特集コーナー/バックナンバー

2018年4月11日(水)

イマドキFile センニュウ 保津川下り 新人船頭に密着

春の京都観光を支える人気スポットの1つ「保津川下り。」

 

京都の亀岡から嵐山まで、およそ16kmの急流を1時間半かけてくだります。

絶景とスリルを味わえる船旅に欠かせないのが船頭です。

竹竿などを使いながら巧みに船を操縦します。

力が必要とされる仕事だけにその肉体もご覧の通り!!

 

京都府亀岡市にある「保津川下り乗船場」。

現在、およそ120人の船頭が所属しています。

 

その中の1人、4月に船頭になったばかりの青山宗太さん20歳。

高校卒業後、2年間を自衛隊で過ごし、この春、船頭の世界へと

飛び込みました。その理由とは…?

【青山さん】

「親父の竿をさしてる姿を見て、いつも家にいる親父とは全く違う親父がいて、

 その姿を見て、今までにないくらい格好良く感じました」

 

青山さんのお父さんも保津川下りの現役の船頭。

小さい頃からその姿に憧れていました。

 

【青山さんの父・宗男さん(47)】

「小さいときから船頭にはなりたいと言ってたんですけど、

 親としては安定してる仕事に就いて欲しかったっていうのが一番大きいんですけど、

 どうしてもやりたいって言うので…」

 

船頭の給料は歩合制。収入が安定しているわけではありません。

それでも、どうしても船頭になりたいという青山さんの熱い思いが、父の心を動かしました。

保津川下りの船頭は3人で1つの船を操縦します。

「舵取り」はその名の通り、後方から船の操作を担当。

「竿さし」は竹の棒を使い、川底や岩を押しながら船を前に進めます。

そして、「櫂ひき」は櫂と呼ばれる道具で船をこぐのが仕事。

新人がはじめに任されるのが、この「櫂ひき」なのです。

 

先輩船頭「よし、いこ!」

 

新人船頭の練習は客がいない早朝や夕方に行います。

 

先輩船頭「そうそうそう、いいね」

 

元自衛隊員の青山さん。力には自信があります。

 

【青山さんの師匠・椹木船長】

「お前がそれだけ櫂を引いてくれたら竿さしが楽になるさかいな。

 竿さしがガンガンさしたら後ろの舵取りが楽になる。行きたいところに行けるようになる」

 

「舵取りは車でいうたらハンドルだけ任されて、アクセルはここ(櫂ひき)に任せているだけなんです。

(舵取りが)もっとエンジンふかして欲しいって思っても出来ないわけです。要やからね櫂ひきは」

 

川の流れがゆるやかな場所では「櫂ひき」の役割が重要になってきます。

体重をかけながら全身を使って櫂をこぐ。

単純な繰り返しのようですが、かなりの体力仕事です。

 

青山さん「思ったよりしんどくて。頑張って16㎞、フルパワーでこいでいきたい」

 

練習で繰り返した基本の動きが本番でどこまで出来るのか。

青山さんのデビューは間近に迫っていました。

【大淵貫綜さんの師匠・浅野船長】

「本日の船頭を紹介しときます。前で竿さしてんのがね、本日の主役です。大淵、今年の新人です」

 

大淵さん「よろしくお願いします」

浅野船長「初めて竿さしするんです。途中ではまるかも分かりませんけど」

 

この日、竿さしのデビューを迎えたのが、

青山さんの1ヵ月先輩にあたる、大淵貫綜さん27歳。

大淵さんは元お坊さん。京都観光に携わる仕事がしたいと、

大学時代を過ごした京都で今年3月に船頭になりました。

 

浅野船長「慌てんでええからゆっくりさせ」

大淵さん「はい」

 

「竿さし」は竹の棒を使い、船を前に進めるのが仕事。

しっかりと腰を落とし、川底や岩に竿をさして、体重をかけなければいけません。

浅野船長「片手で竿さしたらアカン。ちゃんと両手で持っとかな。竿流れてまうがな」

大淵さん「はい」

 

青山さん、川に落ちる恐怖心から竿に体重がかけられません。

 

浅野船長「その手」

大淵さん「はい。くっそ…」

 

頭では分かっていても、体が思うように動きません。

 

大淵さん「うまいこといかへんっす」

浅野さん「まだ言うとくけど、こんな所流れは緩いんやで」

 

保津川下りの醍醐味のひとつが岩と岩の狭い間をスリル満点に通り抜けること。

竿さしの力が試される瞬間でもあります。

 

スタートから10分。まもなくその難所に入っていくのですが・・・

 

浅野船長「体重のってない。(川に)はまるの、怖がっとったらあかん」

大淵さん「はい」

浅野船長「しんどいんか?もう疲れたか?しんどいの?」

大淵さんの様子を見た船長がここで・・・

 

浅野船長「はい、交代」

大淵さん「はい」

浅野船長「ここで交代しますわ」

乗客「うぉー」

浅野船長「(川に)はまりよる。ケガする」

大淵さん「おおきに。ありがとうございます」

 

川の流れが速くなる前に船長と交代となってしまいました。

大淵さんが竿さしを担当できたのは全工程のうち、わずか6分の1ほどです。

 

大淵さん「(竿に)体重をのせることにビビってる自分が悔しいです」

 

船頭にとって大切なのは、客を楽しませる一方で安全に運航すること。

デビューで味わった厳しさは保津川下りの伝統の重みなのかもしれません。

 

元自衛隊員の新人船頭・青山さんも「櫂ひき」デビューの日を迎えていました。

手には練習のあかし、マメが…。最後まで体力が持つかがポイントです。

椹木船長「それでは今から嵐山の方まで16km下っていきますね。

     前で櫂を引いているのが、船頭ほやほやの青山宗太といいます」

青山さん「よろしくお願いします」

 

いよいよ出船!

青山さん、順調に櫂を引いているように見えますが・・・

 

椹木船長「宗太もっと体を使え。おさまった仕事すんなよ」

 

後ろで舵を持っていた船長が、自ら手本を示します。

 

椹木船長「こうやってな、もっと1本1本をアグレッシブに体全体を使って。

     若いねやから思いっきり。わかる?おさまったらアカン。もっと男の子らしくひけ」

距離が進むにつれ、体力が低下し、フォームが崩れてしまっていた青山さん。

 

椹木船長「やれば出来るじゃん。

     やれば出来るのに、なんで最初からやらへんねん。手抜いとったなお前」

青山さん「抜いてない!」

 

16kmにわたる保津川下りもいよいよラスト。

ゴールの嵐山が見えてきました。

 

椹木船長「それでは皆さん、本日は長い時間ありがとうございました」

青山さん「ありがとうございました」

先輩船頭「もっと大きい声で」

青山さん「ありがとうございましたー!!」

乗客「ありがとうございました。楽しかったです」

椹木船長「ありがとうね。また明日」

 

青山さん「余裕やと思ってましたけどしんどかったです。

     今のうちに本気で飛ばしておかないと夏に向けての体力がつかなくて、

     自分が痛い目を見るので明日から本気で行きたいと思います」

 

先輩船頭である、お父さんにも報告です。

 

青山さんの父・宗男さん「これからが本番やから頑張って」

青山さん「はい、頑張るわ」

宗男さん「死ぬ気でやってください。自分で全てやらなダメなところなんで。10年間は手を抜かないように」

青山さん「はい、頑張る。」

京都の観光名物・保津川下り。

その魅力をつなぐのが彼ら若手船頭たち。

厳しさとやりがいを感じながら、今日も船をこぎ続けます。

記事一覧へ戻る

関西テレビ ページトップへ戻る