「となりのミライジン」で願った「誰もが自分を好きになれる社会」| ウラガワ 一覧ページ
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2021年9月17日 「となりのミライジン」で願った「誰もが自分を好きになれる社会」


売り手市場と言われていた2018年、雇用推進を担当する知人の行政職員から意外な話を聞きました。
「難関大学の学生が就職できず困っている。」
京都大学や大阪大学の担当者からその理由を聞くと、キーワードは「発達障害」でした。「発達障害」に特化した就労移行支援の現場にも行ってみました。有名大学を卒業した発達障害の若者たちが就職できない悩みを抱えていました。
その増加は、不寛容さを増す今の時代の写し鏡のようでした。
「難関大学の学生が就職できず困っている。」
京都大学や大阪大学の担当者からその理由を聞くと、キーワードは「発達障害」でした。「発達障害」に特化した就労移行支援の現場にも行ってみました。有名大学を卒業した発達障害の若者たちが就職できない悩みを抱えていました。
その増加は、不寛容さを増す今の時代の写し鏡のようでした。

そんな中出会ったのが、今回の番組の主人公、小林宏樹さん。当時大企業のすご腕データサイエンティストでした。天才的な能力があるのに引きこもっていた友達と新たなビジネスに挑みたいと、2年前、会社をやめてITベンチャー「ミライジンラボ」を立ち上げました。
やがて、優れた能力を秘めながら鬱や「発達障害」に悩む仲間たちが増えていきます。
彼らがなぜ働けないのか考えていくと、障害と福祉と雇用を巡る「矛盾」に気付きました。
「発達障害」がある場合、診断を受け手帳の申請をすると、障害の程度に応じて精神障害者手帳を手にします。様々なサービスや支援を受けられるようになり、「障害者雇用」という選択肢も生まれますが、自分を「障害者」と認めることへの抵抗感や就労での課題が残ります。
国は「障害者」の雇用を促進するため法定雇用率を設け、年々引き上げを図っています。(現在:民間企業2.3%) しかし達成している企業はまだ半数にも届いていません。
「障害者」の就労の受け皿となるのは障害者総合支援法の下での障害福祉サービスです。簡単な作業であることが多く、報酬はかなり低く設定されています。
高学歴の発達障害者にとって、その仕事は物足りず、自己実現に繋がらないものとなりがちです。
大学の担当者によると、多くの学生が診断を受けないグレーゾーンのまま、支援を受けることもなく就労にも困難を抱えています。
さらに大学生になる前に不登校になり、優秀なのに学歴を伴わない若者も増えています。
やがて、優れた能力を秘めながら鬱や「発達障害」に悩む仲間たちが増えていきます。
彼らがなぜ働けないのか考えていくと、障害と福祉と雇用を巡る「矛盾」に気付きました。
「発達障害」がある場合、診断を受け手帳の申請をすると、障害の程度に応じて精神障害者手帳を手にします。様々なサービスや支援を受けられるようになり、「障害者雇用」という選択肢も生まれますが、自分を「障害者」と認めることへの抵抗感や就労での課題が残ります。
国は「障害者」の雇用を促進するため法定雇用率を設け、年々引き上げを図っています。(現在:民間企業2.3%) しかし達成している企業はまだ半数にも届いていません。
「障害者」の就労の受け皿となるのは障害者総合支援法の下での障害福祉サービスです。簡単な作業であることが多く、報酬はかなり低く設定されています。
高学歴の発達障害者にとって、その仕事は物足りず、自己実現に繋がらないものとなりがちです。
大学の担当者によると、多くの学生が診断を受けないグレーゾーンのまま、支援を受けることもなく就労にも困難を抱えています。
さらに大学生になる前に不登校になり、優秀なのに学歴を伴わない若者も増えています。

「優秀な人材が働けないなんてもったいない。」小林さんの思いに共感し、取材を始めました。
「ミライジンラボ」にノルマはなく、メンバーは小林さんが思いもよらない方法で成果を出します。
引きこもりや鬱、発達障害など複雑な問題を抱えるメンバーが、「未来の社会」では尖った戦力になると信じ、小林さんは新たな仕組みを思い立ちます。国に障害者雇用の機会を促進するためのプロジェクトを提案し、採択されたのです。順風満帆なスタート、しかし現実は容易くはありませんでした。
一度引きこもった若者がもう一度社会でやり直すことは並大抵ではありません。予期せぬ事態が起こり、放送はその都度延期になりました。
3年近く彼らと向き合い、改めてシンプルな願いに辿り着きます。
誰もが自分の個性や能力を必要とされることで、生まれ持った自分の個性を好きになれる社会の実現です。
これは人権や道義的な効果ばかりでなく、必要とされた本人が社会に価値を生むようになることで、持続可能な経済成長にも繋がるものです。
この番組で出会った小林さんたちの志はSDGsの精神にも通じるものだったと振り返って今気付きました。
「ミライジンラボ」にノルマはなく、メンバーは小林さんが思いもよらない方法で成果を出します。
引きこもりや鬱、発達障害など複雑な問題を抱えるメンバーが、「未来の社会」では尖った戦力になると信じ、小林さんは新たな仕組みを思い立ちます。国に障害者雇用の機会を促進するためのプロジェクトを提案し、採択されたのです。順風満帆なスタート、しかし現実は容易くはありませんでした。
一度引きこもった若者がもう一度社会でやり直すことは並大抵ではありません。予期せぬ事態が起こり、放送はその都度延期になりました。
3年近く彼らと向き合い、改めてシンプルな願いに辿り着きます。
誰もが自分の個性や能力を必要とされることで、生まれ持った自分の個性を好きになれる社会の実現です。
これは人権や道義的な効果ばかりでなく、必要とされた本人が社会に価値を生むようになることで、持続可能な経済成長にも繋がるものです。
この番組で出会った小林さんたちの志はSDGsの精神にも通じるものだったと振り返って今気付きました。
報道センター ディレクター 宮田輝美