気象庁は29日、近畿が「梅雨入りしたとみられる」と発表しました。いよいよ雨が本格化する季節が始まります。また、非常に強い勢力の台風2号が接近中で、この影響も気になるところです。今後、雨や台風はどうなるのでしょうか。
■5月としては10年ぶり…近畿地方で梅雨入り
29日、気象庁は九州北部や近畿地方、東海地方など全国の広い範囲で「梅雨入りしたとみられる」と発表しました。近畿地方は平年より8日早く、5月に発表されるのは10年ぶりです。
近畿地方では、梅雨前線の影響で、今夜から30日の昼前にかけて大雨になるおそれがあり、大阪管区気象台は土砂災害に十分注意するよう呼びかけています。
■台風2号が日本に接近中
さらに気になるのが台風2号。一時は最大瞬間風速が85メートルに達し、最も強いランクの「猛烈な勢力」となりました。
新婚旅行でグアムを訪れた夫婦は先週木曜日に帰国する予定でしたが、空港が閉鎖され、今もホテルに延泊しています。
館内では電気が使用できるということですが…。
【グアムを訪れた観光客は】
「今も水が出てないですね。シャワーも十分に浴びられない状態で近所のスーパーで水を大量に買ってきて、体を洗ったり髪の毛を洗ったりしています」
台風は現在、フィリピンの東にあり、非常に強い勢力でゆっくりと北上していて今週後半には沖縄の先島諸島に、週末には本州に近づく見込みです。
梅雨入りと台風が重なったことで関西にはどんな影響があるのでしょうか?気象予報士・片平さんが詳しく解説します。
【気象予報士 片平敦さん】
「台風はいまフィリピンの東にいて暴風域を伴っています。強さは『大型で非常に強い』ということで、『猛烈な強さ』に次ぐ上から2番目の強さです。今週の木曜日に沖縄の先島諸島へ接近する見通しで、速度は遅いです。この後、台風の強さは『強い』へ1ランク下がる見込みです。
気になるのは台風が近畿に来るかどうかですが、土曜日に沖縄や奄美へ、一番近くても九州の南部へ接近の見込み…ですので、現段階では近畿に近づくかどうかは何とも言えません。来たとしてもそこまでの強さにはならないと思います」
【気象予報士 片平敦さん】
「ただ、台風が来ないとしても、近畿地方は梅雨入りして梅雨前線が停滞しているので心配ですね。前線の雨雲が近畿にかかり続けているからです。今夜から30日昼にかけて近畿でも大雨の見込みです。梅雨に入った途端、いきなり大雨の恐れがあります。台風がどこにくるかは分かりませんが、梅雨前線の大雨が、台風にかかわらずやってくる恐れがあります。週間天気をみると、近畿南部や徳島は梅雨前線が下がらずずっと雨予報。つまり降った雨水が土にしみ込んで、なにかしらの災害が起こる恐れあります。くれぐれも備えをして欲しいです」
ここで視聴者の皆さまからLINEで質問が届きました。
Q:ことしの梅雨は長引きますか?
【気象予報士 片平敦さん】
「梅雨入りが早いからと言って梅雨が長いかどうか…はあまり関係ありません。雨の量はいつもの年と変わりません。梅雨明けは毎年、7月半ばなので今から1カ月半後くらい。それまでずっと降りっぱなしという訳ではありませんがしっかり備えて欲しいですね」
Q:ことし台風は多いのでしょうか?
【気象予報士 片平敦さん】
「わからないです。台風が多いか、少ないかの予想は難しいです。ただ、今年の夏は『暑いだろう』という予想が出ていますが、そういう時は海水の温度も暑くなります。高気圧が息切れした段階で台風が日本に近づくと、強くなる恐れがあります」
■災害級の大雨「線状降水帯」の発生が事前に分かるように
この時期気になる線状降水帯。先日から線状降水帯の情報の運用が変わったので、こちらも覚えておいてください。
【気象予報士 片平敦さん】
「線状降水帯は、同じ場所で降り続く災害級の大雨のことです。25日からは、雨雲が発生し30分以内に線状降水帯の基準を満たしそうな場合に、直前予測が発表されるようになりました。実際に災害の状況が高まると発表されるので活用してほしいです」
この情報で、少しでも早めの避難につなげていただきたいですね。
【関西テレビ 神崎博デスク】
「広島の土砂災害、九州の豪雨災害も、線状降水帯が発生していました。なので、30分でも早く分かるのはありがたい。30分前であっても、発生が分かれば『逃げて下さい』と言えますので。ただ、できることならもっと前倒しで把握できないか…ということで、国も予算を付けて取り組んでいます」
近畿各地では今後1週間、曇りや雨の日が多い見込みで、今夜から30日朝にかけて大雨になる恐れがあります。気象台は土砂災害に十分注意するよう呼びかけています。
(関西テレビ「newsランナー」5月29日放送)