廃棄ゼロは特別なことじゃない。“老舗醸造会社”が挑んだ新感覚スイーツ
カンテレの取り組みの
ウラガワ
2021年12月2日 廃棄ゼロは特別なことじゃない。“老舗醸造会社”が挑んだ新感覚スイーツ


日本酒やみりんをつくる際に出る醸造粕を使用した商品を展開するキング醸造の新ブランド「ORYZAE JOY(オリゼージョイ)」。年間数100トンにも上る醸造粕を利用して作られた新しいスイーツは、主力商品の副産物によって生まれた新しい商品です。1900年の創業以来取り組んできた老舗のモノ作りの姿勢と、醸造粕の新たな可能性についてご紹介します。
120年の技術を未来につなぐスイーツたち

ORYZAE JOYは、キング醸造の120周年記念事業ブランドです。120年培ってきた技術や経験をベースにしながら、未来につながるきっかけとなるような商品を作るためのプロジェクトとして始まりました。
「ORYZAE JOYというブランド名は、醸造酒の製造に使われる「アスペルギルスオリゼー(ニホンコウジカビ)」と、楽しむ=JOYの2つの言葉を組み合わせたものです。酒粕などを日々に取り入れてもっと楽しんでほしい、という意味が込められています」(製品開発課 蕨野裕哉さん)
ブランド立ち上げにあたり集まったのは、さまざまな部署の社員たち。若い社員や女性社員に話を聞きながら、初めてのスイーツ開発に試行錯誤したと言います。ただ酒粕を使いたい、流行のSDGsのためという理由からではなく、商品としておいしいものを生み出すことを第一に考えて開発に取り組んだそうです。
その結果、誕生したのが、チョコレートをクッキーで挟んだショコラサンド、ザクザクとした食感を楽しむショコラクランチ、国産野菜のパウダーを使ったサラダラテ、それと国産生姜を配合したジンジャーラテの4種類の商品でした。
「ORYZAE JOYというブランド名は、醸造酒の製造に使われる「アスペルギルスオリゼー(ニホンコウジカビ)」と、楽しむ=JOYの2つの言葉を組み合わせたものです。酒粕などを日々に取り入れてもっと楽しんでほしい、という意味が込められています」(製品開発課 蕨野裕哉さん)
ブランド立ち上げにあたり集まったのは、さまざまな部署の社員たち。若い社員や女性社員に話を聞きながら、初めてのスイーツ開発に試行錯誤したと言います。ただ酒粕を使いたい、流行のSDGsのためという理由からではなく、商品としておいしいものを生み出すことを第一に考えて開発に取り組んだそうです。
その結果、誕生したのが、チョコレートをクッキーで挟んだショコラサンド、ザクザクとした食感を楽しむショコラクランチ、国産野菜のパウダーを使ったサラダラテ、それと国産生姜を配合したジンジャーラテの4種類の商品でした。
根幹にあるのは、廃棄しないモノ作り

農産物を加工し、醸造することで日本酒やみりんをつくってきたキング醸造では、創業当時から「ゼロ・エミッション」(=無駄な排出の削減)を掲げ、製造過程で出た廃棄物や副産物を別の形で生かす取り組みを心がけてきました。酒粕・みりん粕を、漬物やみりん粕漬けの素として販売したり、家畜の飼料に使ったりするなど、余さずに使うことを実践していました。
そうした伝統を受け継ぎ、今回発売された商品の開発にあたっても、SDGsやエシカル(=倫理的)消費といった最近の潮流に乗るというよりも、これまでずっと守ってきた企業理念をこれからも大切に持ち続けていく、という姿勢だったといいます。
20年ほど前に世間でリサイクルやリユースへの意識が高まり始めたころ、キング醸造でも製造工程の中でつかう設備を見直す動きがありました。その頃、ちょうど工場の設備を更新しようとしていたこともあり、効率よく材料ロスを少なくできるものに入れ替えることになりました。このことが元々、モノづくりの根底にあった無駄をなくし、すべてを活用しようという考え方を、改めて意識することにつながりました。
その後も酒粕の廃棄0を早い段階で達成し、それ以来、同社にとっては酒粕の廃棄を出さないことはごく当然のこととなりました。酒粕を必要とする業者がいたこともあり、原料を無駄なく使い切る仕組みができていたのです。
そうした伝統を受け継ぎ、今回発売された商品の開発にあたっても、SDGsやエシカル(=倫理的)消費といった最近の潮流に乗るというよりも、これまでずっと守ってきた企業理念をこれからも大切に持ち続けていく、という姿勢だったといいます。
20年ほど前に世間でリサイクルやリユースへの意識が高まり始めたころ、キング醸造でも製造工程の中でつかう設備を見直す動きがありました。その頃、ちょうど工場の設備を更新しようとしていたこともあり、効率よく材料ロスを少なくできるものに入れ替えることになりました。このことが元々、モノづくりの根底にあった無駄をなくし、すべてを活用しようという考え方を、改めて意識することにつながりました。
その後も酒粕の廃棄0を早い段階で達成し、それ以来、同社にとっては酒粕の廃棄を出さないことはごく当然のこととなりました。酒粕を必要とする業者がいたこともあり、原料を無駄なく使い切る仕組みができていたのです。
酒粕をもっと身近に

