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2017年5月24日(水)

D51「デゴイチ」を和歌山で復活へ

重厚で巨大な黒い鉄の塊。

国鉄D51形蒸気機関車、通称デゴイチです。

昭和18年に製造されたこの827号機は岐阜県や長野県を走り、
戦後の復興から高度経済成長期までを見守ってきました。

長年愛されてきたD51。

昭和48年のラストランでは多くのファンが別れを惜しみました。

あれから44年後・・・

愛知県に住む山田泰平さんが個人で所有していたこのデゴイチを
大阪市にあるアチハという会社が買い取りました。

 

D51を再び走らせようとするプロジェクトが和歌山県有田川町で進んでいるのです。
その整備を任されたのがたった三人の整備士たち。

アチハのエース整備士・新田智博さん(43)

SLの整備は未経験ですが手腕を買われ大抜擢されました。

島根県で「ピンクSL」の復活を手がけた経験者、谷口剛史さん(42)

そして、このプロジェクトの監督役が関根利夫さん(68)です。

関根さんは国鉄の職員としてSLの整備などをしていました。

40年以上部品がそのままだったD51は、
ほぼすべての箇所を点検しなければなりません。

【関根利夫さん】

「みんなくっついちゃってるんですよ、バラバラに動く部品も。さびてね。
それを分解して清掃して給油してまた組み直す」

列車のブレーキは、ひとつ20キロ近くもあるため交換だけでもひと苦労です。

【関根利夫さん】

「これがいちばん薄くなっちゃって。新品がこの厚さだからさ」

【新田智博さん】

「はあ〜 あっつい つぎいこう」

Q息が合ってるように見えましたが?

【関根利夫さん】

「いやなかなか息合わないね」

【新田智博さん】

「合ってますよ。合ってます、合ってます。」

【関根利夫さん】

「ほんとによくやるよ。一生懸命。根気があるよね第一ね。
散々私に何か言われて嫌な顔しないからひとつも。かえってなんでも言えるからさ」

【新田智博さん】

「電気でなくてもテコの原理と油だけで動いてる。からくりがいっぱいみたいな。見てて面白い」

親子ほどの年齢差があるふたりが、SL整備の技術を受け継いでいきます。




D51の復活を待ち望んでいる人が岐阜県中津川市にいます。

渡邊典雄さん(88)は、D51が作られた昭和18年から39年間、国鉄で鉄道一筋で働いてきました。

【渡邊典雄さん】

「電車が停まってる近所まで機関区でしたね。40年近く(勤務地が)ここだったね」

渡邊さんにD51が現役で活躍していた頃の話を聞こうと、
所有者だった山田さんの長女が、当時のままの部品を持ってやってきました。


【渡邊典雄さん】

「なつかしいね。だいぶこすったぞ。構内手の古参になると運転台やれるわけよ。
そしたらこのナンバーを触れるわけよナンバー磨いてね。中津川(機関区)は青」

約70年前の思い出をかみしめながら渡辺さんは目を輝かせます。

【渡邊典雄さん】

「これはね運転台のそばに(外気が)あがるようになっとる。空気入れるやつだ。
トンネルの中をくぐった時にこれ開けると、エアがくるようになっとる。
それはね、窒息した人がいて初めてこうなったけど、
中津川の乗務員はほとんどてぬぐいぬらして口に当ててるだけで」

「私の生活としては、安定した一人前の機関助手が務まるようになったんですけど、
そのころですねちょうど終戦、だんだん悪くなっていって。
戦後の一番悪い時は機関車の電球とか道具がみんな盗まれちゃう。部品がないのでね。
機関車状態がほんとに悪かった。そんなときになってわたしはちょうど827の担当になった」

「だから827は自分の機関車のつもりでおったもんだから。
手入れももちろんするけれども運転にも気を付けた。827は壊れるのが少なかったですね」

【前の所有者 故・山田泰平さんの長女】

「一時期非公開にしてたでしょ。またきれいにして、皆さんに見て頂こうってなってやりだして、
整備の方が中見るとみなさんほめていかれる。うちがなにかやったわけじゃないので、
うちに来る前の中津川の方が(整備を)ちゃんとしててくださったからなのかなって」


渡邊さんたちの思いを背負い、和歌山県有田川町での整備は着々と進みます。

復活には不可欠なボイラー検査にも無事合格しました。

費用などの面から、今回の復活では、動力は石炭ではなく、
圧縮された空気で95トンもの巨体を動かします。

D51、44年ぶりの再始動です。

当時のほこりを吐き出し、油でこびりついた車輪を空転させながらもゆっくりと動き出しました。

【関根利夫さん】

「とりあえず動いた。40数年ぶりに動いた」


【渡邊典雄さん】

「懐かしいわ、827はね。昔あいつに乗っとったんだね。
何遍かいきたいと思ってたけど、こいつの運転台乗って写真撮りたいと思っとった。
しかし、また827が動けたら大したこっちゃ。絶対行くよそのときは」


【関根利夫さん】

「機械的なことじゃないですか。連結棒が動くのが見えてああして動くんだなって、目に見えて分かるからね。
やっぱり走ってるの見るのが一番いいですね。
子どもさんたち色々見てもらって楽しんでもらえればいいかなって思ってます」

Q考えるとやる気も出ますね?

【関根利夫さん】

「まあね。」

その雄姿を再びと、すすと油にまみれながら復活にかける男たち。

D51の復活は目前です。

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