
5月24日、東京競馬場で行われたオークス(GⅠ)は、5番人気のジュウリョクピエロが直線で馬群を割って抜け出し、クラシックの大舞台で樫の女王に輝いた。手綱を取った今村聖奈騎手は、自身初となる東京2400メートルでの騎乗でこの大一番を制し、JRA所属の女性ジョッキーとして史上初のGⅠ制覇という歴史的快挙を達成。 「本当に夢みたいです」と声を弾ませたように、初めて挑んだクラシック、そして未知の距離を乗り越え、競馬史に新たな1ページを刻んだ。
■「夢見ているみたいです」──今村聖奈騎手が噛みしめた歴史的オークス制覇
「夢見ているみたいです」。オークス制覇の瞬間を迎えた今村騎手の第一声は、驚きと喜びが入り混じった、あまりにも率直な言葉だった。 週末に悔しい思いをすれば、週中の夢の中で勝利を味わう――そんな経験を何度も重ねてきた末に訪れた、現実のGⅠ制覇。「本当に夢みたいです」と繰り返した言葉には、ジョッキーとして歩んできた時間の重みが、静かににじんでいた。

「身近で応援してくださっている方々と、この喜びを分かち合いたい」。そう語る今村騎手にとって、この1勝は決して自分ひとりのものではない。支えてくれた関係者、励まし続けてくれた人たちの存在を胸に、歴史的なオークス制覇を噛みしめていた。
■「彼女のことは一番分かっている」──未知の距離で貫いた冷静な判断
JRA女性騎手として初めて挑んだクラシック。しかも東京2400メートルは、自身にとって初舞台だった。それでも今村騎手は「彼女のことは一番分かっているつもりでした」と振り返るように、道中は終始落ち着いてレースに臨んでいた。

「東京2400メートルで乗ったことがないことを、関係者やファンの方が気にされているのは分かっていました。でも、そこはあまり考えすぎず、彼女を信じて乗ろうと思っていました」。前半はやや力む場面もあったが、途中からはリズム良く走ることができたという。直線の長い東京コースを意識し、「無理に外、外を考えすぎないように」と冷静に進路を選択。その判断が、最後のひと伸びにつながった。 「『ついて来い』と引っ張ってくれる、本当に男気のある馬です」。今村騎手の言葉通り、ジュウリョクピエロは最後まで脚色が衰えることなく、未知の距離を今村とともに乗り越えてみせた。
■「ジョッキーって素晴らしい」──感謝を力に変え、さらなる飛躍へ

「本当にたくさんの方に応援してもらいました」。オークスまでの道のりを振り返りながら、今村騎手は何度も感謝の言葉を口にした。関係者の支え、応援してくれたファンの存在。その一つひとつが力になったという。

「こんなにたくさんの方に応援してもらえることって、なかなかない。ジョッキーって素晴らしい仕事だなって思いました」。歴史的快挙を成し遂げた直後でも、その視線は足元だけにとどまらない。 苦しいことも、悔しいことも経験してきた中で手にしたGⅠタイトル。それでも「今の現状で全然満足していない」と言い切り、「次の一勝ができるように頑張りたい」と前を向く。 3歳牝馬の頂上決戦を制した人馬の、さらなる飛躍を期待せずにはいられない。