ピクルスでフードロスゼロを目指す会社のSDGsへの取り組み

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2022年4月25日 ピクルスでフードロスゼロを目指す会社のSDGsへの取り組み

#12つくる責任つかう責任
ピクルスでフードロスゼロを目指す会社のSDGsへの取り組み
大阪泉佐野にある「いずみピクルス」は地元の野菜を使って、ピクルスをはじめとした商品をつくって販売するお店です。

社長の西出さんに、会社の取り組みについてのお話を伺いました。実は2012年に家業として営んでいた金属関係の会社から新たに事業転換し、現在のいずみピクルスとなったそうです。「地元で長く存続し、家族が守ってきたこの会社という容れ物があってこそ」という思いから、当時の建物を現在も使用されています。歴史を刻んだ建物を生かしながら、食品づくりという未知の世界へ挑戦することを決断したのです。

いずみピクルスが地元の野菜を使った商品を手がけるようになったきっかけは、地元の農家の声にあります。泉州には水なす、玉ねぎ、キャベツ、たけのこ、にんじんなどの特産野菜がたくさんありますが、形やキズなどの理由で規格外として棄てられるものも多かったのです。そんな廃棄される野菜を使って欲しいという地元の農家さんの要望を受け、本格的に地元野菜を使った取り組みをはじめました。

ピクルスをつくろうという考えに至った理由は、フードロス削減への意識にあるのだとか。ぬか漬けにする場合は、良い水なすでないと美味しくならない上、丸ごと1本漬けるため、1度にすべて食べ切らないといけないというデメリットがあります。その反面、ピクルスはカットしてつくるため、食べたい分だけ食べることができます。さらに賞味期限は、ぬか漬けでは約1週間のところ、ピクルスは約1年。フードロス削減に貢献できるというメリットから、ピクルスづくりへのチャレンジを決めたそうです。
他にもあった!フードロスゼロを目指すさまざまな工夫
「家庭で出た野菜の切れ端がもったいない」という従業員女性の意見から商品化
ピクルスづくりに携わる人たちがいる作業場では、黙々と作業にあたる女性従業員の姿が目立ちます。なんと、いずみピクルスで働く方の7~8割が地元の女性だとか。こうした女性従業員の声を取り入れながら商品開発も行われます。
いずみピクルスの女性従業員からは、「楽しいです。地元で働くことで地域に貢献することが出来ます。」という声がありました。女性の活躍出来る場をつくる取り組みも、SDGsへの取り組みにつながっています。

規格外野菜を使うことも、フードロスの削減につながっています。規格外野菜とは、皮にキズがあったり、適正サイズよりも大きいなどの理由で市場には出回らない野菜です。いずみピクルスではそのような規格外野菜をカットして、アク抜きをした後に瓶へ詰め、自家製の調味液に漬けてピクルスをつくります。

さらに、野菜の切れ端も最大限有効活用します。「アロマドレッシング」という商品は、余った野菜の切れ端を廃棄せずに利用したいという願いから開発されました。他にも、「家庭で出た野菜の切れ端を捨てるのがもったいない」という女性従業員の意見を受けて「ピクルスの素」が開発されました。「食材を余らせることなく使うことが出来る」と好評で、これももちろん、SDGsの取り組みです。そしてその魅力をより広めようと、2021年には、大丸梅田店にも出店を果たしています。
いずみピクルスが抱く今後のSDGsの取り組み
水なすピクルス和風mix
今後は畑を利用して野菜の栽培を考えていらっしゃる西出さん。自社製造する商品で使う野菜や、ハーブなどをつくるだけでなく、製造工程で生まれる野菜の切れ端を畑の肥料としても活用し、さらなる廃棄ゼロを目指して取り組んでいきたいのだとか。

さらに、2022年夏以降にはピクルスや泉州野菜に親しんでもらうためにカフェをオープンする予定です。こうした取り組みの中で製造・販売・加工・飲食事業により、循環型のビジネスモデルをつくっていきたいと意気込んでいます。

そんないずみピクルスでオススメするのが、「水なすピクルス和風mix」。水なすの繊細で柔らかく歯ごたえのある食感をそのまま生かしたピクルスです。氷温熟成させたまろやかな酢と、利尻昆布からとった出汁、旨味のある黒糖を使ってつくられています。酸味が抑えられた味わいになり、カレーとの相性も抜群。これから出店するいずみピクルスのカフェでもカレーを提供する予定のため、ピクルスとのハーモニーが期待できます。