ORYZAE JOYが販売している商品は、すべてキング醸造の日本酒やみりんを製造する過程でできた醸造粕を使用しています。
以前より醸造粕を利用した加工品を販売していましたが、直接食べるという商品の開発にはいたっていませんでした。発酵物は菌が生きている状態なので、品質を安定させたまま流通させることが難しかったのです。今回のORYZAE JOYでは新たに開発した酒粕パウダーをつかうことで、“食べる酒粕”を実現しています。
ORYZAE JOYは忙しく働く都会の女性を意識して開発した商品で、普段の生活の中でヘルシーな醸造粕を摂り入れていただけるようにパッケージにも工夫を凝らしています。
「女性がターゲットだからといって単純にかわいらしくするのではなく、女性社員の声を取り入れながら、日常になじむかっこいいデザインを目指しました。キング醸造として基本に立ち返って地域密着のモノづくりを行う一方で、ORYZAE JOYでは暮らしに寄り沿う商品を今後も幅広く展開予定です」(マーケティング戦略課チーフ 丸井慎太郎さん)
過剰包装をやめるなど、これまでも環境に配慮した取り組みを進めてきたキング醸造。最近では自分たちで栽培した米をつかってみりんにしたり、地域の親子と一緒に田植え・稲刈りをしたりといった社会活動も行っています。
「食品を作る責任、食事に関わる責任を再認識しながら、今より一歩進んだ段階を目指していけたらと考えています。さらに地元とのつながりを強くして、農家の方とよりよいモノづくりを大切に続けていきます」(マーケティング戦略課マネージャー 竹山慎一郎さん)
老舗企業としての初心を大切にしながら、新ブランド・ORYZAE JOYを通じた廃棄ゼロへの挑戦は続きます。
以前より醸造粕を利用した加工品を販売していましたが、直接食べるという商品の開発にはいたっていませんでした。発酵物は菌が生きている状態なので、品質を安定させたまま流通させることが難しかったのです。今回のORYZAE JOYでは新たに開発した酒粕パウダーをつかうことで、“食べる酒粕”を実現しています。
ORYZAE JOYは忙しく働く都会の女性を意識して開発した商品で、普段の生活の中でヘルシーな醸造粕を摂り入れていただけるようにパッケージにも工夫を凝らしています。
「女性がターゲットだからといって単純にかわいらしくするのではなく、女性社員の声を取り入れながら、日常になじむかっこいいデザインを目指しました。キング醸造として基本に立ち返って地域密着のモノづくりを行う一方で、ORYZAE JOYでは暮らしに寄り沿う商品を今後も幅広く展開予定です」(マーケティング戦略課チーフ 丸井慎太郎さん)
過剰包装をやめるなど、これまでも環境に配慮した取り組みを進めてきたキング醸造。最近では自分たちで栽培した米をつかってみりんにしたり、地域の親子と一緒に田植え・稲刈りをしたりといった社会活動も行っています。
「食品を作る責任、食事に関わる責任を再認識しながら、今より一歩進んだ段階を目指していけたらと考えています。さらに地元とのつながりを強くして、農家の方とよりよいモノづくりを大切に続けていきます」(マーケティング戦略課マネージャー 竹山慎一郎さん)
老舗企業としての初心を大切にしながら、新ブランド・ORYZAE JOYを通じた廃棄ゼロへの挑戦は続きます。

マーケティング開発部 製品開発課 蕨野裕哉さん
マーケティング開発部 マーケティング戦略課マネージャー 竹山慎一郎さん