1973年から77年にかけて放送され、最高視聴率35.2％を記録した関西テレビの伝説的ドラマ『どてらい男』。
実在の企業「山善」の創業者・山本猛夫さんをモデルにしたこの物語は、その“どてらい”生き様で日本中を熱狂させました 。
しかし、当時の放送業界ではテープは高価で、放送後に上書きして再利用するのが一般的でした。
そのため、放送話の一部は欠損したままの状態になっており、今も見つかっていません。
この失われたかに見えた昭和の名作を、Googleの動画生成AI ”Veo”を用いて現代に蘇らせる挑戦が、今、始まっています。

本プロジェクトは、過去の映像を忠実に復元することだけを目的としていません。
『どてらい男』が描く「商売の本質」や「自分の信念を貫くことの大切さ」、
そして「誠実さ」「義理人情」といったテーマは、時代を超えた普遍的な魅力を持っています。
人と人との信頼や情熱が薄れがちな現代にこそ、強く響くものだと我々は信じています。
そこで私たちは、このプロジェクトを「現代的な再解釈によるコンセプトムービー制作」と位置づけています。

この挑戦は、ゼロからAIに生成させるものではありません。
関西テレビが保有する貴重なIP（知的財産）—現存するフィルム、500名以上の出演者が記された台本、保管されていた20箱ものネガ写真など—をAIへ与えるデータとして活用します。
さらに制作フローも従来から大きく刷新し、AI Agentによるワークフローを構築し、演出の自動チェックや、動画生成AIに入力するプロンプトの自動生成などを行なっています。
貴重な資料を基に、物語の核心的な魅力をAIによってクリエイティブに再構築し、技術、IP、制作が一体となったエンターテインメントの新たな地平を切り拓きます。

この試みは、まだ始まったばかりです。 私たちは、今後も技術の進化とともに、新しい「“どてらい”挑戦」を継続的に続けていきます。
昭和の情熱と最新のAIが出会うことで生まれる、新しい『どてらい男』に、どうぞご期待ください。