特集コーナー/バックナンバー

2019年2月4日(月)

【特集】男性社員に「必ず育休1ヵ月」…驚きのイクメン企業の狙いとは

特集のテーマは働き方改革の課題の一つとも言えるかも知れません、「育児休業」です。

こちらは、育休の取得率を表したグラフです。
女性は8割を超える割合で安定して推移しています。
一方で、男性はまだ5%程度と、大変低い水準に留まっています。

このデータから依然、女性に子育てや家事の負担が偏っているという状況が垣間見えてくるわけです。
こうした状況を変えようという企業も出てきました。

■福祉国家・スウェーデンを視察、帰国後すぐ「社長が決断」

お客さんのもとへと向かう営業マン、
大手ハウスメーカー・積水ハウスの社員です。

【積水ハウス・和田慎吾さん】
「お世話になります。積水ハウスの和田です」

 

住宅を売る相談…かと思いきや。


【積水ハウス・山岡徹矢さん】
「和田の方がイクメン休暇という会社の制度を利用して、お休みに入りますので」

【和田さん】
「奥様がどんなことをいつもされているかっていうのを自分の家で勉強したいので」

 

育児休業を取るにあたっての、挨拶回りでした。 

積水ハウスは去年、「男性社員に1カ月以上の育児休業を取得させる」との方針を発表しました。
対象は3歳未満の子どもを持つ社員。1カ月間は給料も出ます。

きっかけとなったのは、社長が福祉国家・スウェーデンを視察したことでした。 

【積水ハウス・仲井嘉浩社長】
「スウェーデンでは3カ月間、イクメン休暇(男性の育児休業)を取らなければならない。
希望があれば16カ月まで延長できるという。そこまで世界は進んでいるのかと」

スウェーデンでは、男性も積極的に子育てに参加しています。
その様子を目の当たりにした仲井社長。
帰国してすぐ「男性社員に1カ月の育児休業を取らせる」ことを決めました。

■育休がもたらした、男性社員たちの働き方、職場の変化

姫路支店で営業を担当する和田慎吾さん(35)。
住宅を売り続けて10数年、会社の中堅です。

家庭では、4歳の男の子と1歳の女の子の父親ですが、育児は奥さんに任せっぱなし。
和田さんも、早速制度を利用して、1カ月間の育児休業を取ることしました。


【和田さん】
「妻が“こういう制度が出来たんや”と話をした時に、飛び上がるぐらい喜んでいまして。
その日から(妻が)自分の手帳にスケジュールを落とし込んでいっているんですけど…
何かずっと私、家にいないといけないようなスケジュールになっていますかね、今」

しかし、営業はお客さんがあっての仕事。商談のチャンスを逃せば、業績にも影響が出てしまいます。
1カ月もの間、職場を離れても本当に大丈夫なのでしょうか?

【和田さん】
「営業は一人ではなくチームでやっていますので、チームの人に相談とかもできますし」

積水ハウスでは、社員が育児休業を取る間、ほかの社員が業務を引き継いでフォローしています。
和田さんも、お客さんへの対応を同僚にお願いすることにしました。

【和田さんから業務を引き継いだ山岡さん】
「色々ご検討いただいているお客様にはタイムリーにご提案をしないといけないで、結構大変なところがあるんですけれど。
情報を共有できるようなシステムも当社にはあるので」

姫路支店の店長は、この制度が始まってから“職場に変化が生じた”と話します。


【積水ハウス・姫路支店 堀徹也店長】
「休みをしっかり取るということが前向きに言いやすくなった環境ができたことが一つ。
あとは休む日が決まったらそこまでに段取りを組まないといけないので、会話する密度が濃くなりましたね」

■「子供の相手」だけでも実感…子育てに夫婦の協力は不可欠


いよいよ、和田さんの育児休業が始まりました。
リビングに掃除機をかけて、しっかりと家事に取り組んでいる様子です。

 

