
5月3日、京都競馬場で行われた天皇賞(春)は、1番人気のクロワデュノールがハナ差でGⅠ4勝目を飾る一方、単勝208.4倍・12番人気の伏兵ヴェルテンベルクが2着に突っ込み、競馬ファンに強烈なインパクトを残した。レース後に行われたTVerの限定配信番組『競馬BEAT延長戦』では、MCの菅井友香さん、安藤勝己元騎手、岡安譲アナウンサーの3人が、この一戦をじっくりと振り返った。JRA・GⅠ22勝を誇るレジェンド・安藤元騎手がジョッキーならではの視点で勝負の分岐点をプレーバック。ハナ差決着の大接戦となったレースを鋭く分析した。
■「正直、来るとは思っていなかった」――アンカツを驚かせた想定外の末脚
「正直ね、ヴェルテンベルク、あれが来るとは思っていなかった」。 安藤さんのこの一言が、この天皇賞(春)を象徴していた。クロワデュノールの勝利、アドマイヤテラの上位争いといった大勢は「ほとんど思ったような着順」。しかし、最後の直線で外から一気に迫ったヴェルテンベルクだけは、完全に想定外だったという。

レース回顧をする岡安アナが何度も「ここですよ、ここからですよ」と強調したように、最後の直線半ばで画角に映らない位置からの強襲。安藤も「直線の半ばまで全然気づかないぐらい。やっぱりアドマイヤテラが2着かっていうところで、ゴール前でまさか並ぶところまで来るとは思わなかった」と、その衝撃を率直に語った。
■折り合いとコース取り――アンカツが見た勝敗の分岐点
「スタートが速いから、位置を取りに行ってるわけじゃないけど自然といいところに行く。」 「途中、ちょっと行きたがるような所があったけど、うまくなだめて落ち着かせて、折り合って走っていた。とにかく落ち着かせようという乗り方」。 安藤さんがレース全体を通して評価したのは、クロワデュノールの折り合いだった。 北村友一騎手は流れに逆らわず、馬のリズムを最優先。折り合いを重視し自信を持って騎乗した姿勢が、3200メートルという距離でも最後まで脚を残す結果につながった。

一方、ヴェルテンベルクについては、 「一番後ろから来るなんてね。普通から言ったら考えられない」と前置きしつつも、「一番外枠なんだけど、道中はずっと一番内でコースロスがない」と冷静に分析。 欲を出さず、結果的に最後方でスタミナを温存できたことが、あの末脚を生んだと読み解いた。
■「日本の中ではナンバーワン」――その評価が示すクロワデュノールの可能性
「距離的にはベストではないと思う。スピードのある馬だからね。それでも勝つということは、やっぱり能力が一枚上」。 「日本の中ではナンバーワン」。

安藤さんはクロワデュノールについてこう高く評価し、「どのレースでも使える」と今後の可能性に太鼓判を押した。 一方で、今回最大の話題となったヴェルテンベルクについても「長距離で確実に力を出す」と認め、期待を口にする。 歴史的大接戦となったハナ差決着と、レジェンドも想定外と語った激走。その両方が詰まった今年の天皇賞(春)は、結果以上に“記憶に残る一戦”となった。