【受賞者及び対象作品】
≪ 映像技術賞 ≫
撮影 / ドキュメンタリー部門:大窪秋弘(2013年11月28日放送「みんなの学校」)
【選定理由】
『ドキュメンタリー番組の撮影は、被写体との距離感が重要なポイントの一つになる。受賞作品「みんなの学校」は、敢えて、"近寄れるが近づかず、追掛けられるが追わない"という被写体との程よい距離感を保った的確で冷静な判断に対して、多くの選考委員が口を揃えて賞賛した。
校内の様々な出来事を捉える撮影設計と、カメラの存在を感じさせないほど現場に溶け込んだ映像は、文化庁芸術祭賞はじめ多くの賞を受賞したこの作品に対しての撮影貢献度は計り知れない』との審査講評をいただきました。
撮影 / ニュース部門:樋口耕平
(2013年10月24日放送「スーパーニュースアンカー内企画「76歳!現役の小学校校舎」)
【選定理由】
『昭和初期に建てられた木造校舎は、そのほとんどがコンクリートにタイル張り廊下に建て替えられている現状がある中、この小学校は76年たった今でも当時の姿のまま現役で子供たちが勉学に励んでいる。閂を外し木の扉が開く、古めかしい軋みの音。元気よく遊び、学ぶ子供たち、親子三代に受け継がれるこの小学校への想いや暖かさを感じさせる映像の数々。世代を通し行われてきた雑巾掛けをするシーンは、長い廊下をドリーショットでスピード感あふれ、日常的に行われている光景を見事に表現し、カメラマンの技術の高さを感じる。機材選択や映像設計が作品のノスタルジー感を高めており、ステディカムの移動ショットは躍動感と歴史の長さを感じさせとても効果的に表現している。高い撮影技術があるからこその作品だ。』との審査講評をいただきました。
編集技術(放送作品):矢野数馬
(2013年9月24日放送 開局55周年記念ドラマ
「神様のベレー帽~手塚治虫のブラックジャック創作秘話~」
)
【選定理由】
『世界的な漫画家、手塚治虫氏の作品にかける熱い思いを描いた作品で、昭和48年頃を軸に描かれているので、時代を表現するCGショットを80以上つくっている。また現代のシーンも描いているので、その時代を行き来する演出と編集の工夫がマッチすることが大きな要素であるが、大変上手く出来上がっている。台詞の間のつくり方、ショットなどのアクション編集などに発揮されている。編集の矢野氏は、オフライン編集は勿論、オンライン編集、CG制作とを出来るだけ自らで行い、作品完成度を高める努力をし、その成果が作品の質を高め、良質の作品にしている。』の審査講評をいただきました。
音声技術:宮島雅俊
(2013年11月30日放送 開局55周年記念ドラマ
「Y・O・U やまびこ音楽同好会」)
【選定理由】
『この作品においては、高校生たちの演奏が陰の主役で、結成当時にはバラバラだった音が、紆余曲折ありながらコンテストに向かって徐々にまとまっていき、コンテストで結実する様子が巧みに表現されていた。また、演奏シーンは山の中、お寺、ホールなど、様々な場所で繰り広げられるが、それぞれの場所の空気感が適切に処理をされていて、映像とも良くマッチしていた。セリフの収音、整音においても、距離感、空気感が映像と良くあっており、ダイナミックレンジも適切に処理されていたため、聞きやすく、生演奏が絡む複雑な音処理がもとめられる作品であったが、表現も決して過剰にならず、メリハリの加減など全体的な流れがとても良く、音声表現が作品の仕上がりに大いに貢献していた。』との審査講評をいただきました。