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2018年4月16日(月)

防災シリーズ「そなえは今」 自宅の弱点を知る 地盤の”見える化”とは?

おととしの熊本地震で被災した女性。

兵庫県の男性と結婚し、川西市の一戸建てを購入しました。

 

(Q.何を基準に住宅を選んだ?) 

「熊本地震を体験していたので、自分が住む家は絶対に強い家が良いと前から言っていた」

熊本地震で実家の倒壊は免れましたが、

その経験から、耐震性だけではなく地盤も重視して新居を選びました。

 

「(熊本の実家は)少し地盤が動いたみたいだけど、軟弱な地盤ではなかったので、そんなにひどくなかったのかと思います」

「(住宅メーカーが)今まで作ってきたところが、地盤調査をしているという内容だったので、決める根拠になった」

 

熊本地震の後、家を選ぶ時に「地盤」についても検討する人が増えているということです。

 

おととし4月、震度7の激震に2度襲われた熊本の町。

被害の大きかった益城町では、町全体のおよそ6割の住宅が、全壊または半壊しましたが、

被害が少なかった場所も点在していました。 

なぜ同じエリアで、被害に差がでたのか。

専門家が調査したところ、比較的硬い地盤と軟らかい地盤が、入り混じっていたことがわかりました。

そして、そこには驚くべき発見があったのです。

 

【京都大学大学院 工学研究科 三村衛教授】

「一般で言われている被害との関係でいうと、全く逆転していた。

 被害のなかったところは20メートルくらいの、非常にやわらかい粘土層が厚く堆積していて、

 被害があった方は、地盤が比較的硬くて粘土層も薄い」

 

調査の結果、通常だと、比較的硬く地震に強い地盤だと思われていたところの方が

揺れが強く、被害が大きかったことがわかりました。

一方で、地震に弱いと思われていた比較的軟らかい地盤は、

厚く堆積した粘土層が、結果的に地震の揺れを吸収するような形になり、被害が抑えられたのです。

しかし、これは直下型の地震に限った話だといいます。

 

【京都大学大学院 工学研究科 三村衛教授】

「そこにどんな地震が来るか、外力はどんな外力なのか、

 その組み合わせによって、その地盤が揺れやすくなったり、揺れにくくなったりするもの。

 今回は熊本は直下型地震によって、たまたま、(柔らかい)粘土層が20メートルあったことで、

 揺れが逆に抑えられたということですが、いつもそうではないということが大事」

 

直下型地震で揺れが少なかった軟らかい地盤でも、

南海トラフ巨大地震といった海溝型の地震だと、大きく揺れるといいます。

直下型か海溝型か、同じ地盤でも地震の種類によって、揺れ方は大きく変わるのです。

関西にも、直下型の地震を起こすとされる活断層は多くあり、

国の調査では、危険度が最高クラスと評価されている断層もあります。

 

さらに、海溝型の南海トラフ巨大地震も、

今後30年以内に、70%から80%の確率で起きるとされています。

関西の地盤研究の専門家は、住民自身も、

自分が住む地盤の特徴を知ることが必要だと指摘します。

 

【地域地盤環境研究所・北田奈緒子主席研究員】

「地盤は、どこにいても基本的には危険なところがいっぱいある。

 それは(地盤の)個性であって特徴なので、

 どの地震、どの揺れに対して、どういう被害が発現するのかを知っておくことが、防災の第一歩。

 どんな地盤に住みたいのかも、選択した方がいいということ」

(Q.選択できない場合が多くないですか?)

「選択できない場合は自分で知っておかないといけない。(地盤の)ウィークポイントを」

 

自分の家が建つ地盤を、どう調べればいいのか?

そのための、新しいサービスが始まっています。

使うのは、この装置。

 

【地盤ネット・横山芳春取締役】

「この機械は、今いる地盤の揺れやすさを測る機械です」

この装置は、地盤の内部を探る聴診器のようなもの。

中に入った高精度のセンサーが地盤が通常発している微かな揺れ、「微動」を測ります。

この微動から地盤の特徴を調べ、揺れやすさを測ることができるのです。

 

1ヵ所の微動探査にかかる時間は45分ほどで、

費用はおよそ8万円からということです。

 

【地盤ネット・横山取締役】

「この調査方法はガレージや庭などでもできる。いまの家の耐震改修を行う必要があるかないかも、

 地盤がどれだけ揺れやすいかで、優先順位を決めてもらえる」

 

地盤の微動探査は、これまで大規模なビルなどを建てる際には実施されていましたが、

大がかりな装置などが必要で、個別の住宅レベルでは使われていませんでした。

 

そのため、産学共同で10年がかりの研究が進められ、小型化に成功。

手軽に微動探査ができるようになったのです。

新築住宅の分譲地では、すでに取り入れ始めた事業者も。

 

【みやび建設・松村俊一取締役建築部長】

「地盤がこういう揺れ方をするので、耐震等級の高い家にした方がいいとか、

 制震ダンパーをつけたらどうかと、案内できる資料に使えるんじゃないかと。

 この分譲地で試してみる中で、どううまく使えるか試していきたい」

 

家が建てられた後でも調査はできるということで、

関西テレビの社員に、堺市内の実家で微動探査を受けてもらいました。

豊島記者「心配なことがわかったら、嫌やな」

     親が建てたものを引き継いだだけで、詳しく家のことを知らない。

     あとで問題がわかったりしたら、どうしようかなと思うけど、調べるのは大事かもしれませんね」

 

微動探査のデータは国の研究機関で分析され、地盤の診断結果はメールで届きます。

業者「結果は1週間ほど時間を頂いてご連絡します。良い結果が出るように」

豊島「いい結果でしたよと言ってもらったら、なにより」

 

届いた地震カルテの結果、豊島記者の実家はかなり頑丈な地盤と分かりました。

南海トラフなど、海溝型の地震には強い地盤と言えますが、この地域には危険度の高い上町断層も通っています。

直下型地震の場合には、硬い地盤の方が被害が大きくなる場合もあるため、油断は禁物です。 

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