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2018年3月2日(金)

ギモン調査部  辞書ってどうやって作られるの?

ことし1月に出版された広辞苑の第七版。

内容の見直しはおよそ10年に1度、つまり広辞苑は60年以上前からあるのです。

 

歴史ある「辞書」。

誕生秘話をさぐると…

 

【堀田篤キャスター】

「すごいすごい、本がたくさん。通れない通れない…

(元祖・近代辞書を見ながら)あ・い・う・えで終わったんですか?それ辞書じゃないじゃないですか」

 

なんと「あ行」で終わっていた!?

どうやら様々ないきさつがあるようですが、街の人は…

 

【堀田】「わからない言葉がでてきたら?」

【男性】「iPadで」

【堀田】「iPad!進んでますね~」

【大学生】

「辞書はあんまり使わない」

 

【堀田】

「辞書って、生き残っていけるのかなって」

 

【老舗出版社の辞書担当】

「言葉がある限り、辞書はなくならないと思います」

 

すぐそこにあるのに、どこか縁遠い辞書の世界。徹底調査します。

走れ、ギモン調査部!

 

書店にずらりと並んだ辞書。たくさんの出版社が辞書を出していますね。

しかし、辞書の販売部数は、ピーク時から減少の一途をたどっているのです。

街の人に聞いてみても…

 

【大学生】

「え、懐かしい!」

 

【大学生】

「小学校のときにぺらぺらーって」

 

【会社員】

「辞書!?使ってないです。頭の中にあるんで。

 辞書がいるなって思ったら買うかもしれないけど、それがいつかわかんない」

 

電子辞書やスマートフォンを使う人が多いようです。

 

紙の辞書を使うという人になかなか出会えない中、

辞書を“愛してやまない人”がいるとの情報を得て、ご自宅を訪ねてみました。

 

【堀田】「…入れない。通れない。本がたくさん!何がどうなのかな。わ~すごい!」

(ガタンッ 本が落下)すみません…後で直させて頂きます」

【堀田】「どれくらい本があるんですか?」

【境田稔信さん】「一応、6000点です」

【堀田】「6000点!?」

境田さんは、知る人ぞ知る「辞書マニア」。

辞書の表記に間違いがないかを確かめる校閲の仕事を主にしている境田さんは、

資料としてあらゆる時代の辞書を集める内に、この数になったんだそうです。

 

【境田さん】

「これは復刻したものですね。

 実は最初、明治政府が国家的な辞書を作ろうということで、最初学者が集まってやり始めたんですけど、

 何人かでやっているとうまくいかないということで、それはあ・い・う・えまでいってストップしちゃったんですね」

 

この「語彙」と呼ばれる辞書。

明治時代の初期、政府は「国家として日本語を統一しよう」という号令のもと、

有名な国文学者を集め国語辞典作りを始めます。

しかし、ことごとく学者たちの意見が衝突。

結局、「あ~え」まで作ったところで辞書作りは中止になってしまいます。

その後、辞書作りを任された国語学者の大槻文彦が、

17年の歳月をかけて日本初の近代的国語辞典『言海』を出版。

これが現在の辞書の礎となりました。

 

【堀田】「あの形で生まれて、いまよく見る…」

【境田】「そうですね明解から新明解になって、現代的な辞書のモデルとして出発して、

     そこからさらに進化を続けている。で、最先端を走っている」

【堀田】「へぇ~!!」

 

『進化』を続けながら、『最先端』を走る?

新明解国語辞典を出版している三省堂は、一体どんな風に辞書を作っているのでしょうか、

 

創業137年の三省堂。

辞書の売り上げは日本トップクラスの老舗出版社です。

 

【堀田】

「辞書の責任者の方ですか?」

 

【三省堂辞書出版部 山本康一部長】

「はい一応」

 

【堀田】

「まさにここで辞書を作っているわけですね。

 こういう言い方あれですけど…こじんまりしてらっしゃるんですね(笑)」

 

【山本部長】

「佳境になればもっとどんどん広げますので。向こうの方にも机ありますんで」

 

最先端と聞いて、もっと華やかな職場を創造していましたが、意外と皆さんお静か…どんな作業をしているのでしょうか?

 

【堀田】「この赤の文字は全部修正ですか?」

【担当】「修正ですね。既存の項目を直す」

【堀田】「え。一回世に出ているやつですよね、世に出ているものも直すんですか」

【担当】「より良い説明にするために」

約8万項目を、ひとつひとつ見直すんだそうです。

 

【担当】「現実に使っている言葉に辞書って追い付いてないですよね。

     どうしても後から後から。その落差をなるべく埋めたいと」

 

例えば、1970年代は「やばい」という言葉は「身に危険が迫るさま。

『やばいぞ,逃げろ』」と書かれていましたが…

最新の辞書では「若者言葉で,すごい」という説明が加わっています。

 

こちらでは、編集長を中心に、次の辞書の改訂に向けた編集会議が始まりました。

 

【部長】「よく“刺さる”んだよ、最近。これおじさんが刺さったわけじゃなくて、

     おじさんに刺さったんだろうけど、おじさんが刺さると嫌だもんな。

【部長】「これすごいよ、村上春樹が刺さってる」

 

最近、若者を中心に「心に残る」といった意味合いで使われている「刺さる」。

会議では、その使われ方を次の辞書に載せるか見極めています。

「刺さる」に新たな意味が加わる日も、近いかもしれません。

 

【堀田】「新聞、ありますね。たくさん」

【部長】「こういうのは辞書の材料になりますので、色んな用例を取っているんですね」

【堀田】「最近気になった言葉ってあります?」

【部長】「『ペブル』ですね。氷の粒。カーリング会場の氷を整える方を『アイスマン』と言うらしいです」

【堀田】「携帯で色んな言葉集めているんですか」

【部長】「チェックしながらマーカーを引いて、ぱちっと撮ると」

 

このような作業を積み重ね、何度も繰り返して、数年~10年ほどかけて辞書は改訂されているんです。

 

【堀田】「(辞書作りは)ものすごく人の手が関わっているんですね」

【部長】「言葉に関わるものですので、言葉と人は切り離せませんので。

    これはもう人が見るしかないですね。人工知能には辞書はまだ作れないんじゃないかなと思ってるんですけど」

 

とはいうものの、紙の辞書の部数は減ってきていますが、大丈夫なんでしょうか?

 

【山本部長】

「電子媒体やいろんな形で辞書が使えるようになってきていますし、

 そういう意味では辞書は使われる機会が増えているものですね。

 紙の辞書が、部数が減っていって、もしかすると将来的になくなるかもしれないけど、

 辞書がなくなることはないと思います。色んな形を変えて辞書は使われ続けていく。

つまりなぜ辞書があるかというと、言葉があるから辞書があるんですね」

言葉があるから辞書がある-

便利な世の中だからこそ、辞書はより身近で、なくてはならない存在になっているのです。

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