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2017年12月6日(水)

<ツイセキ>AV出演強要問題 被害者が語る実態

【アダルトビデオの出演を強要された女性】

「自分ができないと思ったこともやらされたし、痛いって言って泣き叫んでた。

 心も体もズタズタな状態で帰ったという記憶があって」

いま、社会問題となっているアダルトビデオへの出演強要。

背景には少女たちを狙うスカウトマンの存在があります。

 

【記者リポート】

「あ、男がいきました。男がずっと女性につきまとっています」

 

大阪の夜の繁華街でも、その姿が…

 

【アダルトビデオの元スカウトマン】

「もうお金としかみてないです。2人きりになれれば何とでも言えるので」

 

<少女たちの身に迫る危険とは一体?>

 

かおりさん(仮名)のきっかけは5年前。

大学4年の時、駅前である男に声をかけられたことでした。

 

【出演強要の被害にあったかおりさん】

「芸能関係で活動されています?って言われて。

 有名アーティストの名前出してこういう子もプロデュースして、デビューさせたんだよって。

 この人なら信用できるかなって雰囲気はありました」

 

音楽業界への憧れがあったかおりさん。就職も決まっていましたが、

音楽デビューを約束するという男の言葉を信じ、芸能プロダクションへの所属を決意しました。

 

しかし、最初の仕事はサイパンでのグラビア撮影。

さらに、ヌードまで要求されたのです。

そして、撮影の最終日、プロダクションの社長から唐突に話を切り出されました。

 

【アダルトビデオ出演強要の被害にあったかおりさん】

「AVは芸能界でいうここで、グラビアアイドルは芸能界で言うここだよって。

 一回世にさらしちゃったんだから、どんどん脱いでいかないとみたいなことを言われて。

 そういう方向に行きたいわけじゃないんでって言っても、ずっと説得してくるんですよ」

プロダクション側の勝手な言い分で、かおりさんにアダルトビデオの出演を要求。

その後半年間、説得は続き、状況はさらにエスカレートしていきます。

 

【出演強要の被害にあったかおりさん】

「椅子で囲まれて、一回ヌードになっちゃってるから、

 もうそこ(アダルトビデオ)にしか道はないよみたいな感じで。

 やめたいですと言ってもすごく威嚇してくる雰囲気を出してくる。

 とにかく帰してくれない。逃げられないんですよ」

 

かおりさんは精神的に追い詰められ、契約書にサインし、出演せざるを得なくなりました。

なぜ、このような状況に陥ってしまったのでしょうか?

 

<元スカウトマンが語る実態とは?>

 

取材班は、およそ2年間アダルトビデオのスカウトをしていたという男性に接触しました。

【アダルトビデオ元スカウトマン】

「モデルさんとかタレントしませんかとかそういう入口を広めにとって入っていく感じが多い。

 簡単に芸能人になれそうな世の中なんで、スカウトマン的にも声をかけやすい」

 

少女たちの心を巧みにくすぐるスカウトマン。

彼らを動かすのはプロダクションからの高額な紹介料です。

 

【アダルトビデオ元スカウトマン】

「紹介すれば多い時で1人30万円。

 嘘ついてでもプロダクションに連れていったりしますね。そういう現場に来てしまえば後戻りできない」

 

度重なるプロダクションからの圧力に対して、逃げ道がなくなったかおりさん。

当時の心境を綴った日記には…

 

―かおりさんの当時の日記―

「私が勝手に飛び込んでいく判断が親戚にまで悪影響を及ぼすことになる。

 私はどうなってもいいけど迷惑はかけたくありません」

 

【出演強要の被害にあったかおりさん】

「自分ができないと思ったこともやらされたし、痛いって言って泣き叫んでた。

 はい、またやり直しね あなたが泣いてわめくから全然帰れない、これ終らないと帰れないよって。

 できないはだめっていうことだった」

しばらくはトラウマで家からも出ることができなかったという

かおりさん。結局、プロダクションの社長が金を持ち逃げし、音楽の夢も叶うことはありませんでした。

 

少女の人生を大きく変えてしまう、アダルトビデオ出演強要問題。

 

ことし10月、執行猶予付きの有罪判決を言い渡された男は、

インターネットサイトで「給料3時間5万円、モデル募集」と呼びかけ、

女子高生など200人以上に出演を強要したとされます。

 

関係者によると、いまアダルトビデオ業界は、出演料が安くすむ普通の少女を狙っているといいます。

 

【スカウトされたことがある22歳の女性】

「前働いていたスーパーの店に名指しで電話かかってきて、

 うちの部下があなたのことを見て、ちょっと気になったみたいと電話してきて」

(Q.なんの勧誘?)

「アダルト(ビデオ)」

 

【16歳の娘をもつ母親】

「昔小さい時(娘が)スカウトされたことがあって、娘が一人で出歩くときは報告してもらいたいなって思う時はある」

 

様々な形でスカウトされる少女たち。

なぜ出演を拒否できないのでしょうか?

 

<背景に“契約書”の存在>

これは関西テレビが手に入れたあるプロダクションの契約書です。

「自分の意思でヌード撮影を決意し、専属タレントとして出演業務を行う」

あくまで強要ではないとした上で…

「出演業務を拒んだ場合は、それによって生じた一切の損害について賠償しなければならない」

 

少女たちにとって一方的に不利な契約。

出演を拒否した場合、契約書をたてに、数千万もの違約金を求める業者もあるといいます。

 

ではなぜ、サインしてしまうのでしょうか?

 

【アダルトビデオ元スカウトマン】

「その場で契約書を隅から隅まで読める女の子はほとんどいない。

 異様な雰囲気の中でサインすると冷静ではない。判断は難しい」

 

また、その時の少女たちの心理状況を、支援団体の事務局長はこう分析しています。

 

【被害者相談団体 SEAN 遠矢家永子さん】

「相談を受けて驚いたのが気配りができる子が被害にあっている。

 怪しいと思っても、加害者に迷惑をかけてはいけないと思う。

 親に言えば、ばれたら心配されるかもしれない。

 身に起こっていることが人権侵害である、犯罪であるという認識の上にたてない子が非常に多い、

 それを(加害者が)巧みに利用してます」

5年前、被害に遭ったかおりさん。

これ以上、新たな被害を生まないようにと、チャリティイベントなどで自分の経験を語ったり、

YouTubeで「くるみんアロマ」の名前でメッセージを発信したりするなど、活動しています。 

 

【出演強要の被害にあったかおりさん】

「被害がここまで広がっていると知って他人事じゃないと思った。

 それで傷つく女の子たくさんいると思う。

 実際(加害者の)社長に直接言われたことがある。バカな子は自殺しちゃうんだよって。

 ひどい、人の命を何だと思っているんだろう。だから、自分が言わなきゃって」

増え続けるアダルトビデオへの出演強要問題。

狙われているのは、どこにでもいる普通の子です。

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