
昨年9月の世界選手権東京大会女子10000m代表であり、5月のアジア選手権では銅メダルを獲得。名門・エディオンの主将としてチームを創部初優勝(クイーンズ駅伝)に導いたトラックの有力ランナーが、ついにロードへ降り立つ。 矢田みくに(26=エディオン)。 中学時代から全国で名を馳せたスピードランナーは、自身の走りを「猪突猛進」と表現する。守るものなき初マラソン、その挑戦の舞台裏に迫った。
■「猪突猛進」後先考えずに攻めるスタイル
初めての42.195km。不安があってもおかしくない距離だが、矢田の言葉に迷いはない。彼女の自己分析は非常にユニークかつ攻撃的だ。

――ご自身のレーススタイルを言葉で例えるなら? 矢田: 「猪突猛進」ですね(笑)。 「行ける!」ってなったら、とことんやってしまうので。それが裏目に出て空回りすることもありますけど、逆に良かったりもするので。そういった面では、あまり後先を考えないというところで「猪突猛進」かなって思います。
――初マラソンですが、意識していることはありますか? 矢田: (初マラソンなので)あまり想像はできていないんですけど、「守るものもない」と思うので。 頭を使いつつ、攻めつつ、とにかくゴールして笑顔で終わりたいです。
■トラックとは「別物」。だからこそワクワクする
世界を知るトラックランナーとして、マラソンという競技をどう捉えているのか。そこには「未知への挑戦」を楽しむアスリートの姿があった。 ――世界陸上10000m代表としての経験もありますが、トラックとマラソンの違いは? 矢田: よく「別物」って言われているので、その部分でも結構魅力的に感じています。また新たな気持ちで取り組めるんじゃないかなと思って、ワクワクしていますね。
■勝負のポイントは「35キロ」と「大阪城」
勢いだけで走るわけではない。事前の試走を通じて、勝負所を冷静に分析している。クレバーな一面も彼女の武器だ。

――大阪国際女子マラソンのコースを試走してみて、どう感じましたか? 矢田: 今回試走させていただいたんですけど、やっぱり後半が勝負になるのかなという印象です。 ただ、コース取りをしっかりして、頭を使って走れば、普通に走るよりはタイムが出るコースなんじゃないかなと思いました。(具体的には)35キロ付近の上りのところと、あとは大阪城付近のコーナー取りの部分がポイントになってくると思います。
■前田穂南の激走が心を動かした
矢田がこの舞台を目指したきっかけの一つに、同じ大会で生まれた伝説的な走りがある。

――大阪国際女子マラソンのレースを見たことはありますか? 矢田: 前田穂南さん(天満屋)が日本記録を出した時(2024年大会)は、もうテレビにずっと張り付いて見ていました。 「オリンピックに出るんだ」っていう強い思いが走りに表れていて、すごく刺激になりました。
――今回の目標を教えてください。 矢田: MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)の出場権を絶対に取ります。
■ニューヒロイン誕生の予感
「猪突猛進」の爆発力と、冷静なコース分析。そして世界選手権で培った勝負度胸。 トラックで培ったスピードを武器に、矢田みくにが大阪のロードを駆け抜ける。新たなマラソンヒロインが誕生する瞬間は、もうすぐだ。 初マラソンでのMGC獲得、そしてその先にある夢の五輪メダルへ。 注目のレースは、2026年1月25日、ひる12時15分にスタートする。