インタビュー

岩田一夫役 甲本雅裕

本当の岩田は健人や大山が羨ましい!?
苦悩を抱える男を熱演「疲れるけれど楽しい現場!」

甲本雅裕さん演じる警視庁捜査一課係長の岩田一夫は、”過去の刑事”・大山(北村一輝)と”現代の刑事”・健人(坂口健太郎)、両方の上司。過去と現代のすべてを知るキーマンです。そして岩田本人にも刑事部長・中本(渡部篤郎)との“取引”による葛藤が……。「疲れるけれど楽しい現場!」と常に全力投球の甲本さんに伺いました。

とてもエネルギーを使う現場とおっしゃっていますね。

たとえセリフの無い1シーンでも、ただ立っているだけの作品ではないので。それは登場人物の誰もが同じです。全体的にいつも何か張り詰めていて、何かが心の中にある。岩田も岩田で抱えている。だから現場の充実感に一層のものがあるんですよ。

中本と部下の間にいる岩田の立場は難しそうです。

そう……でも、思うんです。岩田を演じるときに必要なのは“現実を見る”ことかなと。僕は役で岩田の苦しい立ち位置を演じていますが、これが現実社会だったらどうだろう?苦しいからと放り出したら、もっともっと大きな崩壊につながってしまうかもしれない。中間の人間がいるから保っていられる社会もあるんじゃないか、それが現実ではないか、と。そこを考えると、僕自身がまず役者として誠実に突っ込んでいかなければ、と思うんです。役者の僕が逃げずに自分の内面に深く入り込むことで、ドラマに現れる岩田の見え方も変わってくる。ちょっとした表情も甘くならないよう、張り詰めていますね。

岩田の人物像とは?当初は中本派に見えていましたが……。

岩田が登場人物の誰に似ているかといえば、大山に似ていると思います。90年代から一緒にやってきた大山と、精神は同じ。ただ、社会や組織の矛盾に対する受け止め方や自分なりのそしゃくの仕方が大山とは違ったんです。180度の違いに見えるでしょう?僕は腹の中では、岩田も大山と一緒だよ!と思っているけど(笑)。でも、岩田まで大山と同じように出たら、捜査をさせてもらえなくなるかもしれない。ぐっと堪えるんです。現実社会にもきっとあるでしょうね、血気盛んにやっている人からすれば「何でここでせき止めるんだ!」というようなことが。根っから腹黒い上司もいるかもしれないけど(笑)、岩田は真摯に考えている上司だろうと思うんです。

7話で、岩田にも苦しい事情があったことが分かりましたが。

自分が過去に間違ったことをしていたなら、同情を乞うことはなく、どうやって罪滅ぼしをしていけばいいのだろうかと、日々ずっと考えてきた20年だったと思います。この間、気持ちが晴れることはなかったでしょう。それが一つひとつの表情に現れる。岩田の人間臭さが見えていたらいいですが。

現代の健人と、過去の大山。両方を知るキーマンとして見ると、いかがですか?

大山と健人は似ている。そんな2人が無線機でつながった。岩田の中のどこかで健人を羨ましいと思う気持ちがすごくあるんですね。だからといってオールOKにはできない、それは過去と同じです。ただ、過去から現代に至る中で、岩田には大きな出来事があったから、過去より現代の方が内面はもっとぐちゃぐちゃしていて、素直に健人を見てあげられない部分はあると思います。だからね、こんなに一気に白髪が増えたんです(笑)。

甲本さんからドラマの魅力を教えてください。

緊張に次ぐ緊張で、目が離せない!緊張と緩和の波があるドラマは多いけど、これは、緊張、緊張、緊張!そして緊迫!見ている間は息がつけない、息がつけないことも気付けない、それで見終わってから、「もう、息つかせてよ!」と見ている方にツッコんで欲しい感じです。演じる身もこの緊張と緊迫を絶やさないようにしています。なので、休憩時間に皆がフワっと緩む落差が激しいんですよ(笑)。どわっ!と笑ったりなんかして。そうしておかないと続かないんです。熱いと冷たいがハッキリしているこの感じ、生きている実感ですね。疲れるけれど楽しい現場!1日終えての一杯がうまい!そういう仕事をしたいと思います。汗をかきながら、苦悩しながら、皆さんも一緒になって観てもらえたら、最後は、ああ良かったって思ってもらえると思う。だからそれまで辛抱して一緒に緊迫してください!

ここに無線機があります。いつの時代の、誰と、つながっていると思いますか?

僕が産まれる前の「母ちゃん」に「体を大事にして」と言いたいかなあ。僕は母が大変な思いをして産まれました。産後に大病をしたんです。僕を産む前に医者から、母体が危険だから産まない方が良いとも言われたそうです。でも、授かったのだからと、母は僕を産んでくれた。病後も仕事を頑張った人でした。昨年、父を亡くして母一人になったので、いつまでも元気でいてほしいから、「過去の母ちゃん」に「体のことをもっと気をつけて」と前もって言えたらいいですね。

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