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2018年4月10日(火)

乳がん「ステージ0」とは

今や日本人の2人に1人がガンになると言われています。

その中でも乳がんは、完治する確率は高いものの女性に一番多いがんです。

 

乳がん検診なども普及し初期で見つけることが大切だと言われていますが、

その中でも超初期の段階、ステージ0というものがあることをご存知でしょうか。

病気と向き合い、手術にのぞむ一人の女性の姿を追いました。

少し恥ずかし気な様子で慣れないポーズをとります。

 

奈良県に住む主婦、藤原宏美さん。

手術の前に、写真を撮ってもらうことにしました。

乳がんと分かったのは、今年1月でした。

 

【藤原宏美さん】

「先生が、『診断結果がでました。藤原さんは乳がんの0期、非浸潤ガンです』とおっしゃった」

 

―乳がん「ステージ0」とは―

 

【藤原さん】

「0期と言うのがぴんと来なかった。

 先生が淡々と説明してる間、なんとなくたいしたことはないということは伝わった。

 思わず先生に、これじゃあ乳がんではないってことですよねって聞いたぐらい」

 

0期とはどんながんなのか、主治医の先生に教えてもらいました。

 

【大阪ブレストクリニック 柳沢哲医師】

「0期という非浸潤であれば、基本的にまず命に関わることは無いという乳がんの状態」

 

乳がんのほとんどは、母乳を運ぶ「乳管」で発生します。

藤原さんのがんは、がん細胞が乳管の内部にとどまっている“非浸潤”という状態で見つかりました。

 

がん細胞が乳管を破ってしまえば、乳管の外、つまり血管やリンパ管に入って

他の臓器に転移する恐れがありますが、ステージ0でその心配はありません。

藤原さんはそれまで検診を受けたことはありませんでしたが、自分でしこりに気が付き病院に行きました。

 

【藤原さん】

「初期に分かってよかったねってその通り。

 初期に分かってよかったんだけど、いいって言葉がなんとなく、いいのか・・・って、いいんですよ、

 早くわかっていいんだけど、良いのかなって、ちょっとその辺は…」

 

藤原さんが複雑な気持ちになるのには、1つ大きな理由が。

 

【藤原さん】

「0期なのに全摘というのは本当にショックで、納得いかなかったですね」

 

【大阪ブレストクリニック 柳沢哲医師】

「ステージと関係なく単純にがんの広がり具合、大きさの問題。

 ある大きさだとその人のおっぱいにとって残すには大きすぎる、浸潤がんでも非浸潤がんでも同じ。

 その部分をとったら形として保てない場合は温存できないので、全摘をおすすめしますという話になる」

 

先生によると、藤原さんのがんは5年から10年前にできたと考えられます。

その位置や乳管内部での広がり具合から、

部分摘出ではなく左胸を全摘出することに決まりました。

 

【藤原さん】

「どっかで他人事なんですよ、わからなさすぎて…自分なのにね」

 

手術を1週間後に控え、訪れたのが写真館です。

全摘手術を受ける前に、体の写真をきれいに残しておくことにしました。

 

【藤原さん】

「乳がんって聞いて、先輩におっぱいさよなら会は絶対した方が良いよって言われて。

 その方は付き合ってた彼氏といまは結婚されてるけど、

 鏡の前で二人でバイバイってやったらしいんですけどね。私は写真に収めようって」

 

温泉が大好きで、休みの度に出かけるという藤原さん。

 

【藤原さん】

「手術の後もしばらくたって、自分の体を受け入れられたら、温泉もばんばん行くつもりではいるけど、

 今までみたいに堂々とというわけにいかないので。

 小さな子供が入ってたら驚かせたりびっくりさせたり、怖がらせたりしてもいけないし。

 今とは違ってこそこそする感じで入ることになるんでしょうね」

 

「メイク中なのに涙が出てきてしまった・・・。

 ちょっと違うこと考えよ、ごはん、なに食べよう」

 

覚悟を決めたつもりでいても、ふとした時に割り切れない想いが溢れます。

撮影が終わりました。

 

【藤原さん】

「これから胸がひとつ無くなるっていうことに変わりないし、心配不安はあるけど、

 今日まで生きてきた証として、今あるそのままの姿を残せてよかったなと思います」

 

手術に向けて、気持ちが一歩前に進みました。

 

手術当日。

 

【藤原さん】

「写真に残せたので思い残すことはないけど、さっき鏡でもう一回みときました。

 マーカーでくっきりなんだけど、マーカーの皮膚の奥に、乳腺ってこんなふうに、

 私おっぱい小さいと思ってたけど、大きいねんなって」

 

【藤原さんのご主人】

「この2~3か月は前向きに明るく、お互い笑うようにもしてたし、

 弱音も吐かずに普段通り過ごしてくれたので感謝してるし、強い人だなと思いました」

 

【藤原さん】

「心配性じゃなかった~?もっと心配してなかった~?」

 

【ご主人】

「今も心配してるよ。」

 

診察にも毎回付き添ってくれたご主人は、藤原さんにとって大きな支えでした。

3時間後、無事手術が終わりました。

病室に帰ってくるのを、家族が迎えます。

 

【藤原さん】

「ただいまって言ったね」

 

【ご主人】

「おかえり」

 

一か月後。

手術の後の詳しい検査で心配な点が見つかることもなく、

大好きな温泉にも行くことができました。

 

【藤原さん】

「勇気がやっと出たので行こうと思って山代温泉まで。

 いつまでもうじうじしているのも嫌だなと思って、

 できるだけ早いうちに今まで通りの生活に戻したいなと思って、頑張ってみました。

 思い切って全摘にして良かった。気持ちも晴れやかですっきりしてる」

 

一方で、これまで乳がん検診を受けてこなかったことへの後悔が消えることはありません。

 

【藤原さん】

「私の場合は切って正解だったけど、

 もっと早くに検診して、さらに早くに見つかれば違った(治療)方法できたかもとは思う」

様々な思いを乗り越えてたどり着いた自分を、もっと大切にしようという気持ちが、

藤原さんをますます輝かせます。

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