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2019年1月10日(木)

【特命報道 ツイセキ】その束縛が「暴力」に…若い世代で拡大する「デートDV」 深刻なリスクも

「デートDV」―― 皆さんはこの言葉、ご存知でしょうか?

DV=ドメスティックバイオレンスは、家庭内・夫婦間での暴力のことを言いますが…
デートDVというのは、若いカップルの間での身体的・精神的な暴力のこと。
これがいま、社会問題になっているというんです。

とりわけ多いのが、行き過ぎた束縛がエスカレートして深刻な事態に繋がってしまうケース。
若い世代ゆえに陥りやすいデートDVの恐ろしさとは?

■『束縛』も…「大切にされている?」

 

―― 交際相手のこと、束縛していませんか? 

(16歳と17歳のカップル)

Q:どれくらいやりとりする?
【彼氏】「一日中」 
【彼女】「毎日」


【彼氏】
「バイト中もしている」

【記者】
「めっちゃ電話してますね」

【彼女】
「ちょっとご飯食べてくるって言ったら『男おる?』って聞いてくる」

【彼氏】
「ない~!」


【女子高校生・18歳】
「ラインとかも一時『死ね』とか『消えろ』とか存在を否定されてばっかりで、
じゃあ別れよって言ったら『お前何なん』ってもっとエスカレートしたりとか」

【女性・20歳】
「半同棲とかなっててバイトとかで遅くなったら玄関で殴られる。自分が悪かったんやなって錯覚に陥る」

 

その束縛は時として、心を追い詰める暴力に。エスカレートしたデートDVが、行きつく先は…


■被害者も「自覚ないまま…」デートDVの深刻なリスク

 

夜間の定時制高校で開かれた特別授業。 

「いらっしゃーい」 

生徒たちの前に現れたのは幼い子どもを抱いた女性です。

 

【あやさん(仮名)】
「付き合っていたら当たりまえになってしまってDVされているとは思わないんですよ」

21歳のあやさん(仮名)。

3年前に交際を始めた5歳年上の男性は、妊娠しても結婚しようとせず、子どもの認知もしませんでした。
それでも別れを切り出さなかったのは、自分は大切にされていると、どこかで思っていたからです。

 

【あやさん(仮名)】
「普通に束縛されているだけやと思っていたけど、周りからしたらおかしかったらしくて」


外出すると送られてくる大量のメッセージ。

どこで何をして、誰と会っているのかを、常に確認され、
怒りの感情を表すような同じスタンプが、100個以上送られてくることも…。


【あやさん(仮名)】
「すぐ返事しなかったら電話かかってきます。なんで出られへんのってやましいことあるんって、ほぼ監視みたいな感じ」

 

さらに、同棲していた時、家でスマートフォンを持っていると…

【あやさん(仮名)】
「LINE開いてたら見てくるんです、これ誰なん?これ誰なん?って…ずっと締め付けられてる状態」

日に日に束縛は強くなりましたが、あやさんが抱いていたのは
「嫌悪感」ではなく「諦め」だったといいます。

しかし去年10月、あやさんは、ある出来事をきっかけに、男性の元を離れました。

【あやさん(仮名)】
「(子どもが)おもちゃでバーン頭たたかれたこともあったから、なんで手出せるんてっていうのがあるから。
手出す人と一緒におられへん」

 

このままでは、いずれ自分と子どもが深刻な危険にさらされるー。

ようやく気付いたあやさんですが、自責の念にかられて親に相談することはできず、支援施設に身を寄せることになったのです。

 

【あやさん(仮名)】
「とりあえず逃げてきて荷物をここにおかしてもらって…。こっち来たときほぼお金持ってなかったので、
もらえるだけですごくありがたい。もっと早く動けてたらちょっとは変わってたかなってすごい思います」

 

■「よくあること」と我慢し…深刻な事態につながるデートDV

『恋人同士ならよくあること』と考えがちの嫉妬や束縛が、やがて深刻な事態につながってしまうデートDV。

街で取材をしていると、こんな女性もいました。 

【女性・21歳】
「私の元彼ほんまにやばい。常に位置情報で位置探ってる。友達と遊んでたら後ろから車でつけて来たりとか。
向こうが送ってきた2分後に返さないと電話がずっとかかってくる感じ。LINE送ったらすぐ返せみたいな」

(元彼からのLINEを見せてもらうと…)
『今日も確実男やから、行くから、お前だけは許されへん』

【女性・21歳】
「その時は無心でした、何も思わず普通かなって。依存してたみたいな」


NPO法人の調査によると、何らかのデートDV被害に遭ったことがある若者は
男性で「27%」、女性では「45%」と半数近くに上ります。

なぜデートDVが広がっているのでしょうか?この問題を長年研究する社会学者はスマートフォンが束縛したいという欲求に拍車をかけていると指摘します。

■束縛の道具に…スマホの罠 『監視できてしまう』

【DV加害者プログラム『NOVO』・伊田広行 代表】 
「束縛しやすい道具としてスマホがある。今や無料で映像もあってメールもあって24時間監視できる。心理としても確かめたい不安だというのが手段がある分増幅される」

1日に数十件以上メッセージを交際相手に送り、その後、連絡を絶たれてしまったという男性は…

【デートDVをした男性・20代】
『好きな気持ちが行き過ぎてしまった。暴力はふるってないし、相手が嫌かどうかなんて、考えたことがなかった』

加害者側の罪の意識が薄いのも、デートDVの特徴です。
では一体どうすれば、未然に防ぐことができるのでしょうか?


■デートDV防ぐには? 小学生相手の授業も…

【先生】
「今も昔も好きな気持ちは変わらないのに、どうしてだろう」

大阪市の学校では、なんと小学生がデートDVについて学んでいました。
この日はあるカップルのメッセージのやりとりを例に、どんな行動が危険なのかを考えます。

【小学生たち】(例文のやり取りを見ながら)
「なんかいや~」
「今まで思っていたことを全て言って別れる」
「きっぱりって何を言うん」


【先生】
「話し合うっていったけどそれでも直らへんかったらどうする?

【小学生】
「別れる」

【先生】
「別れるな。分かれるのもいいねんけど、せっかく好き同士なってんからどうするのか考えるのも一つのやと思います」

 

まだ小学生ですが、スマートフォンで簡単に人と繋がれる時代だからこそ早い段階での教育が求められます。

 

Q:携帯とか持ってる人、手あげてもらえる?

【女の子たち】
「はい(4人あがる)」

【女の子】
「どれだけ好きでも携帯を勝手に見たりしつこくラインするのはアカンと思う」


【先生】
「子どもの頃は自分が中心になってしまいがちで、一歩客観的に恋愛とか友達との付き合いを考えてくれたら」


■『なぜあんなに我慢していたのだろう』 …取り返しがつかなくなる前に相談を

デートDVの被害を受け、避難生活を続けているあやさん。施設内の託児所に子供を預け、仕事を始められるようになりました。

 

【あやさん(仮名)】
「(子供が)きょう、朝食べへんかってん」

【施設職員】
「食欲ないんかな」

【あやさん(仮名)】
「いや、薬飲ましたけどまた薬持っていかなアカン」

【施設職員】
「ほな、またあとで」

子供を預け、仕事へ向かうあやさん。少しずつ以前の生活を見つめなおしています。

 

【あやさん(仮名)】
「なんであんなに我慢しとったんやろうなってすごい思います。
この子が楽しくおれる暮らしをしたい。幸せって思ってもらえるような…」

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