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2017年6月26日(月)

和歌山でD51復活 元国鉄職員が運転

戦前から高度経済成長期にかけて全国各地を走った国鉄D51形蒸気機関車、通称デゴイチ。

そのうちの1両、827号機は、主に岐阜県や長野県の起伏の多い山道で活躍し、
その姿は多くの人々を魅了しました。

現役引退から44年・・・

役目を終えたデゴイチが、和歌山県で息を吹き返そうとしています。

大阪市の重量物運搬会社「アチハ」がデゴイチを再整備して、和歌山県有田川町の鉄道公園で
復活させるプロジェクトに挑んでいるのです。

安全上の理由などから今回は石炭を使わず圧縮空気を動力にして復活を目指します。

 

【アチハ株式会社 阿知波孝明 代表取締役】

「せっかくあんな素晴らしいものをどうやったら後世に伝えられるかなと思った時にやっぱ動かしていかないと。
動かしてこそ子どもたちに伝えられる」

 

現役を引退したデゴイチは、愛知県に住む山田泰平さんが個人で所有していました。

山田さんの死後、このプロジェクトに賛同した長女が827号機をアチハに売却しました。

 

【前所有者 山田泰平さんの長女】

「次のステップに動くということで使って頂けるならアチハさんに託してもいいのかなと思って」

 

山田さんの長女はかつて827号機を運転していた男性を尋ねました。

渡邊典雄さん88歳。

 

827号機が造られた年でもある昭和18年に国鉄に入り、青春時代を整備士や機関士として共に過ごしました。

 

【元国鉄職員 渡邊典雄さん】

「戦後の一番悪い時は機関車の電球とか道具がみんな盗まれちゃう。
部品がないのでね。機関車状態がほんとに悪かった」

「だから827は自分の機関車のつもりでおったもんだから。
手入れももちろんするけれども運転にも気を付けた」

「これは一生私とついてまわったものでね。点検用のハンマーです」

 

山田さんの長女が持ってきた当時のままの部品に、渡邊さんの顔もほころびます。

 

【渡邊さん】

「なつかしいね。だいぶこれこすったぞ。構内手の古参になると運転台やれるわけよ。
そしたらこのナンバーを触れるわけよ。ナンバー磨いてね」

「なつかしいわ827はね。あいつに乗っとったんだね。
なんべんか行きたいと思ってたけど運転台で写真撮りたいと思って。
また動けたらたいしたこっちゃ。絶対行くよそのときは」

 

特別公開に向け、整備は着々と進みました。

この日に合わせ渡邊さんは、遠路はるばる岐阜県から和歌山県有田川町の鉄道公園に駆けつけました。

 

【渡邊さん】

「あーこれだこれだ。久しぶり。きれいになった」

 

現役時代の作業服に身を包み、日常業務だった点検を始めます。

 

【渡邊さん】

「これは点検用のハンマーでね、
乗務するときにかばんおいたらすぐにずーっと一回り点検してそれから運転ですからね」

 

「大方50年近いからねこの機関車に乗るのはね。この空色は中津川のチームやでね。はよ乗りたいな」

運転台を前にはやる気持ちを抑えきれない渡邊さん。

 

ついにその時がやってきました。

【渡邊さん】

「懐かしいな。こりゃうれしいねえ」

 

圧縮空気でゆっくりと動くデゴイチが和歌山のレールを走ります。

 

【渡邊さん】

「ハンドル握ると重量感が直に体にガクガクガクと響いてきて、あの感じはいいね。あれはいいです。
乗っとる間は自分の歳忘れちゃうでね」

 

昔のままの感触を確かめながら300メートルの区間を走り抜けました。

 

【前所有者 山田泰平さんの長女】

「ごめんね無理して遠くまで。ありがとうございます。本当に呼んで良かった。無理してきてもらって良かった」 

 

【渡邊さん】

「寿命が伸びた」

「あいつにね。他の機関車はともかくとして827は私の昔からの思い出がありますからね。
乗れて良かった。国鉄へ入った冥利に尽きますわ」

 

元国鉄マンの夢を叶え、復活を果たしたデゴイチ。

 多くの人の夢を乗せ、走り続けます。
       

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