「ジェンダー平等」を実現しよう…これが意外に難しい

カンテレの取り組みの
ウラガワ

2021年11月26日 「ジェンダー平等」を実現しよう…これが意外に難しい

#5ジェンダー平等を実現しよう
ジェンダーギャップの基本は徹底的に人権問題です 中貝宗治前市長
「ジェンダーギャップ」をテーマにしたドキュメンタリー番組を作りたいと思っていたが、何を撮影したら日本の現状が浮かび上がるのか、思いつかず、数年ほど着手できずにいた。きっかけは身近なこと。職場の定例会議の出席者は男性ばかりだな…ともやもや思いだしてから、職場の女性の人員構成や働き方が気になるようになっていた。
そこに起きたのが、オリンピック組織委員会の会長だった森さんの発言。この問題に多くの人が関心をもつ「潮目」だった。

ただ、実際に取材するのは難しかった。「このままでいい」と考えている男性は少なくない。女性でも今の状況に満足していて、変えたくない人もいる。一方で、男性中心の社会だと感じ、不平等感を強く感じている人たちもいる。でも、何をどう変えたいのか、何が問題なのか、なかなか言語化できない状況があり、私の「モヤモヤ」はさらに強まった。誰の気持ちに沿って番組を作るべきなのか…それすらも整理できない日が続いた。
「余計なことをしなくていいです」と言われたことがあります
こうした状況の中で、国連が定めた「持続可能な開発目標」の5番目にジェンダー平等が盛り込まれている意味は大きかった。ジェンダー平等の達成目標には「政治、経済、公共分野のあらゆるレベルの意思決定において、女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する」、「無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する」などが含まれている。
自分の感じる「モヤモヤ」は間違ってはいないと確信した。
とはいえ、このテーマで対立や分断を招くのは嫌で、前向きな活動を通じて、「こんな風にすれば変われる」という風に伝えたかった。そして向かったのが人口流出の問題に絡めて、ジェンダーギャップ対策を始めていた兵庫県豊岡市だった。
豊岡市はデータなどで問題を可視化していて、それは実はどこにでも当てはまるような普遍的な内容でもあった。女性が出世しない理由、女性が昇進を断る理由、いろんなことを知り、一方で自分の考え方も省みる機会にもなった。

取材を経て理解したことがある。シングルマザーの貧困。半分を超える世帯が相対的貧困の状況にある。このシングルマザーの貧困とジェンダーギャップの問題は、実は繋がっている。
3人の子供を育てるシングルマザー 非正規雇用の保育士
男性が大黒柱として働くのを妻がサポートする形で仕事を辞めて家事育児の全般を担う。その後、夫婦関係が破綻した際には、女性は稼ぐ力の低下した状態で育児をまかされたまま社会に放り出されるのが多くのパターンだ。この社会のあり方を変えなければ、この先も多くのシングルマザーは貧困と隣り合わせとなるだろう。

ジェンダーギャップはどこまでいっても「人権問題・公正さ」の問題だと、中貝宗治前市長は語っていた。

「持続可能な社会」になるために、ジェンダー平等の問題に対しては、みんなが少しずつ痛みを分かち合わないといけないのかもしれない。
性別によって有利な部分を得てきた人も、責任から逃れてきた人も、痛みが誰かに偏らない社会にするためにはどうすればいいのか…考える機会になればと願う。
報道センター ディレクター 柴谷真理子