売れすぎて店頭販売中止の「幻のラムネ」も…大人の心つかむ「ラムネ菓子」 パッケージで需要掘り起こす 【ヒットにワケあり!オカネのヒミツ】 2021年11月30日
筒形のラムネ菓子でお馴染みの森永製菓。
ラムネ商品の売り上げが右肩上がりに伸びていて、今年8月は2014年の4月と比べて4倍以上になっています。
なぜ今再びラムネが売れているのか…。
街で聞いてみると、10代の若者を中心に人気がじわじわ広がっている模様。
お菓子の専門店『まるしげ ホワイティうめだ店』を取材すると、駄菓子コーナーはもちろん、売り場の一等地ともいえるレジ横の人目に着きやすい場所にも、袋タイプのラムネがずらりと並んでいました。
【マルシゲ スーパーバイザー 川西康雄さん】
「1日に30-40袋売れる時もありますし、1人で10袋まとめてご購入される方も多いんです。やはり最初に森永製菓さんが袋タイプを出されて、それが鞄なんかに女性の方でも入れやすいとか。ちょうどグミのような袋が受けてる原因じゃないかと思います」
■人気の火付け役は森永製菓の「袋タイプ」
特に大人に人気の袋タイプ。
森永製菓が昔懐かしいラムネをリニューアルしてヒットを続けている商品『大粒ラムネ』は、従来のものと比べて1.5倍の「大粒」が特徴です。
パッケージにはこんな表示が…。
【薄田ジュリアキャスター】
「1gあたり0.9gがブドウ糖なんですって。ほぼブドウ糖ですね」
実は、販売する森永製菓によると、この「ブドウ糖」がヒットのヒミツだそうで…。
【森永製菓 菓子マーケティング部 中原仁さん】
「手軽に美味しくブドウ糖が摂取できて、仕事の効率化や勉強が捗るとか、そういうお供にできる商品として受け入れていただけたのかなと。 試験の結果はもう出ていて、実際に論文も発表しています」
森永製菓は去年、自治医科大学医学部の間藤卓教授の監修のもとで、人がブドウ糖を摂取した時の脳の働きについて試験を実施しました。
【自治医科大学医学部 間藤卓教授】
「健康な人にボランティアをお願いして実験したら、ワーキングメモリーと持続的な注意力という脳の働きに関して効果が出ました。そこに有意差が出たところが興味深いです」
教授によると、試験の結果、図形情報の記憶を助けたり、認知機能を一時的に改善したりするなどのデータが得られたということです。
森永製菓はラムネ=ブドウ糖、さらには「集中力」というキーワードで販促活動を展開し、去年は河合塾とのコラボ企画も実施しました。
【森永製菓 中原さん】
「集中したい時にはラムネ、というようなイメージの醸成をこれからもどんどん図っていって、定着を図っていければ、さらに今後飛躍できるのかなと」
■「落雁に似てる」老舗和菓子店も参入
さらに調査してみると、京都の老舗和菓子店「京菓子司 俵屋吉富」でもラムネがつくられていました。
特別に作り方を見せてもらうと…。
【俵屋吉富 吉行真奈さん】
「ストロベリーの果肉を乾燥させたものや、これが和三盆糖になります」
職人が専用の木型でラムネを丸く固めていきます。
出来上がりは可愛いだるまの形で、その名も「都色~京だるま~」。
【薄田キャスター】
「(食べて…)和菓子っぽさも感じられます。優しい和三盆の甘さが、ほろほろと荒い粒子でほどけていって上品で美味しいです」
2018年からラムネを販売し、売れ行きも好調だと言いますが、なぜラムネをつくることにしたのでしょうか。
【俵屋吉富 石原義規常務】
「ラムネって色とりどりでかわいらしい、楽しいなってイメージが強いんですね。私たちも打ち物という『落雁』みたいなものを作成しておりまして、これと作り方が似ているので合うのではないかと」
■売れすぎて店頭発売中止『幻のラムネ』
さらに街ではラムネについて、次のような情報が…。
【街で聞くと…】
「ハガキ出さないと買えない。今どうかわからないけど、何年か前にお友達が言ってて、ハガキ出したけど当たらないって」
抽選でも手に入らないと巷で噂の「幻のラムネ」を作っているのが、奈良県生駒市のイコマ製菓本舗。
ホームページを見ても「店頭販売中止 再開の目処は立っておりません」とありました。
そこで住所を調べて訪ねてみると…。
【イコマ製菓本舗 平口治社長】
「製造が追いつかないので、ふるさと納税の返礼品だけをこしらえてます」
以前は、ハガキでの抽選販売や店頭販売もしていましたが、最短8分で売り切れたこともあるなど生産が追い付きませんでした。
今は奈良県生駒市のふるさと納税の返礼品としてのみ提供している、「幻のラムネ」です。
ただし、こちらも3ヶ月先まで予約でいっぱいだという人気ぶりです。
【平口社長】
「これが、レインボーラムネ、なんです」
次々と作られる大粒の丸いラムネ、社長のご厚意で一粒試食させていただくと…。
【薄田キャスター】
「ビックリ!何?この口溶け。すご~い、すっと溶けていきました!」
このくちどけが人気で、詳しい製法は企業秘密。
しかし跡継ぎがおらず、今後製造をどうしていこうかと悩んでいたそうです。
そんな社長に手を差し伸べたある菓子メーカーが…。
【平口社長】
「うちの味を将来まで続けていこうという考えでUHA味覚糖さんとコラボして」
■試作は100回以上…こだわり抜いたコラボ商品
ということで、大阪にあるUHA味覚糖の本社へ。
【薄田キャスター】
「見つけました。レインボーラムネミニ。袋タイプで販売されているんですね」
しかし、共同開発にあたり独特の口どけを再現するのが中々難しかったようで…。
【UHA味覚糖 広報宣伝 安達瞳さん】
「たくさんのコラボ商品を出してきていますが、中でもこの、レインボーラムネミニが一番苦労したといっても過言ではないです。平口社長に10回以上、何度も何度も来ていただいて、工場の中にも来ていただいて、直接教えていただきました。担当が平口社長のもとにいって粉の混ぜ方ひとつひとつも習って、忠実に再現できるように」
試作も100回以上繰り返し、開発から1年かけ完成。
最初は近畿限定の発売でしたが反響が大きかったため、全国に販売エリアを広げていきました。本家、平口社長の評価は…。
【イコマ製菓本舗 平口治社長】
「ちゃんと味が再現できてます。ラムネは(お菓子の中で)すごい弱い立場だったんです。やっとここに来て市民権を得たなっていう感じなんです。めっちゃ嬉しいです」
(関西テレビ「報道ランナー」2021年11月30日放送 「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)