冬の風物詩・温泉は関西では有馬や城崎、和歌山県の白浜などが有名ですよね。
そんな中、実はここ20年で大阪でも温泉の数が増えているというんです!
あまりイメージがない『大阪の温泉事情』を調査!そこには意外な事実がありました。
■「大阪」に温泉?イメージないが…実は増え続けている
「空庭温泉 OSAKA BAY TOWER」
安土桃山時代をコンセプトに作られた空間に、大阪のお酒が楽しめるレストランに、
和モダンにデザインされたパウダールームや岩盤浴も。
ここは、2月26日、大阪・弁天町にオープンする「空庭温泉・大阪ベイタワー」。
屋上に広がる日本庭園では、足湯が堪能できます。
メインとなるのが、もちろんお風呂。その売りは何といっても、
【空庭温泉 道古康博さん】
「天然温泉です。」
たしかに大阪と温泉はあまりなじみがないように思いますが、街で聞いてみると。
【女性】
「大阪はイメージない。やっぱり白浜とか有馬とかしか。温泉いわれても出てこない。」
【男性】
「火山のある所に出るイメージですけどね、温泉って。」
【女性】
「温泉じゃなくて銭湯とかはあると思うけど…」
■ここ20年で「大阪の温泉施設」は約3倍に!源泉の数も50%増!
日本人が大好きな温泉。大阪ではあまりイメージがないようですが、
実はここ20年で温泉施設の数が3倍近くに増えているんです。
そこで、今回は大阪の温泉事情を調査します。
まず、向かったのは大阪府庁。こちらは環境衛生課の辻野さん。
温泉の掘削や営業の許認可を行っています。
Q:わりと大阪って温泉が出ている?
【大阪府環境衛生課 辻野悦次さん】
「温泉法の定義では、水温が25度を超えると温泉と名乗れる。それで大阪でもたくさん温泉が出ている」
環境省によると、大阪は温泉が湧き出る『源泉』の数が、
ここ20年で「105件」から「172件」に増え、関西では、京都を抜き、和歌山と兵庫に次ぐ3番になりました。
また、源泉や温泉施設の増加に伴い、大阪市は去年10月から入湯税の徴収を始めています。
Q:最近も掘っている?
【大阪府環境衛生課 辻野悦次さん】
「去年8月に掘削の許可を出しまして、現在掘り上がったというところが泉佐野市にあります。今現在一番新しく掘られたところ。」
12月まで掘削作業を行っていた場所に案内してもらいました。
Q:温泉の許可の条件は?
【大阪府環境衛生課 辻野悦次さん】
「大阪の資源法という観点で大阪府内では800mの範囲内では新たな温泉は掘れない。
申請いただいたうえで専門家の意見をいただいて許可をする」
こちらでは、去年9月から源泉の掘削を開始し、12月のクリスマスに、無事工事が完了しました。
【山西サク井設備 武田充弘 工事管理部長】
「真下のあるのが温泉を掘った後の筒です。この筒の中にポンプを入れて温泉をくみ上げる。」
【堀田篤 アナウンサー】
「この下に温泉があるってことですね?」
【山西サク井設備 武田充弘 工事管理部長】
「そうです800m下に。」
これが地下800mからポンプで汲み上げられた源泉です。
今後この源泉を利用して、新たな温泉施設の開発が進められていきます。
■大阪市内は「ほぼ温泉だらけ」…掘ったら必ず湧き出る
ところでみなさん。そもそも温泉がどのように作られ、湧いてきているのかご存知ですか?
温泉は大きく分けて「火山性」と「非火山性」に分類されます。
「火山性温泉」とは、
雨水などがしみ込んでできた地下水が火山の下にある『マグマ溜まり』の熱で温められ、
断層の割れ目などから湧き上がったり、ボーリングして汲み上げられたりした温泉のことを言います。
一方、大阪の温泉は『非火山性』の一種で、
100m深くなるごとに3℃上昇するという『地熱』で温められ、湧き出た温泉なんです。
【山西サク井設備 武田充弘 工事管理部長】
「深くいけばいくほど、保温効果と温度上昇で温度が上がりますから、温泉は大阪の場合は必ず出るようになっている。」
大阪は、地下の温度上昇率が高いうえに、地層には地下水が蓄えやすい小石や砂利などの砂れきが多いのだそう。
そのため、大阪の地下は『大きな水たまり』に例えられ、1000mも掘れば、どこからでも温泉が湧き出てくるというのです。
【山西サク井設備 武田充弘 工事管理部長】
「皆さんしらないですけど、ほぼほぼ大阪市内は温泉だらけ。」
■大阪=温泉のイメージがない理由は…「湧出量」
温泉が湧き出やすい地質で、いたるところに『源泉』があるという大阪。
にもかかわらずなぜ、それほど温泉のイメージがないのでしょうか?
Q:大阪って温泉のイメージないんですけど?
【大阪国際大学 森田浩司 准教授】
「大阪の温泉って、湧出量、お湯が湧きだす量がそんなに多くないものですから、
温泉旅館が軒を連ねてっていう温泉街がなかなかできにくい。どうしても規模が小さくなる。
そういう意味では温泉というイメージはないかもしれませんね。」
たくさんの温泉が湧き出て、全国的に有名となっている有馬や城崎。
その一方で、大阪は湧き出る量が少ないため、温泉施設が密集することなく、
スーパー銭湯やビジネスホテルなどでの利用が主になっているんだそうです。
■大阪で初めて温泉、その誕生は…イチかバチかだった!?
しかし!大阪にも数少ない温泉地があります。
関西空港から車で15分、「世界に一番近い温泉」と言われる、『犬鳴山温泉』。
実はここ、大阪で初めて温泉が掘削された場所で観光客が泊まる旅館や日帰りの入浴施設が集まる温泉郷です。
この温泉はどのように誕生したのでしょうか?
【不動口館 女将】
「湯元温泉荘さんで最初に温泉が湧いているのが見つかって、そこから各旅館が分けてもらうような形で…」
【堀田篤アナウンサー】
「これだ。犬鳴山温泉、湯元温泉荘。えらい山ですね。」
源泉を掘削した一人、湯元温泉荘ご主人の高原さん。御年84歳です。
【犬鳴山温泉・湯元温泉荘 高原長文主人】
「(温泉を)堀ったのは昭和の32年ですわ。よそに比べたらものすごい新しい。
何百年ってざらでしょ。そのようなことで、大阪で一番古い形になった。なぜかってそんなんがなかったから」
今から62年前、『観光客を呼ぶには温泉だ』と考えた高原さんは、
先代とともにイチかバチか掘削を行ったんだそうです。
Q:大阪で温泉が出たときは皆さん驚かれた?
【犬鳴山温泉・湯元温泉荘 高原長文主人】
「本当じゃないように受け取られた。こんなところで出るはずあるんか!という感じだった。
だんだんほかの施設も温泉を引かせてくれって次々に言うようになった。結果が今なんですけど。」
当時、大阪の人たちを驚かせた犬鳴山の温泉。
その後、源泉の掘削が広まり、徐々に大阪で温泉施設が増えていったのです。
そして現在では、国内外から多くの人が訪れ、温泉は大阪の欠かせない観光資源になっています。
Q、温泉が持つ力は大きいですね?
【犬鳴山温泉・湯元温泉荘 高原長文主人】
「中国や韓国の人も温泉に来るけど、日本人ほど温泉好きの人種ではないようやな。
形さえ残しておけばこれから先、わしらはいずれ消えるんやろうけど、こうした形は残る」
大阪で湧き続ける温泉とアツイ思い。
これからも、大切な資源を受け継いでいってほしいですね。