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18時台の特集/バックナンバー

2017年7月19日

書き伝える「奈良妖怪新聞」

奈良県上北山村に広がる大台ケ原。

この山について書かれた伝承をひもとくと・・・

 

「山に一足(ひとあし)の鬼あり」

 

【大台ケ原語り部・田垣内進一さん】

「むやみに入っていくと一本だたらという怪物がいて人の命をとったというのがいてるんですけど。
1年のうち1日だけ人の命をとらせてくださいってお願いしたという…それが果ての20日」

 

大台ケ原に伝わる一本足の妖怪「一本だたら」。

 12月に山に入る登山者の命を奪うという・・・

 

そんな一本だたらの伝説について伝えるこの新聞は、その名も「奈良妖怪新聞」。

 

 

鬼や天狗に蛇女房と他の記事も妖怪ばかり・・・

奈良に伝わる妖怪の伝説が記されています。

 

この新聞を書いているのは奈良市に住む木下昌美(きのしたまさみ)さん(29)。

妖怪に魅了された女性です。

 

 

「妖怪を通じて昔の人が何を考えていたとかどういうところに恐れを感じていたとか、
そういうことがくみとれる、昔の人の息吹みたいなものが感じられるところが魅力かなと思います」

 

大学でも妖怪を研究。

卒業後、地元の新聞社に就職しましたが、妖怪好きのあまり、専門の新聞を発行することにしました。

月に一度、奈良に伝わる妖怪をひとつ取り上げます。

 

【木下昌美さん】
「おばけの話を聞いたとか経験してる人がほとんどいらっしゃらなくて、
その人が亡くなってたり、病気されていたりすることがほとんどなので、そういう人に出会うことが難しいです」

  

木下さんは、この日も眠れる妖怪伝説の元へと向かいます。

「オシロイババという妖怪なんですけど・・・」

 

オシロイババ。白粉を顔に塗り、笠をかぶり、雪の夜に酒を買いに行く老婆。

 身の毛もよだつ風貌とされ、奈良の桜井市や十津川村に伝わる妖怪ですが、その正体は不明です。

 

奈良でも有数の長い歴史を誇る長谷寺。

オシロイババに通じる伝説が残ると聞きつけやってきました。

 

長谷寺の一番奥深い場所にその像はありました。

 

【長谷寺・瀧口光記さん】
「オシロイババさまが、あちらの左にいらっしゃる像」

 

この像の顔は白粉で真っ白に塗られています。

 

 

【長谷寺・瀧口光記さん】
「昭和初期、戦後くらいまでですかね。この近くの村の人たちが集まって
『一箱べったり』という行事の中でこの像を供養していたという伝説、言い伝えがありますね」

 

かつて長谷寺には、僧侶たちのためにひたすら米を研ぎ、しわだらけになってしまった娘がいたといいます。

そんな娘を思い、1箱いっぱいのおしろいをぬって供養したという言い伝えです。

 

【長谷寺・瀧口光記さん】

「手の形がいま欠けてるけど何かもってたのかなーって」


【木下昌美さん】
「鳥山石燕の書いたオシロイババは、酒瓶を持ってるんですけど、それは違いますよね?
関係は少なからずしてるような気がするんですけど・・・

【長谷寺・瀧口光記さん】

「いつの時代か一緒になっちゃったんでしょうね」

 

 

【長谷寺・瀧口光記さん】

「お堂の隅でひっそりとしていた一箱べったりさんがこういう形でまさか日の目をみるとは思ってなくて、
オシロイババが喜んでるんじゃないかなと」

 

そして発行されたオシロイババの記事。

またひとつ、木下さんの手によって奈良の妖怪伝説が書き伝えられました。

 

 

いまでは総集編も出版され、奈良市内の本屋では、売れ行きも好調だという「奈良妖怪新聞」。

地元・奈良で思わぬ広がりを見せています。

 

デザイナーの目にとまり、「奈良の妖怪」のかぶりものが作られているのです。

 

 

【チャッピー岡本さん】
「妖怪新聞を参考にしました。僕らデザイナーは何もないところからこういうものを読んで
想像力を働かせて、いままでにない自分なりの面白いものを作ろうって意欲がわいてくるので、そこが面白い」

 

「奈良の妖怪かぶりもの展」まで開かれ、木下さんの文章から、奈良各地の妖怪が目に見える形となりました。

 

【チャッピー岡本さん】
「いつも拝見しています。熟読して。妄想しながらじぶんなりのどういう妖怪しようかなって。」


【木下昌美さん】
「一般の人の印象に残るのは文字より形なので、是非たくさん発信をして形にしていってください」

 

奈良にひっそりと伝わる、妖怪たちの伝説。

木下さんの手によって世に出るのを、きょうも待っています。

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