GWの連休中、大忙しの人たちがいた。
■活況にわいたホテル業界 コロナ禍から続く深刻な人手不足
物価高や円安の影響で海外旅行を諦め、国内旅行を楽しむ人も多かったことしのゴールデンウィーク。活況にわいたのは、ホテル業界です。
【ホテルユタカグループ西隆社長(67)】「去年よりだいぶ(宿泊客が)増えている。(5月の予約率は)去年3割でしたかね。ことしは7割か8割ぐらいですかね」
インバウンド需要も相まって、関西空港の近くにある「ホテルニューユタカ」では、期間中ほぼ満室の日が続きました。
【中国からの観光客】「(りんくうの)アウトレットにいきます」「(このホテルは)空港からも近いし、私たちのツアーガイドが、このホテルが快適だというので、ここにしました」
■去年は社長自ら10連勤 今年は新戦力加入で「休みとれた」
一方で、ホテル業界を悩ませる深刻な課題が、人材不足です。 帝国データバンクの調査では、宿泊施設の約7割で、正社員が不足しているとされています。
関西テレビは去年のゴールデンウィーク、こちらのホテルの西社長を取材していました。当時は、コロナ禍で退職した社員の穴埋めができず、社長自ら、夜勤を含めて10連勤していました。
(Q.体は大丈夫ですか?)
【ホテルユタカグループ西隆社長 2023年5月】「フフ、まあなんとか。続く限り」
1年がたち、ことしはどうなったのでしょうか。 フロントで掃除をするのは、社長とは別の男性。サービス業の経験がある、65歳の男性の採用に成功していました。
【1月から勤務している西村正和さん(65)】「パソコンとか事務作業に関しては、10年ぐらいブランクがあったので、ご迷惑をおかけしている。何とか頑張って、教えていただきながら」
【ホテルユタカグループ西隆社長(67)】「去年よりはだいぶ休みとれた。(去年は)4夜勤でへばってきましたけど、ことしは少ないほうで。新人さんに入っていただいたので、ちょっとは回るようになっている」
しかし、課題はいまだ山積みです。 人材はまだまだ不足していて、西社長が経営する4つのホテルのうち2つは、いまも客を受け入れられない状態。社長も相変わらず、週に2~3回、夜勤に入っているということです。
【ホテルユタカグループ西隆社長(67)】「無人化、スマホをかざすだけで入れるシステムも導入しようと思うんですけど、導入コストと維持コストがかかるので、コロナ禍の負債の(返済が)始まるので、それにプラスはしんどい。悩みの種は尽きないですね」
■多忙なホテル業界を支えるのは「スキマバイト」
一方、こちらは京都のリーガロイヤルホテル。 5月から始まった、開業55周年記念のキャンペーンも好調で、ゴールデンウィーク期間の予約数は、去年を上回りました。 チェックインの時間帯になると、フロントには長蛇の列ができ、スタッフは、対応に追われます。
【リーガロイヤルホテル京都宿泊部次長 安武亜希さん】「どこも人手が足りていないというのが現状。やはり人員を取り合っているところはあると思う」
(Q.人手が足らない業務は?)
【リーガロイヤルホテル京都宿泊部次長 安武亜希さん】「やはりお客さまを接客するところ。荷物をお預かりするですとか、お運びするところもそうですし、ホテルとしておもてなしをするには、人の手が必要というところです」
そんな中、業務を支えているのは…、クロークで荷物の預かり業務を行うのは、正社員ではなく、「スキマバイト」サービスの利用者です。
空いた時間をアルバイトにあてられる「スキマバイト」。 「短時間働いてほしい業者」と「短時間働きたい人」をマッチングできるため、繁忙期のホテルなどで利用が急増しているのです。
【株式会社タイミー 松本知世さん】「関西も東京と同じように、主要なエリアとして伸びている。特に万博の開催を控えているということもあって、新規開業のホテルも非常に多い傾向がある」
ゴールデンウィークを狙ってスキマバイトに応募するのは、どんな人なのか? この1週間で2回、このホテルで働いたという女性に話を聞くと…
(Q.普段はどういう仕事を?)
【「スキマバイト」に来た保育士】「子供を見ています、保育士です。給料面が低いのと、最近家賃が上がったので、ちょっと厳しいなと思って(利用している)」
実は、サービスの登録者のうち3割は会社員。 物価高の中、ゴールデンウィークに遊ぶのはハードルが高かったようで、いまがんばって働き、期間を少し外して、休日を楽しもうとする人も多かったようです。
【「スキマバイト」に来た保育士】「(時給は)1200円だったかな、結構高めでいただいてるなって思います」
(Q.GW終わりの予定は?)
【「スキマバイト」に来た保育士】「(GW)終わったらすぐ福岡に行きます!ライブです。EXILEのTAKAHIRO君のライブです」
6日で終わりのゴールデンウィーク。 関西では、ゆっくり楽しめた人、大忙しだった人、それぞれの過ごし方があったようです。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年5月6日放送)