【万引きGメン】「入れるんちゃうか。入れてるわ、入れてる」
その“瞬間”を見逃さない万引きGメン。
【万引き犯】「98円でこんなに人いじめたらあかん!」
【万引きGメン】「いじめてない!」
逆ギレする万引き犯と、敏腕Gメンとの攻防戦をツイセキ!
■この道20年のベテランGメン
大勢の客でにぎわうスーパーマーケットを悩ませるのが、後を絶たない、悪質な万引き行為。
【万引きGメン 石原知典さん】「入れるんちゃうか?入れてるわ、入れてる」
店内で目を光らせるのが、この道20年、日本警備通信の万引きGメン・石原知典さんです。
【万引きGメン 石原知典さん】「真ん中の通路の青い服の女性。今、帽子にズッキーニを包んだ。入れた、入れた、入れた」
カゴの中に入れた帽子にズッキーニを隠して、かばんの中に入れる瞬間を見逃しませんでした。Gメンは女を追い越す時に、カゴの帽子を触る不審な行動から、目をつけていたのです。
【万引きGメン 石原知典さん】「そこの青い服の女の人、ズッキーニ入れました、かばんに。入ってますよ、絶対に」
カゴの中身だけ何食わぬ様子で会計を済ませ、店を出たところで、石原さんが声をかけます。
【万引きGメン 石原知典さん】「すいません、お母さん。お会計忘れているもの、あるんちゃいます?」
「一旦見せてもらっていい?」
【万引き犯】「何?」
【万引きGメン 石原知典さん】「お会計、忘れているものが入ってるんじゃない?」
石原さんに声をかけられた80代の女は、かばんの中から万引きした商品を出しました。盗んだのは、ズッキーニ1本98円(税別)。
【万引きGメン 石原知典さん】「これ、どうしたん?忘れてるやろ?着いてきて」
素直に万引きを認めたように見える女。しかし、事務所に入ると態度が豹変します。
【万引き犯】「早くしてよ!」
【万引きGメン 石原知典さん】「座って!警察呼ぼうか?」
【万引き犯】「堪忍。ごめん、ごめん!この通り、謝る!この通り、謝る!もうしませ~ん!」
事務所に入るなり、土下座。しかし、許されないと感じたのか、女は…。
【万引き犯】「お金払う!だから帰る!」
【万引きGメン 石原知典さん】「お母さんがこれとったから、ここに来てるんやろ?」
【万引き犯】「でもな、98円でこんなに人いじめたらあかん!」
【万引きGメン 石原知典さん】「いじめてない!」
【万引き犯】「もう帰る、帰る!帰る、帰る!もういらん。もう帰る!」
【万引きGメン 石原知典さん】「お母さん、暴れたら違う罪になっちゃうで」
帰ろうとする女を制止する石原さん。
【万引きGメン 石原知典さん】「座っといてって!」
【万引き犯】「もういい、帰る!!」
■まさかの演技にGメン「もういいって…」
強引に帰ろうとするも、かなわぬとみるや…、Gメンも呆れる驚きの行動に出ました。
なんと、気絶したふりをしはじめたのです。石原さんに両腕をつかまれ、ぶら下がるような体勢に。
【万引きGメン 石原知典さん】「もういいって、演技…。もう倒れるの?救急車呼ぶ?」
その1分後、目を開け自ら起き上がります。そんな演技は通用しません。
【万引きGメン 石原知典さん】「救急車呼ぶ?」
【万引き犯】「どんだけ待ったらええの!」
通報を受けた警察官が到着しました。
女が持っていた店のプリペイドカードには1万5000円が入っていて、お金に困って盗んだわけではなさそうです。なぜズッキーニ1本を盗んだのでしょうか?
