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2017年5月16日(火)

「原発安い」は本当か?

去年、裁判所の決定で運転が停止した関西電力の高浜原子力発電所。

ことし3月、一転して大阪高裁が、原発の安全性を認めため、

5月17日に1年2カ月ぶりに再稼働します。

 

【坂元龍斗キャスター】

「高浜原発の敷地内に来ました。今回、再稼働するのは3号機と4号機です。
奥の4号機、手前の3号機の順で再稼働します」

 

 

30キロ圏内に、京都府や滋賀県が含まれる関西電力高浜原発。

福島の原発事故を受けて津波や地震対策などを強化し、おととし、国の審査に合格しました。

 

【坂元龍斗キャスター】

「海岸沿いでは、福島の事故のあと、津波の侵入を防ぐため防潮堤が整備されました」

 

追加の安全対策費用は3、4号機でおよそ2500億円かかりました。

 

去年1月に再稼働した高浜原発は、わずか1ヵ月後に停止。

大津地裁が、安全性に不安を持つ住民の申し立てを認めたためです。

 

しかし大阪高裁は、ことし3月「安全性に問題があるとはいえない」と大津地裁の決定を取り消し、
高浜原発4号機は、5月17日にも再稼働します。

 

【関西電力 岩根茂樹社長】

「(高浜原発3、4号機の)本格運転を実現しましたら出来限り早い段階で電気料金の値下げを実施したい」

 

関西電力は、高浜原発3、4号機が再稼働すればこの夏にも電気料金を値下げする方針です。

 

原発の燃料費が火力発電と比べ安く月70億円収益が改善するのがその理由です。

 

【坂元龍斗キャスター】

「再稼働する原発がある一方、その役目を終えて廃炉になる原発もあります。

美浜原発1号機と2号機です」

 

大阪万博が開かれた1970年に発電を始めた関西電力美浜原発。

 

電力の需要が急増した高度成長期を支えてきましたが、1、2号機は、老朽化のため、
これから30年、およそ680億円かけて廃炉にする作業が始まります。

 

【地元の人】

「何かにつけてマイナスになるやろ。美浜町としては廃炉になれば」

 

【坂元キャスター】

「廃炉になるとこのあたりの人は厳しい?」

【地元の人】

「それなりの仕事はあるのでしょうけど、稼働しているのと稼働していないのではえらい違いでしょうね」

【坂元キャスター】

「美浜原発の近くにこの4月、エネルギーについて学べる施設がオープンしました。

大変、立派です。この施設、原発が立地している自治体に支払われる交付金で立てられました」

 

美浜町は、この施設の建設費およそ11億円を、全額、国の交付金でまかないました。

 

今後、施設の運営費の一部も、国の交付金を使う予定です。

 

半世紀近く、原発と共に歩んできた美浜町の収入のおよそ4割は原発関連です。

廃炉になると国の交付金が減るため財政的にも厳しくなるといいます。

【山口治太郎 美浜町長】

「(国の交付金は)減れば補てんはありませんから(廃炉が)財政に与える影響は大きくなってくるだろうなと」

 

美浜町は、廃炉になった原発の代わりとなる新しい原発を町内に建設するよう国や関西電力に求めています。

 

【坂元龍斗キャスター】

「財政的に(原発が)あったほうがいいので、そういう(原発推進の)行動にでるといってもいい?」

【山口治太郎美浜町長】

「いや。そうとってもらっては困る。(原発推進の)国策に美浜町が協力していくですよ」

【坂元龍斗キャスター】

「これからも町としては(原発の)建て替えのためにいろんなところに働きかけていく?」

【山口治太郎美浜町長】

「働きかけていきます」

 

 

福島の原発事故から6年がたちましたが、廃炉作業が終わる目途は全くたっていません。

事故の後でも、国は、原発を推進する理由の一つに「発電コストの安さ」を挙げています。

 

その根拠になるのは、国の審議会がまとめた調査結果です。

2014年に発電所を新しく作り、40年間運転した場合の発電コストを電源別に試算しています。

それによると原発は最も安くなっています。

しかしー。

【龍谷大学大島堅一教授】

「原発が安いというところはない。どの国も原発が高すぎて困っている。新規の時」

 

国の試算に疑問を投げかけるのは、龍谷大学の大島堅一教授です。

想定している原発の建設費が福島の事故前と同じで、安すぎるというのです。

大島教授によると、イギリスで計画されている原発の建設費を代わりに使うと、
原発の発電コストは、火力や水力に比べ高くなるといいます。

【龍谷大学 大島堅一教授】

「(原発の)建設費が今、世界的にも高騰しているが、(国の試算には)それが想定されていない」

 

この指摘に対し、国は反論しています。

【経済産業省資源エネルギー庁】

「海外で建設費が上昇している事例は、各国固有の事情による。
コストが低廉で、二酸化炭素を排出しない原子力は欠かすことができない」


しかし、原発関連の訴訟を担当してきた弁護士は、「原発が安いことはありえない」と主張します。

 

【井戸謙一弁護士】

「(技術革新で)太陽光発電も風力発電もどんどんコストダウンしている。
世界的には原発よりはるかに安いのはあきらか。
一方、原発は、(安全)基準を厳しくしないといけないから、コストは上がっても下がることはない」

 

安全の基準が厳しくなり、コストが高くなってきている原発。

今後も原発を活用していくのか、一度、議論する必要があるのかもしれません。

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