出演者

千原ジュニア、熊澤弘(東京藝術大学大学美術館)

番組内容

オランダを代表する画家の一人、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853–1890)。現代でこそ世界的に高い人気を誇り、唯一無二ともいえる存在感を放つ画家となりましたが、その人生は苦難の連続でした。しかし彼は困難に立ち向かい続け、諦めない強さ、そして癒しと安らぎを芸術に見出しました。

ファン・ゴッホは約10年という短い画業の中で3000点を超える油彩や素描を残しました。その中でも人気の高い《夜のカフェテラス》が20年ぶりに来日、神戸の街を彩ります。ゴッホの画業において重要な意味を持つこの作品と対面するのは、自身もアート作品を手がける千原ジュニア。解説を担当する熊澤弘(東京藝術大学大学美術館)との対話により、どんな読み解きをするのでしょうか。
千原ジュニア、熊澤弘
ファン・ゴッホの前半生を辿るため、番組はオランダへ向かいました。1853年、オランダ・ズンデルトで牧師の息子として生まれたゴッホは、母の愛をたっぷりと受け、自然に親しみながら少年時代を過ごします。牧師である父の姿も間近に見て育ちました。
ゴッホの父が牧師を務めた教会
ゴッホの父が牧師を務めた教会
ゴッホの自宅の庭跡
ゴッホの自宅の庭跡
父のような牧師になって、信仰とともに生きたい—そう考えたファン・ゴッホは牧師を目指しますが、様々な困難に遭遇し断念します。行き詰ったゴッホは、絵で人の心に寄り添う画家になると決意します。27歳のときでした。

ファン・ゴッホは、画商の仕事についた弟テオの援助を受けながら、画家としての腕を地道に磨いていきます。大地とともに質素に暮らし、大地へと還ってゆく—農民や労働者をモデルに習作を重ねました。
フィンセント・ファン・ゴッホ《じゃがいもを植える農民》
フィンセント・ファン・ゴッホ《じゃがいもを植える農民》
1884年8-9月、油彩/カンヴァス、66.4×149.6cm
Kröller-Müller
©Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.
Photography by Rik Klein Gotink
フィンセント・ファン・ゴッホ《白い帽子をかぶった女の頭部》
フィンセント・ファン・ゴッホ《白い帽子をかぶった女の頭部》
1884年11月-1885年5月、油彩/カンヴァス、44×36cm
Kröller-Müller
©Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.
Photography by Rik Klein Gotink
ファン・ゴッホはその後、パリへ出て南仏アルルへたどり着き、《夜のカフェテラス》を制作します。《夜のカフェテラス》は19世紀のヨーロッパで初めて夜を青で表現した作品と位置づけられています。この星空に、ゴッホの信仰と哲学が映し出されています。

《夜のカフェテラス(フォルム広場)》
《夜のカフェテラス(フォルム広場)》
1888年9月16日頃、油彩/カンヴァス、80.7×65.3cm
クレラー=ミュラー美術館
Kröller-Müller
©Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.
Photography by Rik Klein Gotink
千原ジュニア
人間は誰しもが様々な困難に遭遇します。ファン・ゴッホはそうした苦しみを絵で表現する新しい境地を切り開きました。自然を描くことで、人間の感情を表現したのです。
フィンセント・ファン・ゴッホ《夕暮時の刈り込まれた柳》
フィンセント・ファン・ゴッホ《夕暮時の刈り込まれた柳》
1888年3月、油彩/厚紙に貼ったカンヴァス、31.6×34.3cm
Kröller-Müller
©Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.
Photography by Rik Klein Gotink
阪神淡路大震災30年、東日本大震災15年の節目に、ファン・ゴッホが絵に込めた普遍的なメッセージを、ともに味わう機会にできればと思います。
ゴッホが暮らしたニューネン
ゴッホが暮らしたニューネン
千原ジュニア

【神戸展公式】阪神・淡路大震災30年 大ゴッホ展 夜のカフェテラス

大ゴッホ展 夜のカフェテラス
2025年9月20日(土)~2026年2月1日(日)
神戸市立博物館