【万引きGメン 石原知典さん】「何で今日だけ悪いことするの?」
【万引き犯】「お金、きのうか、おとといに失った」
【万引きGメン 石原知典さん】「落としたんや?」
2000円を落としたと話す女。
【万引きGメン 石原知典さん】「ちょっとでもすっきりしようと思ったんやな?でもあかんことは分かってんねんな?」
【万引き犯】「分かってる。本当にしたかったら、もっと大きいのとる。こんな小さいのとらへん!」
動機は、落としたお金が返ってこないからだといいます。そして、「これまでお金を拾ったら警察に届けていたのに!」と、謎の恨み節。
詳しく事情を聞くため、女は警察署へと連行されました。
■以前怪しい動きをしていた人物…万引き犯特有の“行動”とは
お盆真っただ中のある日。お供え商品が並ぶ店内は、多くの客でにぎわいます。
そんな中、Gメンのもとに、店の責任者がやってきました。
【店の責任者】「今、花のところ…」
花売り場にいる高齢女性が以前、怪しい動きをしていた人物に似ているというのです。
6日前の防犯カメラを見てみると、確かに似た人物がカゴから袋に商品を入れる姿が映っています。さらに、その前日にも同じ場所で怪しい動きをする姿が…。
Gメンが女の後を追跡していると、防犯カメラに映っていた売り場と同じ場所へ。
【万引きGメン 石原知典さん】「やるんかな…」
しかし、女は素通り。店員がいるからかと思いきや、戻ってきました。
その様子を棚の影から、じっと目を光らせるGメン。ここは焼き芋コーナーの影で死角になりやすい場所です。近くに店員がいても、おかまいなし。
【万引きGメン 石原知典さん】「袋開けてるわ。袋を出してる。入れるんちゃうか」
「入れてるわ、入れてる。今、卵入れてますね」
その後も店内で買い物を続ける女。肉を選んでいる姿に、Gメンは万引き犯特有の“ある行動”を指摘します。
【万引きGメン 石原知典さん】「今、お肉(をカゴに入れた)。あの入れ方もね、意外とやるんです、“縦”」
「お肉って縦に入れませんよね、普通、カゴに。寿司とか、ああやって(縦に)入れたら90%くらいやります。普通は買う物、もっときれいに持って帰りたくないですか?商品としてないので、乱雑に扱うんですよね。これでまた行くんですかね、あそこに」
女は再び、店の端にある焼き芋コーナーの裏へ。そして、なんと店員と会話しています。店員にカゴの中身をきれいに整えてもらったところで…。
【万引きGメン 石原知典さん】「けど、卵を出しましたね。肉とか全部入れました」
さらに…。
【万引きGメン 石原知典さん】「今、漬け物を手に取って後ろを見ているので、そのまま入れるんちゃいます?」
「また行ったわ、得意の…。あぁ、入れたね」
女は15分の間に計4回、店内で堂々とカゴの商品を入れ替え、青い袋をパンパンにしてレジに向かいます。
女は客や店員とも、言葉を交わす余裕ぶり。
【万引きGメン 石原知典さん】「こんにちは。お母さん、分かってはるよね?この青い袋の中、どうしたん?」
【万引き犯】「はい?」
とぼけたふりをしつつも、事務所まで素直に着いてきました。
■犯行を認めるも「払えばいいんでしょ!」と逆ギレ
【万引きGメン 石原知典さん】「青い袋のやつ、買ってへんやろ?」
【万引き犯】「いや、買ってるはずやで。あれと一緒に」
【万引きGメン 石原知典さん】「一緒に買ってないよ」
【万引き犯】「そう?」
とぼけて逃れるつもりでしょうか。
【万引きGメン 石原知典さん】「あの焼き芋の後ろで、このかばんに入れてなかった?」
【万引き犯】「初めてや、そんなん知らん。ほな、返しときます」
【万引きGメン 石原知典さん】「『返しとく』じゃない。お店の人にちゃんと謝って!」
【万引き犯】「はいはい、返しときます!」
盗むところを見られていたと分かり、ようやく観念しました。
出てきたのは、お盆の“お供え”。盗んだもので先祖を供養するつもりだったのでしょうか…。他にも和牛など合計8点、4083円分を万引きしていました。
90歳だというこの女は、お金は持っていると話します。
【万引きGメン 石原知典さん】「ほな、全部払っとく?」
【万引き犯】「払う、払う!」
【万引きGメン 石原知典さん】「お店の人が来るまで待ってて!」
【万引き犯】「来んでええ!」
【万引きGメン 石原知典さん】「警察呼ぶ?」
【万引き犯】「そんなん呼ばなくていい!」
【万引きGメン 石原知典さん】「呼ぶわ、じゃあ」
【万引き犯】「払ったらいいんでしょ!?」
そこへ店の店員もやってきました。女は「万引きは今日が初めて」と話し、これまでのことは認めません。
【店員】「今回で何回目ですか?店で盗んだのは」
【万引き犯】「何回目って…初めて」
「もう来ませんし、しませんから」
【万引きGメン 石原知典さん】「それは当たり前のこと」
「万引き」は窃盗罪にあたり、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられる“犯罪”です。
決定的な瞬間を見逃さない万引きGメンには、言い逃れも、悪あがきも一切、通用しません。
(関西テレビ「newsランナー」2024年9月12日放送)