10月、2年ぶりに開かれた女子相撲の全国大会。
この大会に並々ならぬ思いで出場した高校1年生がいます。
谷元青空(たにもと・せいら)さんです。
全国大会で、「とにかく1勝したい」
新型コロナで相撲ができないことが多くなっても、その目標に向かって傷だらけで勝負する日々を追いました。
■初取材は3年前…中学校の女子相撲部に入部
谷元さんを初めて取材したのは2018年。
兵庫県の新温泉町立浜坂中学校に誕生した女子相撲部に入部した時でした。
1期生として3人の1年生が入部。
人呼んで「浜坂中学 相撲3人娘」です。
身長158センチ、1番小柄ながら、みんなを引っ張ってきたのが、青空さんでした。
【谷元青空さん】
「女の子が、(まわしを)付けてるのも格好いいなと思ったんで、自分もやってみたいと思いました」
「好きな言葉は努力です。がんばった分だけ成果が出るじゃないですか」
――Q:頑張っても成果が出ない時は
「ひたすら練習!」
その年、「とにかく1勝」の目標を掲げ、初出場した全国大会。
不戦勝であっさりと1勝!
しかし、実際に戦っての勝利はできませんでした。
【谷元青空さん】
「相手のペースに飲まれて、悔しい負けて、悔しいです」
その後、3人娘のうち2人が退部。
それでも青空さんは、男子を相手に稽古を行い、相撲を続けてきました。
【青空さんの母】
「ほんともう頼むわ。1つでも勝ったら何でも好きなもん買ったるわーって」
青空さんは、家族の悲願でもある「全国大会1勝」に向け挑み続けますが、翌年、2019年の全国大会でも、勝つことができませんでした。
【谷元青空さん】
「いろいろあってその分、頑張ろうっていう気持ちになったんですけど、やっぱり弱かったです」
そして、中学生活最後の去年の全国大会は新型コロナの影響ですべて中止。
1勝を挙げられないまま高校生になりました。
■高校生になった青空さん。女子相撲の強豪に入学
今年4月、青空さんは、女子相撲の強豪「京都両洋高校」に入学しました。
身長も、171センチに。
全力で応援してくれる両親の元を離れ、寮での新生活を始めます。
【谷元青空さん】
「やっぱり続けてなかったらここまで来てないと思うので、1人でも頑張ってきてよかったです」
「全国大会で勝つというのが去年果たそうと思ったんですけど、コロナの関係で大会が出来なくて果たせてないので、高校に入ってからは全国大会で勝てるようになりたいです」
女子相撲部の部員は9人。
青空さんは唯一の新入部員です。
男子を相手に稽古を積んできた自信を胸に、先輩たちとの初稽古に臨みました。
この日、13回取り組みを行いましたが勝てたのは1回だけ。
力で押す男子と違う、女子相撲のスピードについていくことができませんでした。
【京都両洋高校 高橋優毅監督】
「女子同士で、(相撲を)取ってないという部分は、大きく今も影響してると思います。ここから、女の子同士で取っていく中で、いろんな自分に気づいていけると思うので、そういったところを伸ばしてほしいなと思います」
【谷元青空さん】
「速さとか、力強さとか全然自分とは違うので、そこがすごい違うなと思いました」
「先輩方に一生懸命ついていって追いつけるように頑張ります」
■コロナで土俵上がれない日々も…大金星!
目一杯、女子相撲ができる。
そう思った矢先でした。
今年も新型コロナウイルスの影響で、4月からの大会が続々と中止に。
相撲は接触が多いため稽古場も閉鎖され、土俵にも上がれない日々が続きました。
8月末になって、関西地区からだけの参加でようやく大会が開催されました。
自粛明けから努力してきたことが、体中の傷から伺えました。
初戦を白星で飾ると、続く2回戦は京都両洋高校のOGで、世界ジュニア選手権・銅メダルの選手と対戦でも勝利しました。
大金星に本人が一番、驚いているようです。
見事、3位入賞を果たし、1カ月後に開催が予定されている全国大会へ弾みを付けました。
【谷元青空さん】
「(中学の頃は)ダメダメで全然勝てなかったんですけど、高校生になって初めての全国大会なので、中学の時よりも成長した姿を見せたい」
■高校での全国大会は…
そして1勝を目指す今年の全国大会。
体重でクラスは分けられますが、大学生や社会人も同じ土俵で戦います。
【谷元青空さん】
「緊張しまくりで全然寝られなかったです」
「とりあえず自分の相撲を取れるように頑張りたいです」
青空さんが出場するのは軽量級。
初戦の相手は、いきなり2019年の全国大会で日本一に輝いた大学生です。
勝負の結果は…「寄り切り」で敗北。
1勝の目標は、達成することができませんでした。
【谷元青空さん】
「何もできないまま相手に一方的な相撲を取られたので、改善するところが多い相撲でした」
「悔しいですけど、まだ2年生と3年生があるので、その2年でトレーニングとか稽古をして勝てるようにしたいです」
自分の試合の後は、中学時代1人になってからはできなかった、チームメイトの応援です。
全国大会1勝へ、仲間と一緒に進んでいきます。
(カンテレ「報道ランナー」10月5日放送)