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2017年6月5日(月)

どうなる?ふるさと納税見直し

自治体への寄付で、豪華な返礼品がもらえると人気が集まっているふるさと納税。

2015年度の寄付額がおよそ42億円と全国1位だった宮崎県都城市ですが・・・

6月から返礼品を見直しました。

 1万円の寄付で、700グラムもらえた宮崎牛は、400グラムに。

マンゴーは2玉もらえたところが、1玉に変更されたんです。

 

なぜ見直しになったのか?

『地方の活性化』を目的に始まったはずのこの制度、改めてその意義を考えてみました。

 

ふるさと納税で人気ナンバー1の宮崎県都城市のいちおし、宮崎牛!

北海道の毛ガニに、地酒!!

高級家具や宝石、そしてキャンピングカーまで!!!

自分のふるさとや、応援したい自治体に寄付をすると所得税などが控除されるうえに、

お得で豪華な返礼品が貰えると人気の『ふるさと納税』。

 

 

【街の人】

「毛ガニと子供のおもちゃ」

「やっぱり毛ガニとかウナギがほしいから」

 

しかし!これに“待った”がかかりました。

 

【高市早苗 総務相】

「少なくとも3割をこえる返礼割合の返礼品についてはすみやかに3割以下にすること」

 

【神戸大学大学院経営学研究科 保田隆明 准教授】

「単純にお得度合いをあげていけば良いと。
これは通常の商売でいうところの値引き合戦をしているだけなんですよね」

 

加熱する『返礼品合戦』。

なぜこんなことになってしまったのでしょうか??

 

ふるさと納税の『返礼品合戦』を受けて、総務省はことし4月、
返礼品を寄付金額の3割以下に抑えるよう、全国の自治体に通知しました。

 

【街の人】

「でも私らは税制対策やからあまり加熱せんで良いのでは」

「いきすぎた状態になってるなら仕方ないかな。(返礼品)減ってほしくないですけどね。本音を言えば」

 

【小泉純一郎首相(当時)】

「格差批判は、小泉政権批判の裏返しなんですよ」

 

小泉政権の改革で生じた『都市と地方の税収入の格差』。

これを何とかしようと導入されたふるさと納税ですが、
当初は『寄付』という行為が根付かず、全国的に伸び悩みました。

 

しかし、2014年ごろから自治体が地元の名産を『返礼品』として独自で送るようなったことで注目を浴び・・・

2015年度には寄付の総額が1653億円にまで達しました。

 

 

通知を出すにあたって総務省に意見を求められた専門家は…。

 

【神戸大学大学院経営学研究科 保田隆明 准教授】

「これほど都市部の人間が、地方に関心を持ったことなんてないわけですよね。
これはある意味すごいことなんですよね」

 

「ふるさと納税」で、一変した町があります。

滋賀県近江八幡市です。

 

【冨士谷英正 市長】

「ふるさと納税を発案された人はすばらしいと思いますね。
生産者よし、事業者良し、寄付者良し。自治体よし。平成の四方良しかなと」

 

 

笑いが止まらない市長・・・

今年度の返礼品も気合がはいっています。

それもそのはず。

去年の近江八幡市への寄付の総額は、おととしと比べて約6億5000万円もアップしたのです。

 

ふるさと納税で近江八幡市が人気の理由、それは近江牛。

寄付するほとんど人のお目当てが、この近江牛です。

 

【鈴木牧場 鈴木文規さん】

「脂が柔らかくて、肉質もキメが細かくて甘みがありすごい美味しいお肉です。

神戸ビーフや松坂牛と比べると少し認知度が低いけど、
ふるさと納税などから近江牛知ってもらって、もっとここから次につなげたい」

 

この牧場ではふるさと納税効果で徐々に出荷数が増えていて、今後も牛を80頭増やす予定です。

 

さらに、廃れかけていた伝統産業の分野も復活をとげました。

足に合わせて、一足ずつ手作りする『八幡靴』です。

 

 

3年前は月に30足ほどの発注しかありませんでしたが、ふるさと納税の返礼品として出して以降、
その品質の良さに人気が集まり、今では月に100足もの注文がきます。

 

