トランプ大統領「困ったら何でも言って」 “シンゾウ”への「恩返し」か 高市首相の「強いリーダー」像が米大統領の心をつかんだ瞬間 2025年10月29日
アメリカのドナルド・トランプ大統領と高市早苗首相による初めての日米首脳会談が10月28日、東京の迎賓館で行われました。
日米同盟の強化に向けた会談は和やかな雰囲気で進み、トランプ大統領は「日本が困っていることがあれば支援したい」と述べるなど、両国の良好な関係をアピールしました。
■トランプ大統領、姿勢から読み取れる「重視」の姿勢
「旬感LIVEとれたてっ!」に出演したキャノングローバル戦略研究所主任研究員で元朝日新聞記者の峯村健司さんは、トランプ大統領の「ジャケット」に注目しました。
【峯村健司さん】「まずトランプさんがピシッとしていた。特にいつもトランプさん、だらっとしている姿が多いんですが、ジャケットのボタンをバシッと締めて会談に臨んでいたというのはちょっと驚きでした」
これについて、峯村さんは「これまで例えば北朝鮮の金正恩氏とか、中国の習近平氏のように、重要な会談に臨むときにジャケットをびしっと締めることが多かった。今回はおそらくそれだけ重視していた裏返しでは」と分析しました。
■トランプ大統領「国の体制よりも、まずキャラが合うかがすごい重要」
会談では高市首相がトランプ大統領に対して「強いリーダー」像を示せたという点も峯村さんは指摘。
「握手もガッツリ目を見てしたり、冒頭で1分ぐらい英語で直接話していたところで、かなり強いリーダー感を出した」と評価しました。
さらに「トランプさんって”強いリーダー”と”弱いリーダー”をすぐ分ける癖がある。もし”弱いリーダー”だとみられると、なかなか今後厳しい状況になる。今回、(高市首相が)”強いリーダー”と示せたのは非常によかった」と分析しています。
青木源太キャスターが「それだけトランプ大統領は、首脳同士の個人的な関係値をとても重視する大統領でもありますよね」と指摘すると、峯村さんは「そう思います。国の体制とかよりも、まずキャラが合うかどうかってところがすごい重要です」と答えました。
■拉致被害者家族との面会 予定なかったトランプ大統領が参加の舞台裏
拉致被害者家族との面会は当初はルビオ国務長官だけが対応する予定だったとのことですが、トランプ大統領も参加した舞台裏を峯村さんは次のように解説します。
【キャノングローバル戦略研究所・峯村さん】「昨晩、同行してきたアメリカ政府の人間に話を聞いたら、どうも会う予定ではなかった。今日ぎりぎりまで日本側が説得をして『ぜひ会ってほしい』と言うことで、トランプさんも『会おう』となった」
峯村さんはこの面会の実現について「国際社会に拉致問題がまだ重要であるんだということと、解決に向けた意欲を見せるという意味では、今回は非常に大きなポイントだった」と評価しました。
政治ジャーナリストの青山和弘さんも「拉致被害者家族の皆さんにとってみればアメリカ大統領に力を貸してもらえるのはすごい大きいこと。しかも(トランプ大統領は)金正恩さんと会うかもしれない。やっぱり高市さんの執念を感じる」と述べました。
■トランプ大統領から「何でも言ってほしい」は「リップサービスではない」
峯村さんが最も印象に残った点として挙げたのは、トランプ大統領が「日本が困っていることで支援して欲しいことがあったら言ってくれ。何でも答えるから」と発言したことです。
【峯村健司さん】「これはリップサービスじゃないと思います。あそこまで言い切って何度も『言ってくれ』というのは珍しいこと」
さらにこの発言が、2016年に安倍元首相がトランプ氏に初めて会った際の状況と似ていると指摘しました。
「当時、トランプさんが『国際会議とか行ったことないからちょっと心配なんだよね』という話をした際に、安倍さんが『大丈夫だ、ドナルド。俺に何でも聞いてくれ』と言って、それで安心して打ち解けて2人の仲が良くなった。
ある意味恩返し的な。高市さんがまだ首相になったばかりで色々心配だろうから『俺が助けてあげるよ』という、当時安倍さんに言われたことをある意味違う形で高市さんに返しているのではないか」と分析しました。
■マリーンワンでの1対1の対話「めちゃくちゃ重要」
会談後、トランプ大統領と高市首相は大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」に同乗し、横須賀米軍基地へと向かいました。
この約15〜20分間の移動時間について峯村さんは、「めちゃくちゃ重要だと思っています。ここでもうある意味、1対1で話せる。1番の課題である、2人の信頼関係をつくれるという意味ではもう1番のチャンス」と述べました。
青山さんは「トランプさんにとって安倍さんは先生だった。今度は立場が逆転するけれども、やはり日本の代表として高市さんが中国への懸念を伝えるのでは」と分析しました。
峯村さんもレアアースなど中国関連の話題の重要性を指摘し、「中国が今すごいシェアを持っていて、輸出を規制して、アメリカも日本も困っている。この辺りを一緒に協力しよう、安全保障上、台湾有事も含めて、(中国は)これだけまずいんですよと、一緒に日米同盟(を強化するの)が大事ですよというのを、どれだけトランプ大統領に打ち込めるのかというのは非常に重要なポイント」と述べました。
今回の日米首脳会談全体を通して、峯村さんは「総じてよかった」と評価。 高市首相の外交は順調なスタートを切ったといえそうです。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年10月28日放送)