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2020年5月20日(水)

末期がんや認知症…病院に「行けない人」に医療を 24時間365日体制の「在宅医療専門」クリニック


病院に通うことが難しい人の家に行って診療する「在宅医療」。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、必要とする人に変わらず医療を届けている医師がいます。

患者の自宅で「切除」などの手術も

【守上佳樹院長】
「明るく元気よく今日もやっていきましょう。今日もよろしくお願いします」

京都市西京区にある「よしき往診クリニック」。
医師や看護師、薬剤師など約30人のスタッフが在籍する在宅医療専門のクリニックです。

【守上院長】
「病院に行ってなくても、家でも新しくできてきた癌を在宅医療で見つけることができるので、単に顔を見に行くだけじゃなくて、クオリティーの高い医療をそのままを提供する」

クリニックで院長を務める守上佳樹医師(40)。
3年前、より患者に寄り添った医療を提供したいという思いから在宅医療を始めました。

【守上院長】
「ひさしぶりやね。足の方みせてもらうね…」

末期がんや認知症など、通院が難しい人の家に直接出向き、診察から点滴、簡単な手術などの処置を行います。

この日訪れた94歳の女性は1週間前、かかとにできた床ずれで、激しい痛みがあり、急遽、壊死した部分を切除する処置を受けました。

【患者(94)】
「ありがとう」

【守上院長】
「なるべく早めに介入して不必要なところを切りとっておかないとそこの部分が腐って骨まで見えてきたりする。もうちょっと様子をみましょうではなくて、なるべく早く来て目で見てしっかり家で処置する」

患者の症状にあわせ、24時間365日体制で診療にあたっています。

【患者の家族】
「先生がきてくれるのが一番うれしいんよね」

【患者(94)】
「せやね。…もう帰るの?」

患者さん、守上院長のことをとても信頼しているみたいです。
それは患者さんのご家族も同じでした。

【患者の家族】
「時間外でも夜でもお電話して『こうなんです』と言うと、『とりあえず伺いましょう』と言って来てくれるその安心感ですよね。本当心強いんです」

診察を終え、帰ろうとすると…台所から出てきたご家族が先生に手渡します。

【患者の家族】
「ちょっと、ひとつずつ…」

【守上院長】
「そうかごめんね、手作りのおにぎりもらっちゃった」

家族のようなつながりの中で、医療を続けています。

【守上院長】
「毎日ドラマチックな出来事であったり、難しい症例であったり、やっぱり僕たちがいなかったら話を進められなかった症例とか…医療の原点に戻ったような。すごくハードルは高いですけど、達成してチームでみんなでできた時にはものすごく大きなクオリティになる」

感染拡大で…いつも以上の緊張が続く
クリニックでは京都市西京区を中心に、月に260人ほどの患者を3~4チームで巡回しています。

【医療スタッフ】
「この方、安定していて採血結果も特に大きい問題なかったので今後、訪問診療継続ということになりました」

【医療スタッフ】
「84歳肺がんの方。呼吸停止のご連絡がありましたのでお看取りに行かせていただいております。ご本人が好きなリビングで最期迎えることができてよかったということで」

毎日のカンファレンスでは患者の容体などを全員で共有し、チーム医療に役立てます。

患者の多くが高齢者である在宅医療。
新型コロナウイルス対策のため、スタッフ一人につき、防護服、ゴーグル、マスクなどが入ったセットを必ず持ち歩くようにしています。

【医療スタッフ】
「訪問前に患者さんに必ずお電話して発熱、咳症状ないか確認してコロナの疑いがある方は完全防備していきます」

いつも以上の緊張が続く中、クリニックには、患者の家族から手づくりのマスクが届けられました。

【守上院長】
「気持ちでつながっているというのがすごく胸が熱くなるというか、やっぱり勇気がでます」

誰がやるんだ、という強い使命感
守上院長は、府県をまたいでの通勤をさけるため、クリニックに泊まることが多くなっているといいます。

【家族とのビデオ通話】
「僕だよ、おとうさーん」

「お仕事頑張ってね」

毎日テレビ電話でかわす息子との会話が元気の源です。

みんなの気持ちを胸に、院長はスタッフと2人一組で一日に約10人の患者を訪問しています。

【患者(89)】
「待ってた…先生待ってた」

3年前から、持病のため在宅医療を月2回のペースで利用していた89歳の女性。
いつも院長の訪問を心待ちにしています。

しかし、今は、電話での診療も取り入れ、院長に直接会えるのは月に一度だけです。

【患者(89)】
「もっと来てほしいけどな、わがまま言ったらあかんしな…」

診察の終わり、患者さんが楽しみにしていたのが…

【患者(89)】
「先生~っていうてやってたのに、今はあかんねん。ここで終わり…ここまでやな」

お決まりのお別れのハグも今は我慢です。

【守上院長】
「世の中の状況がどういう状況であっても、僕たちがいなくなるとじゃあ誰がやるんだという強い使命感も同時にありますので、不安を抱えながらもいつもと同じようにいかにしていくのかを基本に忠実にずっと考えていきたい」

必要とする人に医療を届け続けるためにー

きょうも患者と向き合います。 

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