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18時台の特集/バックナンバー

2017年1月11日

京の名物長屋「あじき路地」

京町屋に個性的なお店が並ぶ路地「あじき路地」が人気を集めています。

古くも美しい京都の町並みを守りながら、ものづくりに励む若者を支える女性を追いました。

 

京都・清水寺のすぐそば。

小さな通りの先にその場所はあります。

「あじき路地」。長屋の一軒一軒が個性あふれたお店です。

 

 

 

オーダーメイドの帽子店「EVO-SEE」(エボシ)。

手作りアクセサリー「オリオンの小箱」。

デザインから製作までを1人で担う革製品専門店「ierib」(イエリブ)。

 

 

結婚式用のブーケなどが人気のドライフラワーのお店・「ブローインハウス」など、店を営むのは、若きクリエイターたちです。

路地の多くの店が営業する週末は、観光客でにぎわいます。

 

【観光客】

「東京からきました。京都らしい感じで、近代的な京都駅も素敵なんですけど、こういうところもいいなって」

「おしゃれで…すごくいい感じです」

 

クリエイターたちの世話を焼くのが、「お母さん」と呼ばれる、長屋の大家・安食(あじき)弘子(ひろこ)さん(69)です。

 

 

若いころアクセサリーのデザイナーを目指していたという安食さん。

物作りや発表の場の少ない若い作家を世に出してあげたいという考えから、所有する長屋に迎え入れました。

 

【安食弘子さん】

「私も夢を追って頑張ってたってことがありましたんで、若い人を応援してあげたいなあ、という思いでそういうふうな方を募集しました」

 

家賃は周りの相場からはかなり安く、月5万円から6万円で貸し出しています。

時には食事をふるまうことも。

 

 

【安食さんがふるまったおにぎりを食べる入居者】

「おいしい!」

【安食さん】

「頑張って!」

【入居者】

「ありがとうございます。ごちそうさまです」

 

いまでは観光客でにぎわう路地も、30年ほど前には空き家が多くなり、放置されていました。

母親からこの長屋を譲り受けた安食さんは、今から15年前、「京都の町並みを守りたい」と再び整備することを決めました。

 

【安食さん】

「京都でビルばっかりやら、大きなマンション建つより、町並みの穏やかなのがええと思うんですけど」

 

建てられてから100年以上経っているという長屋。

保存するには多くの手間がかかります。

 

【安食さん】

「この戸、凄く歪んでるんです。窓の隙間が開いてたんです。古いし、だんだん地震やらなんやかんやで傾いているんでしょうね」

                            

 

窓一つ修理するにも、長い年月でゆがんだ窓枠に沿って部品をつくってもらわないといけません。

 

【大工さん】

「勘定どおりにいかんわ…」

【安食さん】

「請求書がくるとドキドキします…お払いできるかって」

 

修理だけでおよそ10万円。

京都の古い町屋を維持するには、費用がかさみます。

空き家のままにするか、処分せざるを得ない人が多い中、長屋を守り続けています。

 

若者たちを支えている安食さん。

それに応えてくれる若者たちが彼女の力になっています。

路地から巣立ち、自分の店を構えた人たちもふるさとに帰るように集まり、安食さんを囲みます。

 

 

【路地から独立した女性】

「あじき路地の7年間があったから、ちゃんと12年続けられてると思う」

【路地から独立した男性】

「並みの人は事業を残す。でも本当にいい人は人を残す。弘子ママが一声かけて、これだけ人が集まるということは、人を残したんだな、と」

【安食さん】

「そんなん言われたら、涙出てくる…」

 

先月、新しい入居者がやってきました。

埼玉県出身の松本純奈(まつもとじゅんな)さん(22)。

去年の春に大学を卒業したばかりです。

 

大好きなふくろうをモチーフにアクセサリーや小物を製作しています。

 

 

到着してすぐに安食さんは、松本さんにおにぎりをふるまいました。

 

【松本さん】

「いただきます!うれしい!」」

【安食さん】

「寒かったもんな…ちょっと温かいやろ?」

 

先輩たちも暖かく迎えてくれました。

いつかデザイナーやアーティストとして独立したい―同じ想いの人たちと新しい生活が始まります。

大学で美術を学んだものの、松本さんは企業に就職することも考えていました。

 

【松本さん】

「一昨年の夏に友達と京都に来たときに偶然出会ったのがこの路地で。挑戦してみようって。素敵じゃないですか、路地の雰囲気って。ものづくりが密集しているっていうか」

 

あじき路地が彼女の背中を押してくれました。

 

松本さんの店がオープンの日を迎え、早速お客さんがやってきました。

 

 

【松本さん】

「ふくろうが好きで、ふくろうのものばかりなんです。このハンドタオルは、特殊な印刷したものを熱でプレスして、布自体に印刷したのでこうやって引っ張っても布地がわれることはないです!」

【お客さん】

「じゃ、これを1枚」

【松本さん】

「本当ですか?!ありがとうございます!」

 

 

“お母さん”も、松本さんの店のモチーフ「ふくろう」と店の名前を描いた手作りのケーキを持って、お祝いに駆けつけました。

 

【安食さん】

「(松本)純奈ちゃーん、おめでとうございます!」

【松本さん】

「ありがとうございます!うれしい!」

【安食さん】

「まだまだ元気な間は、これからも応援して、がんばります!」

 

ほんの少し前まで、ここは忘れられた場所でした。

小さな路地から羽ばたこうとする若者たち。

そして彼らを優しく見守るお母さん。

路地に新しい賑わいを生み出しています。

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