
6月28日、函館競馬場で行われた函館記念(GⅢ)は、10番人気のファウストラーゼンがゴール前の激戦を制し、重賞2勝目を挙げた。デビュー4年目の小林美駒騎手は、初コンビのパートナーを復活勝利へと導き、嬉しい重賞初制覇。JRA女性騎手で4人目となる重賞制覇を飾り、価値ある一勝を手にした。 レースは最後の直線でファウストラーゼンが外側に斜行し、2着ケリフレッドアスクの進路が狭くなったとして長時間の審議へ。到達順位通りに確定したが、この斜行により小林美駒騎手には7月11日から19日まで9日間(開催日4日間を含む)の騎乗停止処分が科された。
■「申し訳ない気持ちと感謝」──初タイトルに重なった複雑な思い
「直線、妨害してしまったことは本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」。重賞初制覇を果たした直後、小林騎手の口から出たのは喜びだけではなかった。それでも「頑張ってくれた馬には本当に感謝したい」と続ける言葉に、その思いの深さがにじむ。

2週間の追い切りでコンビを組み、信頼関係を築いてきたファウストラーゼン。 「依頼をいただいた馬主さんや関係者の方々に、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と語るように、この一勝は多くの支えの中でつかんだものだった。歓喜と責任、その両方を抱きながら、小林騎手は初タイトルの瞬間を受け止めていた。
■「馬の気持ちを大事に」──初騎乗で導いた勝利の判断
レース前、小林騎手が最も重視していたのは“馬の気持ち”だった。 「最近あまり競馬に対する気持ちが上向いていないように感じていました」。 一方で、北海道に来てからはすごく気持ちよく過ごせているという陣営の言葉もあり、「この馬の気持ちを大事にして乗ろう」と決めていたという。

道中では他馬の動きも想定しながら対応し、馬自身が流れをカバーする場面もあった。 それでも「内に切れ込むところをもう少し改善してあげられれば良かった」と振り返り、冷静に自己評価する姿が印象的だった。 「直線でも大幅によれてしまったので、本当に反省しつつ、次につなげられるように頑張ります。」と語った小林騎手。それでも押し切った勝負強さの裏には、馬のリズムを優先した判断があった。
■「自分が乗った中で一番いい馬」──出会いが広げる次なる可能性
初めての騎乗で、小林騎手は確かな手応えをつかんでいた。 「自分が乗った中で、一番いい馬だと感じました」。その能力を強く感じたからこそ、「もっと良い結果を出せる馬」とも評価する。

「この子と一緒に素晴らしい世界が見えるように、自分も技術を磨いていきたい」。 馬から学び、それを次へつなげる――その視線はすでに先を見据えている。 初タイトルを手にした小林美駒騎手とファウストラーゼン。 その一勝の先に広がる景色とは――人馬が描く次の挑戦から、目が離せない。