世界三大珍味に数えられる「キャビア」。
チョウザメの卵を塩漬けにした高級食材で「黒いダイヤモンド」と呼ばれています。
30種類ほどいるチョウザメの中で、キャビアが採れる種は、ほんの数種類しかいませんが……
5月、琵琶湖で発見された体長1メートルほどの大きな魚。とがった口先に長いひげが生えています。
滋賀県はおろか、日本の川や湖には生息していない「ベステルチョウザメ」とみられています。
【滋賀県立琵琶湖博物館 田畑諒一 学芸員】
「(琵琶湖に)産卵できる環境はそんなに多くないと思われますので、“産卵して生まれた個体ではない”かなという風には思っています。キャビアをとることは、メスでしたらできるかなぁという風に思います」
このチョウザメが琵琶湖で見つかったのは、5月6日。
大津市の北部・北小松漁港から船で5分ほど離れた場所にある定置網にかかっていたというのです。
【チョウザメを捕まえた漁師 松井悠輔さん】
「あちらの方の定置網で見つかったんですけど」
10年以上、琵琶湖で漁を続けてきた漁師にとっても初めての出来事でした。
【チョウザメを捕まえた漁師 松井悠輔さん】
「びっくりしましたね、普通にこんなもんがいるとは思わないので。固有種が減ってきて、エサとされて、食べられて…死活問題になってきますね」
ベステルチョウザメはサメに似た姿をしていますが、サメの仲間ではないため、歯が生えておらず、人を襲う可能性は低いということです。
数十年は生きるとされていますが、観賞用として飼育する人も増えていて、県立琵琶湖博物館はペットとして飼われていたものが放流された可能性が高いとみています。
【滋賀県立琵琶湖博物館 田畑諒一 学芸員】
「魚やエビ、貝などを食べてしまって、琵琶湖に何らかの悪影響を及ぼす可能性って言うのは出てくるかなと。これだけ大きくなるということをきちんと考えたうえで、最後まで責任もって飼っていただければなと思います」
琵琶湖では、2000年と2016年にもチョウザメが確認されていますが、それぞれが飼い主の無断放流によるものとみられています。
滋賀県内全域で外来種の再放流が条例で禁止されており、発見した外来種を処分するための「外来魚回収BOX」が琵琶湖畔に設けられています。
琵琶湖の生態系を守るため、飼育する人のモラルが問われています。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年5月10日放送)