特集コーナー/バックナンバー

2018年4月5日(木)

特命報道ツイセキ 狙われる「ニッポン品種」

日本では、様々なブランドのイチゴが売られていますが、

実はこうした日本ブランドのイチゴが知らない間に韓国で栽培されていたというのです。

ツイセキしました。

 

【女子カーリング選手】(銅メダルかけたイギリスとの一戦 2月26日)

「並ぶくらいでいい?」

「そだねー」

「こっちのほうが強いほうがいい?」

「そだねー」

 

ことの発端は、平昌オリンピックで銅メダルを獲得した女子カーリングチーム。

通称「もぐもぐタイム」で、イチゴをほおばる姿が印象的でした。

 

【女子カーリング選手会見】(2/25)

「韓国のイチゴは、びっくりするぐらいおいしくて…」

 

銅メダリストも絶賛の”韓国のイチゴ”。

しかし…

 

【齊藤農水大臣】(3/2)

「韓国で生産されているイチゴは、以前に日本から流出した品種を基にですね、韓国で交配されたものが主」

 

日本の農水大臣から飛び出した驚きの一言。

一体何が起きているのでしょうか。

 

農水省によると、韓国のイチゴ市場は9割を3つの品種が占めています。

実はこの3つは、日本から持ち出された品種をもとに作られているというのです。

奈良県でイチゴの品種開発をしている前田さんは、

韓国のイチゴは世界のスタンダードになりつつあると話します。

 

【前田さん】

「日本のイチゴがすごく品種改良が進んでるがゆえに、

 親として使えば、一気に進んでる間の溝を埋めることが出来るんです。

 どこの国でも日本の品種を使えば、日本にキャッチアップするような

 おいしいイチゴというのは作れるようになってきます。そこに目を付けたのは、韓国」

韓国はイチゴの輸出を積極的に行っていて、

それにより日本が被った輸出機会の損失は5年で220億円にのぼると言われています。

専門家は―

 

【農作物の権利に詳しい松本好史弁護士】

「イチゴという一つの作物だけですからね、それは。

 全体の輸出額から見て、8000億のうちの40億というと0.5パーセントですから。

 1つの作物だけで。大きいといえば大きいですね」

 

なぜ、こんな事態が起こったのでしょうか。

取材班は、”韓国のイチゴ”ソルヒャンの元となった日本の品種を特定。

開発者の農家を訪ねました。

 

【西田さん】

「中まで赤い。陸の真珠いうことで、赤い真珠」

西田さんの父親が25年前に開発した「レッドパール」。

甘味が強く、酸味が控えめ。中まで赤いイチゴです。

 

【西田さん】

「個人がやる言ったら大変ですよ。

 朝早くから晩まで、イチゴにつきっきりでしたよ、かわいい言って。

 イチゴ、かわいいって言ってましたよ」

 

レッドパールが出来るまでにかかった年月は丸7年。

当然費用も労力もかかるため、日本では通常25年間、開発者は”新品種の独占権”を持つことができます。

他の人が栽培する際には、使用料を取れるのです。

【西田さん】

「これが契約結んだ人、全部ここに記入されています」

 

西田さんは20年前、韓国でイチゴを栽培している金さんと契約を結んでいました。

契約では5年間、有料でレッドパールの栽培を許可。

書類には「金さん以外の栽培は認めない」と書かれています。

 

【韓国人農家】

「おいしいですか?どうですか?」

「おいしいよ」

 

これは、韓国の金さんの地元で撮影された映像です。

大粒のレッドパールが実っています。

栽培に熱心に取り組む金さんの姿が納められていますが…。

その後、金さんは韓国国内で知り合いなどに苗を譲り渡し、

レッドパールは韓国のイチゴ市場で一時8割を占めるまでにー。

韓国産のレッドパールが、日本に輸出される事態にまで発展しました。

 

【西田さん】

「なんぼでも広がるわな。ネズミ算式に広がっていくし。

 契約違反しとるやないか、いうことでやったんですけどね。

 頭下げるばっかりよな。すいませんでした、すいませんでした」

 

無断で栽培された分の使用料が西田さんの元に入ってくることはありませんでした。

 

西田さんは2006年、農水省の担当者とともに韓国政府と協議。

その時の音声を録音していました。

【西田さんの代理人弁護士】

「ロイヤリティについては、耕地面積を基準にして、10アールあたり(年間)5万ウォン。

 ずいぶん安く我々は設定しています。輸出については禁止していただきたい」

 

使用料を支払うこと、そしてイチゴの旬の時期には日本に輸出しないよう韓国側に求める日本側。

しかし…

 

【韓国農林部 事務官】

「輸出を禁止というのはどうなのかという抗議の声が上がると思う。

 韓国で今日のように広がったというのは、生産された品種の良さもあるが、

 金重吉さんをはじめとした、韓国のイチゴ農家の方の努力があると思う」

韓国側は日本の要望を拒否。

提示してきたのは、総額1500万ウォンのお礼と韓国への招待旅行、そして記念のトロフィーのみでした。

結局、交渉は決裂し、韓国国内で日本の品種が出回る事態を食い止めることはできなかったのです。

 

【西田さん】

「あれだけ契約交わしたのに、なんでだと、怒ってましたよ」

 

当時、韓国には新品種の開発者を守る仕組みはありませんでした。

手遅れになる前に、流出事体を防ぐことはできないのでしょうか。

 

奈良県のイチゴ農家の前田さんは、

5年前にようやく白いイチゴ「パールホワイト」の開発に成功したといいますが…

 

【前田さん】

「許可なしに作ってる方と何回かコンタクトをとったことがある」

(Q.流出してるんですか?)

「流出してます。私がこの品種を作っていいよといった農家の人に、

 いちご狩りに行った外国の方とか日本人がポケットに入れて、それから増えていったということは防げない」

 

開発者の想いに報いるために、ニッポンはどう対応していけばいいのでしょうか。

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