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2017年5月30日(火)

爆発的増加のアライグマ

アライグマが全国で爆発的に増えています。
かつては人気者でしたが、今は私たちの生活にも影響を及ぼしているんです。


【子どもたち】
「これ何?アライグマ!」 

「しっぽシマシマ!」

しましまの尻尾に、つぶらな瞳。その愛くるしい姿から動物園で注目を集めるアライグマ。

 

【みさき公園 飼育員】 

「りんごとか、馬肉とか、蒸したさつまいもをあげています。
5本ずつ指があるので、物を上手にはさんで食べることができます」

 

1977年放送の人気アニメ『あらいぐまラスカル』

主人公の少年とペットのアライグマの物語は当時、日本人の憧れ的となり、
ペットとして、大量に輸入されました。

しかし…

 【みかん農家】

「年々ひどくなっている状態。せっかくつくったみかんが…」

 

【田辺市ふるさと自然公園センター 鈴木和男さん】

「アライグマは、今爆発的にふえている動物です。ほっておいたら取り返しがつかない」

 

アライグマはいま、私たちの生活に影響を及ぼしています。

その驚くべき生態とは? 

1977年の「ラスカル」ブームで一躍有名となったアライグマ。

ペットとして輸入され、飼育が困難となって捨てられたものが野生化し、増え続けています。

 

【天王寺動物園 飼育員 辻本英樹さん】

「アライグマは、簡単に子どもの頃から慣らして大きくなって、全部が全部ペットのようにはならない。
気性が荒いのでかみついてくる傾向が高い。長靴の上から噛まれたんですけど長靴は穴が開いた」

 

気性の荒さから捨てる人が後を絶たず、2005年には「特定外来生物」に指定されました。

今、全国各地で「根絶」を最終目標とした駆除がすすめられています。

年々、その駆除数は増え、今や、年間で2万頭を超えています。

 

和歌山県田辺市。一帯には名産のみかん農園が広がっています。

この地で40年以上、みかんを作っている廣田さん。

 

【みかん農家 廣田純一郎さん】

「食害やね、やっぱり一番には。生産意欲がせっかく作ったみかんが」

 

Qアライグマが来たなっていうのは分かる?

「丸くむいたようになっている。皮だけ残ってるんです」

 

4月から6月はアライグマの繁殖期。

JAから檻を借り、みかんのシーズンまでに何とか数を減らそうと試みています。
中のパンを引っ張ると扉が閉まる仕組みになっています。

 

【みかん農家 廣田純一郎さん】

「10年くらい前からだいぶ来始めたと思う。年々ひどくなっている状態なんで」

 

2015年にはアライグマによる農業被害は全国で3億4千万円にものぼっています。

アライグマの生態を調べるため、この畑にカメラを設置しました。

そこには、驚くべき行動が写っていました。

 

【天王寺動物園 飼育員 辻本英樹さん】

「これ野生ですよね?あっぱれですね」
「警戒心が強くて何もないっていうのをウロウロ確認して中に入って行って。
みかんだけをとって食べるっていう学習がものすごくされていると思う。
もう慣れているんじゃないですか?こんな一度で初めてでここまでっていうのはなかなか…」

 

檻に入った回数は、5回。

みかんを3つ平らげたのち、立ち去りました。

【天王寺動物園 飼育員 辻本英樹さん】  

「手先も器用、警戒心も強く、頭がよくて、学習能力がある。
だからそう簡単にはなかなかつかまらない。餌だけは食べられる。
そういういたちごっこなんでしょうね」

 

和歌山県田辺市のみかん農園の近くでアライグマが捕獲されたと連絡をうけました。

鈴木さんは一帯の被害を減らそうと、現状を研究しています。

 

Qこの子、おとなしいですか?

【田辺市ふるさと自然公園センター 鈴木和男さん】

「おとなしいのと、基本アライグマは夜行性なので昼間はじっとしています。
5本指がながくて、爪があって、要するに指でものをつかめる動物」

 

アライグマの問題は、農業被害にとどまらないといいます。

 【田辺市ふるさと自然公園センター 鈴木和男さん】
「野生動物っていうのは、ダニとか病気とかを持っているのが普通ですよね。寄生虫があるのが普通です。
今、目の下にダニがついていますが、ダニが持っている病気を、要するにアライグマの体にダニがついて、
アライグマがそのダニをどこかに運ぶ。
アライグマ自体が人をおそれない動物ですから、人の住んでいる近くまで病気を持ち込んでくる。
そこが他の日本にいた野生動物とは違う所です」

 

さらに、年に平均3頭〜4頭を出産し、日本には強力な天敵もいない中で、死亡率も低いため、
その数は爆発的に増える一方です。

駆除のために、麻酔薬と二酸化炭素を入れ、安楽死させました。

 

【田辺市ふるさと自然公園センター 鈴木和男さん】

「5.3キロ」

 

鈴木さんはこれまでに2500頭以上のアライグマを処分しています。

 

Qかわいそうっていう声は?

【田辺市ふるさと自然公園センター 鈴木和男さん】
「もちろん動物なのでどんな動物でもかわいいですよ。
アライグマも犠牲だよという話は、分かりますが、それ以上にそこに新たにアライグマがやってくるまで、
アライグマがいないところで暮らしていた生き物が最大の被害者。
その意味ではアライグマは可哀そうだけど退場してもらわないと困る」

 

その被害はすでに出ていました。京都府京田辺市の溜池。 

京都府保険環境研究所では、おととし、カメの調査を行った際、ある変化に気づきました。

 

【京都府保険環境研究所 多田哲子博士】

「ニホンイシガメといって日本にしかいない亀なんです。
最近になって外来種のアライグマにかなりの確率で襲われていることが分かりました。
アライグマがでてきた10年ほど前からこういう亀が非常に増えている」

 

捕獲されたイシガメのおよそ30%は、手足が欠けた状態でした。アライグマが食いちぎっているのです。

一方で、外来種の「ミシシッピアカミミガメ」への被害はゼロでした。

 

【京都府保険環境研究所 多田哲子博士】

「アカミミガメの場合、ひっくりかえすと手足をひっこめたままじっとしている。
あるいは冬眠する場所もイシガメは割と浅瀬で冬眠するんですけど、
アカミミガメの冬眠する場所を上からのぞける所では見たことが無い」

 

絶滅の懸念されている固有種のイシガメは、アライグマによってその存在が脅かされているのです。

 

鈴木さんは、アライグマについて、自治体の駆除対策にも課題があるといいます。

【田辺市ふるさと自然公園センター 鈴木和男さん】

「獣害対策を自治体単位でやっていますが、アライグマの集団としては、
自治体の境界線は大きく超えた広がりになっている。
集団の大きな広がりの中でひとつふたつが頑張っても周りの取り組みが遅れるとなかなかうまく進まない、
効果があがらない」

 

生き物にとっても、人間にとっても、手遅れになる前に。 

アライグマをめぐる問題に終止符を打たねばなりません。

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