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2017年5月2日(火)

琵琶湖で異常現象 アユが取れない原因は?

滋賀県・琵琶湖。

1400万人以上の生活を支える湖は関西の水瓶とも呼ばれます。

そんな琵琶湖でいま、異変が起きています。

 

アユの漁に向かう一隻の船。

3月下旬、引き上げられた網にはほとんどアユの姿はありませんでした。

あれから1ヵ月。

 

【漁師】
「全然違うでしょ」

 

そこにはアユの姿が。

漁が解禁されて5か月、ようやくアユが取れ始めました。

 

 

しかし――

【漁師】
「すごく小さい、生まれたてみたい」

 

 

孵化の時期からすでに半年が経ち、例年なら、大きく成長したアユが取れるはずが、

ことしは大半が“稚魚のまま”という異常事態になっています。

 

この日獲れたのはわずか8キロ。

にも関わらず、今期一番の漁獲量となりました。

 

【業者】
「マシやん!」

【漁師】
「ましや、えー!すごいやん!」

【業者】
「少ないですよ」

【漁師】
「ちょっとは回復してますけど、微々たるもんですわね」

「去年は500キロから600キロあがってる、この時期に」

「秋に孵化したやつが全然成長してないんです」

 

その影響は川の漁にまで及んでいます。

琵琶湖へと流れ込む高島市の安曇川。

ここでは成長して遡上してきたアユを取るやな漁が行われています。

 

毎年、この時期になると仕掛けの中が真っ黒になるほどアユが取れます。

しかし、ことしは・・・

 

【漁師】
「(1日)2.3キロ」

「去年やったら、300〜400キロ」

「40年で一度もない」

 

漁師たちを襲う過去に例を見ないアユの不漁。

ことし3月まで不振が続いていた漁獲量は、4月になってもほとんど回復することはありませんでした。

過去5年と比べてもその差は開く一方です。

 

 

滋賀県は、3月の時点で産卵期の遅れなどを理由に

4月になればアユは取れてくると予想していました。

しかし、予想を大きく下回る結果に…

 

【滋賀県水産試験場 井出充彦さん】

「取れている魚が小さい」

「産卵期の遅れでこれまで説明できていたが、この3月から4月にかけて説明できない状況が出てきた」

「その原因についてはこれから時間をかけて調べてないとわからない」

 

予想だにしなかった展開になり、県はこの問題にどう取り組むべきか、頭を悩ませます。

 

【滋賀県の担当者】

「我々が手を入れて、しっかり対策を打てるよう、どういった対策をとったら、
今の琵琶湖が少しでも改善するか」

「なかなかいい結果がですね、でないというところは歯がゆく思っているんですけども、
一刻でも早く本来の琵琶湖になればと」

 

解決への糸口見えない中、漁師から新たな問題が出ました。

 

【漁師】

「私もいま、えり漁やってますけど、魚が入ってくる壺の網は毎日いかん。
魚がいるかいないではなく、2,3日つけておくと網があがってこない。
洗っても汚れが落ちない」

 

これは先月、漁師が実際に引き上げた網の写真です。

一面にゼリー状の物体がへばりついています。

また、別の網では、湖に1時間ほど仕掛けただけでヘドロにつけたような状態になりました。

 

 

漁師たちは、ことしの網の汚れ方が異常だと感じ、琵琶湖の水質の悪化が
アユが取れなくなった原因ではないかと指摘しました。

網の汚れの正体は一体何なのか?

琵琶湖の水質を研究している専門家に話を聞きました。

 

【滋賀県琵琶湖環境科学研究センター 一瀬諭専門員】

「この種類がヒザオリというプランクトンで、網に絡みついて、ぬるぬるする原因になる」

 

網の汚れ原因は“植物プランクトン”だったのです。

さらに、去年の冬、ある植物プランクトンが大量発生したことが

アユの不漁に影響しているかもしれないと言います。

 

【滋賀県琵琶湖環境科学研究センター 一瀬諭専門員】

「これがミクラステリアス、これが去年大量発生したわけです」

 

外来種のミクラステリアス。

ミジンコが食べることができないほどの大型植物プランクトンです。

 

 

アユは、ミジンコなどをエサとし、ミジンコは植物プランクトンをエサとします。

エサにならないミクラステリアスが大量に発生したことで他の植物プランクトンが減少。

その結果、エサを失ったミジンコは数が減少したと考えられ、

その影響がアユにまで及んだ可能性があるというのです。

 

【滋賀県琵琶湖環境科学研究センター 一瀬諭専門員】

「プランクトンの特定の種の大量発生、そういうことが起こると生物の多様性が単純化する。
そうすると、そういうものを食べる動物プランクトンが限られてしまう。
いろんな生物の多様性を失うと、それが貝とかエビとかカニとか生き物全てに影響して、当然鮎にも影響を及ぼす」

 

原因は“アユの生態”ではなく、“琵琶湖の生態系の変化”ではないか。

 

新たな課題が見えてきましたが、漁師にとって、厳しい現状は変わりません。

 

【漁師】

「結局取れなくなったら生活ができなくなってくるから、それだけ心配になるけど、
琵琶湖からアユがいなくなることはないと思いますけどね」

「うちはアユが命なんで、アユがないと生活できない」

 

未だ出口の見えないアユの不漁問題。

生態系にとっての琵琶湖とはなにか?

それを見つめ直すことが一番の近道なのかもしれません。

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