報道ランナー特集・「どうして関西の企業がトップスポンサーに?!」取材するたびに魅了された考え方

カンテレの取り組みの
ウラガワ

2022年4月29日 報道ランナー特集・「どうして関西の企業がトップスポンサーに?!」取材するたびに魅了された考え方

#5 ジェンダー平等を実現しよう
「どうして関西の企業がトップスポンサーに?!」取材するたびに魅了された考え方
LGBTQをはじめとするセクシュアル・マイノリティの存在を社会に広め、「”性”と”生”の多様性」を祝福するイベント「東京レインボープライド」。新型コロナの感染拡大前の2019年には、参加者は20万人に上るほどで、アジア最大級のLGBTQに関連するイベントです。3年ぶりのリアルでの開催とあって、ぜひ取材したいと思いました。

イベントには200もの企業や団体が賛同して、ブースの出展や取り組みで応援をしています。「どの企業もおもしろいなぁ…これだけの企業が積極的に動いていること自体ニュースとして伝えたい」と思いましたが、「大企業の話だし、関西には関係ない」と思われないようにしたい。そのようなことを考えながらスポンサーの取組みを見ていると、トップスポンサーとして、馴染みのある、ある飲料メーカーが出てきたのです。

それが京都に本社があるローカルに根差した老舗の飲料メーカー「チェリオ」でした。東京のレインボーイベントになぜ、2015年からトップスポンサーとして参加しているのか。そして、多様性推進やLGBTQの認知拡大を目的とした取り組みを行っているのか、興味津々でした。

チェリオはイベントに参加するだけではなく、2018年には就業規則に人種や国籍などと並ぶ形で、セクシュアリティーについての差別を禁止することを明記したり、同性パートナーを登録して、配偶者と同等の家族手当などが受けられるようにしたりするなど、社内制度も整備。京都本社には、“オールジェンダートイレ”も備わっています。(関西の企業で、従業員の規模も弊社と同じくらいの会社でこんなにも違うのか…驚愕と感心の連続でした)

取組みは、イベントの共同代表と菅社長が学生時代から友人だったことがきっかけでした。当時は社員の9割が男性で、LGBTQについての認識や関心はほとんどありませんでしたが、「ひとまずやってみよう」でスタートしたそうです。すると、ダイバーシティー(多様性)への取り組みをしているチェリオに入社したいという人が増加。今後当事者が増えてくるかもしれないということで社内制度の導入を進めました。なんと、社内から声が上がったわけではありませんでした。「今見えていないから『いない』と割り切るのではなくて、『いるかもしれない』ということを前提にすべて進めています。決まったルールがないので、手探りで調べて進めてきました」と担当者の方が話されたことが強く印象に残っています。

菅社長が話された、「ローカルとか小さいとか関係ない。チェリオが(社員)500人くらいの規模でできるんだったら自分たちもできるんじゃないかと、思ってもらえるんじゃないか」という言葉は、取材を通して実感に変わりました。

取り組んでいるのは、LGBTQだけにかかわらず、すべての人がいきいきと自分らしく働ける多様性に配慮した環境づくり。それぞれの個性を尊重した考え方が浸透していました。これが会社選びの魅力になっていて、スタンダードになる日も近いのでは…と感じずにはいられませんでした。
(放送記事はこちらから https://www.ktv.jp/news/feature/220429/

関西テレビ報道センター 記者 竹中美穂