【リバーフィールド 川原勲社長】

「うれしいっていうよりも、ちょっと慌てましたね。逆に。作れるかなと。
4ヵ月待ちの状態ですが、お客さんには感謝。
それだけ待ってもキャンセルでなく待って頂けているということで。
6〜7割はふるさと納税の注文ですね」

 

全盛期の昭和初期には500人いた職人も、数年前までは2〜3人に減っていましたが・・・

今では全国から『職人になりたい』と人が集まるようになりました。

 

【リバーフィールド 川原勲社長】

「廃業の危機は逃れたかなと。あとはやっぱり職人さん育てていく。
いくら注文がきても作り手がいないと話にならないので。
早いとこ若い人一人前になって靴作れるようになってほしい」

 

【冨士谷英正 市長】

「(地方は)それぞれが知恵をだしながら市民福祉の向上を頑張っているわけですから。
今まで(都市部は税収が)ようけあったから左うちわっていうのは、ちょっと知恵を出していただく時代じゃないですか」

 

総務省の目指す『地方創生』を体現したとも言える近江八幡市。

寄付総額のランキングをみても、特産品のある地方が、都市部を押しのけて上位を占めています。

 

これに対抗するために、返礼割合を6割〜7割にする自治体が出てくるなど『返礼品合戦』が勃発したのです。

中には、商品券、電子機器、貴金属などを返すところもあり、
総務省は『転売の恐れがある』『地元の特産と言えない』などとして廃止を求めています。

 

総務省が通知を出したもうひとつの理由、それは、都市部の税の流出です。

 

【大阪市 吉村洋文市長】

「国がどれだけ本気で商品競争を、ふるさと納税の趣旨と違うものを是正するのか、僕自身もしっかり見極めたい」

 

大阪市では、美術館の入場券などを返礼品としていますが、市への寄付はおよそ2億円と低調…。

一方で、市民が地方に寄付をする金額が倍増していて住民税の控除ばかりが増え、
2015年度はおよそ14億円流出したということです。

 

 

都市部が失った税収は、国が地方交付税で75%を補てんする仕組みになっていて、
地方に寄付が集まるにつれて国の負担が増えていることも今回の通知の一因なのです。

 

国産ゴルフクラブ発祥の地の兵庫県市川町。ここでも返礼品をめぐって、混乱が生じています

 

 

兵庫県市川町は、地元企業がつくるゴルフクラブを返礼品の目玉にしていましたが、

これも『資産性が高い』として、総務省の“待った”がかかっています。

 

ふるさと納税のおかげでおよそ1割収益がアップした地元企業は、今回の通知には納得がいきません。

 

【共栄ゴルフ工業 望月実香 取締役】

「県の方からも地場産業と認められているし、どう考えたってそれを特徴としてる町。
ひとくくりにゴルフクラブがダメだというだけでなく、どういう風にしたら越えられるのか私たちも考えている」

 

【望月実香 取締役】

「(町の人に対して)こえるべきハードルやって」


【町の職員】

「そう、だから飛び越えなあかんのよ」

 

国と地元企業の間で、板挟みの行政。

まだ対応を決めかねています。

 

【市川町役場・青木久典さん】

「やめるのは簡単なんですけど、そのとき事業者さんの声は無視になりますよね。
実際、町内で経営している企業ですので、その声も無視できない。町の立場としては」

 

この会社は、国からの通知をそのまま受け入れるのでなく対策を加えてどうにか継続したいと考えています。

 

【共栄ゴルフ工業 坂本敬祐 社長】

「体験型の商品の色を入れたりだとか、最後の吹き上げを体験して頂きながら
商品を提供していけたらと思ってますけども」

 

【共栄ゴルフ工業 望月実香 取締役】

「文化全体を守っていきたいので、それの一助としてふるさと納税って
私たちにはすごく意味のあることだったんですよ」

 

【高市早苗 総務相】

「私は、地場産業の振興が重要であるのは十分理解をしています。
しかしそうした施策は返礼品としてでなく、ふるさと納税で得た資金の使い道として
行っていただきたいと考えております」

 

『地域の活性化』を進めるために始まったふるさと納税。

今後も、その役目を果たすことができるのでしょうか。

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