見えるので、知らずにそのまま乗車しすぐにあちこちがガタガタになって自転車屋さんに駆け込む…といったことが少なくないようです。
その点、自転車専門店は販売前にしっかりと整備・点検もしてくれますし、自転車保険への加入の案内もあります。そういったお店で購入することも選択肢に入れてください。
整備や保険など自動車だと当たり前に意識することが、自転車はつい軽く考えてしまう方も少なくありません。
免許が不要で子供から高齢者までが乗れる自転車はとても便利であると同時に、加害者にもなりえる乗り物です。
そのことをしっかり意識して頂ければと思います。
(自転車の安全利用促進委員会 遠藤まさ子さん)