異業種参入から“ドムドム”復活まで…アツさ増す『ハンバーガー市場』 専門店続々オープンの背景に何があるのか【ヒットにワケあり!オカネのヒミツ】 2021年07月13日
今、ハンバーガー業界が絶好調。日本マクドナルドでは今年1月から3月の売上が1557億円と過去最高を記録。
前年同期比で9.8%もの伸びとなっています。
実は今、マクドナルドのほかにもハンバーガー専門店が続々と増えているんです。
そのヒミツを取材しました。
京都市伏見区にあったのは、居酒屋のような外観の『漁祭』。
6月末にオープンしたばかりで、10年以上やってきたという居酒屋から業態を変えて、デリバリー専門のハンバーガー店として生まれ変わりました。
特大サイズのハンバーガーなどが人気となっています。
今絶好調のハンバーガー業界には、大手企業も続々と参入。
「ロイヤルホスト」の運営会社が今年5月にハンバーガー店を始めれば、居酒屋チェーン「鳥貴族」も8月にチキンバーガー専門店をオープンします。
さらに…
【薄田ジュリアキャスター】
「動きたくなくなるほど快適すぎるソファで知られる『ヨギボー』の運営会社も、大阪市内に新感覚のハンバーガー店をオープンさせました」
大阪市中央区の『Don’t Worry エッグウィッチ』では、パンの代わりに卵を使用した新感覚のハンバーガーを、今年4月から販売しています。
【Don’t Worry エッグウィッチ 南早苗店長】
「ストレスのない社会を実現することが会社の理念です。糖質を気にせず、ヘルシー志向の方たちに罪悪感なくハンバーガーを食べていただきたいという思いがありまして」
■コロナ禍の中でも光る長所
一体なぜ今、ハンバーガー店が続々とオープンしているのでしょうか。
西日本ハンバーガー協会の代表理事で、大阪府高槻市などで3店舗のハンバーガー店を経営する寺川裕之さん。
地元の野菜と高槻寒天の自家製BBQソースなどで作られる「高槻バーガー」を考案するほどのハンバーガー好きです。
【西日本ハンバーガー協会 寺川裕之代表理事】
「日本の外食産業の売り上げを紐解いていくと、1位はゼンショーさん、2位はスカイラークさん。3位がマクドナルドさん。1位、2位は色んな業態を含めてやっていますがマクドナルドさんだけはハンバーガーをずっと売り続けているんですね。なので食べ物だけをみると日本の世の中ではハンバーガーが一番食べられています」
堺市にある『ババンババンバーガー』もそのニーズに注目し、去年10月にハンバーガー店をオープンさせました。
この店で出されるハンバーガーが入っているのは、なんと風呂桶の中。
【ババンババンバーガー 中部谷光章さん】
「ドリフターズのババンババンバンバンのあの音楽。そこからババンババンって歌ってたら、ババンババンバーガーって語呂合うなぁみたいな」
小学校からの幼馴染で、バーの経営者・中部谷さんと、シェフだった西島さんが、銭湯のような身近な存在にとの思いを込めて始めたハンバーガー店。
その奇抜なアイデアと、こだわり抜いたハンバーガーが話題を呼び、日曜日には2~3時間待つほどの人気だそうです。
【女性客】
「ソースがたっぷりで、チーズも濃厚でおいしかったです」
厨房をのぞいてみると、パンを焼くのはトースター。
ビーフは鉄板ではなく、フライパンで焼いていました。
【ババンババンバーガー 西島大輔さん】
「ウチは、設備はしっかり整えたわけではないんですが、始めるにあたっては始めやすかったです」
少ない設備投資でも、手軽にオリジナリティあふれるハンバーガーが作れることも出店が増えている理由のようです。
さらに調査してみると、消費者のニーズにも変化が。
【西日本ハンバーガー協会 寺川裕之代表理事】
「(自分の店舗で)去年の1月でいえばイートインの売り上げが70%。デリバリーとテイクアウトが15%ずつでした。それが今年1月にはイートインが48%。デリバリーが伸びて35%くらい。という中でニーズをうまくキャッチできたのがハンバーガーなのかなと」
ハンバーガーはもともと持ち運びがしやすく、冷めてもあまり味が落ちないため、デリバリーを利用する人が急増しているそうです。
■古参が復活…「固定概念に囚われない」
日本で初めてのハンバーガーチェーン『ドムドムハンバーガー』。
1970年に東京で初出店し、その後親会社ダイエーの発展と共に、最盛期には400を超える店舗を構えていました。
しかしダイエーの経営不振などで次々と撤退し、4年前には全国25店舗まで激減…。
そのドムドムハンバーガーが今、復活を遂げているんです。
店舗の中をのぞいてみると、期間限定の「アジフライバーガー(400円・税込み 今月末まで)」をはじめ、往年のファンにはたまらない「お好み焼きバーガー(370円・税込み)」など、オリジナリティあふれるメニューが豊富に。
近年は4年連続で前の年の売り上げを上回っていて、2017年と比べると、売り上げが1.2倍になりました。
復活の背景には、3年前に就任した藤崎忍社長(54)の存在があります。
【ドムドムハンバーガー 藤崎忍社長】
「(入社から9か月後の2018年)7月に入ってから役員に呼ばれて、取締役になってくださいって言われて。すごく嬉しくて、やったーと思ったんですよ。そしたら『代表で』って。えぇ~!ってそれは驚きました。まさかと思いました」
2017年に入社した藤崎さんが力を入れたのが商品開発。
おいしさはもちろん、さらに見た目にこだわるやり方で次々とヒット商品を生み出しました。
社長就任後は販売エリアごとにグループLINEを作り、現場の意見が直接社長に届くよう環境を整えました。
勤続44年の生え抜き社員もその行動力に舌を巻きます。
【勤続44年の向井正則さん】
「LINEで気軽に、新しいキャンペーンが始まったら『こんな打ち出ししましたよ』とか、こんなんどうでしょう」とか。社長は判断が早いのと風通しがものすごい良くなりましたね」
新たな店舗も立ち上げていて、7月オープンした宮城県のお店は、閉店まで行列が絶えないほど大盛況だったそうです。
【ドムドムハンバーガー 藤崎社長】
「固定概念に囚われないことですね。スピーディーな対応で、50年後にブランドを続けていくっていうことを目的として、随時色んなことでやっていきたいなと思います」
(カンテレ7月13日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)