【和田さんの妻・愛須花さん】
「買い物に行ってくるな」


そうこうしているうちに、奥さんは買い物に…。
ここからは和田さんが一人で子どもたちの面倒をみます。

普段は会社に行っているパパとの時間を満喫する子どもたち。
あまりにはしゃぎ過ぎて、お腹が減ったのか…。

【和田さんの長男・柊央君(4)】
「お菓子食べたい」

【和田さん】
「駄目です。何時に食べるんやったっけ」

お昼ご飯の前に「お菓子を食べたい」と言い出した長男の柊央君。

【柊央君】
「お菓子食べなあかん」

【和田さん】
「食べなくていいの」

【柊央君】
「お菓子食べたいよ~」


「お菓子はダメ!」とパパは何度も言いますが…。


【柊央君】
「お菓子~、お菓子~、お菓子、お菓子!」

【和田さん】
「ママ帰ってくるまで待とう」

【柊央君】
「パパ、先これ(お菓子)や」

【和田さん
「それ食べない!」


【柊央君】
「これ食べる、お菓子」

【和田さん】
「ご飯食べられなくなるやろ」

柊央君、パパの目を盗んでラムネをパクリ。

 

【和田さん】
「…1個だけやで」


そして、奥さんが帰ってくると…。

【柊央君】
「お菓子食べたから。ごめんなさい」

 

素直に謝る柊央君。
子どものしつけに関しては奥さんの方が、やはり一枚上手のようです。

夫の育児休業について、奥さんはどう思っているのでしょうか。

【和田さんの妻・愛須花さん】
「一人目産んだ時なんかはすごい思ったんですけど、なんかもう子育てを舐めてたなと思ってめちゃくちゃしんどくて。
助けてくれる人がいるっていう意味では(男性の育児休業制度は)すごくいいと思いますね」


■男性育休の実現のため、「会社の方針を変える」企業も

一部の企業では積極的な導入が進む、男性の育児休業。

しかし、厚生労働省の調査によると、
従業員が300人未満の企業では「取得日数が0(ゼロ)」と答えた割合が9割を超えていて、
まだまだ取得しやすい環境が整っているとは言えません。

こうした現状を少しでも改善しようと、
厚生労働省は、中小企業を対象とした仕事と育児の両立支援セミナーを開催しています。

事業を受託しているパソナでは、「育児プランナー」と呼ばれる専門家が、
無料で企業からの相談を受けつけているほか、育児休業に関する制度を作るためのアドバイスもしています。


【中央育児・介護プランナー 伊井伸夫さん】
「1週間に1日~2日のパートをお願いしてもいい。もしかしたらOG(やOB)を、社会復帰の前段階として週2日~3日雇う。
これも仕事の進め方・改革の一つだと思う」

こちらは東京にあるシステム開発会社です。エンジニアは5人で、それぞれが大きな役割を担っています。
2年前、そのうちの1人の男性が「1年間の育児休業を取りたい」と申し出ました。


【ブレイクスルー・ネットワーク 佐藤貴之社長】
「(当時は)育児休業を取った女性すらいないので、育児休業とは何ぞやというところから始まった」

社長の佐藤さんも、育児プランナーに相談した上で、男性社員に育児休業を取ってもらうことを決めました。
しかし1人が休めば、業務を4人で回さなければなりません。

【佐藤社長】
「育休を取るエンジニアからすると一生に一回の時間。どうしたかというと全部(新規の)プロジェクトを止めました。
無理して(顧客の)要求に100%応えるためにとやっても違ったところでひずむと思うし、それはそれで無理しなくていいのかなと。
会社の考え方、ポリシーに沿って“できる範囲はここ”“できることはできる範囲内でやっていく”(ことが大事)」

日本では、少子化が急激に進んでいます。
子どもを安心して産み、育てられる社会となるために。
誰もが育児休業を取りやすい“環境の整備”が求められています。

記事一覧へ戻る

関西テレビ ページトップへ戻る